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芥川龍之介展@日本近代文学館

芥川龍之介展@日本近代文学館

日本近代文学館で開催中の「芥川龍之介展」に行く。

そして、展覧会記念イベント「旧蔵書に見る「知」の宇宙」を聴講。
鼎談:
庄司達也(本展編集委員・横浜市立大学教授)
小澤 純(慶應義塾志木高等学校教諭)
澤西祐典(作家・龍谷大学准教授)日時:4月13日(土) 14:00~15:30 於:日本近代文学館 講堂

芥川龍之介については、彼が「知の巨人」であったことにも関心がある。
今回の近代文学館の

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森鷗外論:日本文学史(ドナルド・キーン)から その②

森鷗外論:日本文学史(ドナルド・キーン)から その②

その①の続き。

諦念(resignation)鷗外を理解する際に外せない概念が「諦念」。英語ではresignation。
この概念を理解するためには、「妄想」、「かのように」は必読だ。
この諦念という解釈をずっと考えているのだが、積極的に捉えるか、消極的に捉えるか、で意味が変わってくるような気がする。

消極的に捉えること:鷗外は陸軍という極めて保守的な組織の中枢にあり、山縣有朋の庇護を受け出世

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森鷗外論:日本文学史(ドナルド・キーン)から その①

森鷗外論:日本文学史(ドナルド・キーン)から その①

加藤周一著の「日本文学史序説」と同様、今回はドナルド・キーン著の「日本文学史」から森鷗外に関する評論の中で自分として押さえておきたいポイントを取り上げてみたい。(二回に分ける)

ドナルド・キーン著の「日本文学史」は古代・近世から現代まで全18巻。
今回読んだのは、近代・現代篇二巻。

「日本文学史」の特徴としては、作家の全般的な評論に加え、主要な作品の書評が紹介させていること。従って、それら作品

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森鷗外論:日本文学史序説(加藤周一)から

森鷗外論:日本文学史序説(加藤周一)から

近代小説に関心があるのだけれども、どの作家、どの本を読んでいいのか迷うことがある。一日24時間、本が好きといっても限られた時間で何を読むべきか。(読みたい、というよりも読むべきか)

そんな時に重宝しているのが、加藤周一著の「日本文学史序説」。
これだけコンパクトにエッセンスを凝縮できるのは、膨大な知識の裏付けがなければできない。名著。

森鷗外について論ずる本は多くあるが、このような文学史に紹介

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「舞姫」森鷗外

「舞姫」森鷗外

森鷗外の作品で好きな作品を幾つか上げよ、といわれれば「舞姫」を間違いなくあげるだろう。
それは自分自身が海外に長く駐在し、主人公太田豊太郎の状況を重ね合わせて、思い浮かべることができるからだと思う。
ちなみに、「舞姫」は高校の教科書で取り上げらている、ということだが、それについては全く記憶、認識がない。きっと、その時に読んでも、全く共感性は得られなかったに違いないのは、上記の理由と後述する歴史認識

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「渋江抽斎」森鷗外

「渋江抽斎」森鷗外

森鷗外は、人生の最後に「史伝」作品群を残し、その中でも最も知られている作品が「渋江抽斎」だ。
”史実を淡々と述べていて無味乾燥である”、という評もあるようだが、自分は、鷗外の作品の中でも多いに関心を抱く作品のひとつだ。

鷗外は、「舞姫」から始まり、その作風の変遷が特徴的だが、日本の近代化という大きな変革の中に体制側に身を置き、最後、「史伝」に辿り着いたことは、説明がつくような気がする。

ひとつ

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