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(本)独学大全

読書猿さん。数年前、たまたまブログを拝見し、いらい追っかけているブロガー(?)さん。一般企業で働いてらっしゃるようですが、どうやってこんだけの知識を身に付けたんだ!?と思うくらい、知識量が豊富。
最近では、NHKの朝のニュースにて独学に対する特集が組まれ、その時に「独学大全」なる1冊が紹介されていたので、目にしたかもいらっしゃるかと。

自分も紙版を所有しておりますが、鈍器か!とツッコミを入れたくなる厚さ(700ページ超)、お値段も税込3000円超と、読書習慣のない人にはなかなか手を出しづらいボリューム・値段ですが・・・全ての学習者が読めば間違いなく効率が上がる・学習量が増えるという一冊です。

大全と銘打っているだけあって、内容は多岐にわたります。
効率的な学習方法にと止まらず、動機づけの仕方、文献の探し方、整理の仕方まで。さらに、索引が面白く、丁寧に”困りごと索引”なるものまでつけてくれています。
・論文の読み方がわからない
・文献整理の仕方がわからない・・etc
学習者なら誰しも疑問に思う内容について、科学的根拠も踏まえ明確に解答してくれています。

自分は社会人ドクターをしていることもあり、特に文献の読み方、整理の仕方が参考になりました。
研究には先行研究のレビューが必須です。となると、全ての研究者は関連文献を探し、読み、整理するというプロセスを踏まねばいけません。で、数が少ないうちは頭の中で覚えておけばいいですが、その数が数十〜数百となることも少なくなく、そうなってくるとシステマティックな対応が必要になってくるわけです。超絶頭が良い人は別でしょうが・・・
自分も、ある程度のところまでは文献・論文を手当たり次第入手→読み込んで理解 という力技で乗り越えて来られましたが、ある程度論文が増えてくると
「あれ、この論文ってなに書いてあっただっけ?」
「あのデータが書いてある論文ってどれだっけ?」
という持ち前の記憶力の悪さをはっきし、しっちゃかめっちゃかになります。

本書では、整理の仕方として
①目次
②引用
③要素
のマトリクス化の技法が述べられています。詳細は本書に譲りますが、要は①〜③の内容をエクセルで表形式にまとめていくというシンプルな手法。
それにより、本来は1冊でクローズするはずのない知識や知見を文献横断的に把握できるようになり、線的・面的な知識の構築を可能にしてくれるというものです。
1冊1冊を精緻に理解していくことはもちろん大事なのですが、その1冊が学問体系全体のうち、どんなポジションなのかを押さえておくことは同じく大事、なのです。

にしても読書猿さん、働きながらこんな幅広の知識を身につけ、さらに1冊の本にまとめ上げるなんて、どんな頭しとるんだと凹むレベルです。
国内外・時代を問わずの知識が透けて見え、知識を追い求めて生活している自分にとっては目指すべき存在の1人かも知れません(私淑?)
一方で、そんな読書猿さんでもどれだけ「手を動かして知識を積み上げてきたのか」というのもよくわかりました。
なんか、頭のいい人・天才というと素早く読んで、一瞬で理解・記憶と言ったイメージが先行してしまいますが、一部の天才を除いては、愚直に手を動かし、汗をかき、苦労する。それしか知識を身に付ける道はないのだなというのを改めて実感した次第です。学問に王道なし。

最近、改めて痛感しておりますが手を動かすことは本当に大事。
仕事のできる先輩が、本の数パラグラフの書類を作るにも、手書きで骨子を紙に書き、ロジックの整合性等を確認している姿を拝見したことがあります。
勉強も仕事も、できる人はそう言った「良い意味での愚直さ」を持っているのが共通点なのかも知れませんね。
以下の2冊の大全シリーズもおすすめです。


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