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戦略案件とIT案件の違い【炎上編】

以前、戦略案件とIT案件の炎上の仕方の違いをツイートしたのですが、結構多くの方に見ていただき、反響があったので、Noteでも詳しく述べていきたいと思います。

役員への中間報告が炎上の始まり

まず、戦略案件の炎上の仕方ですが、中間報告で役員向けに報告した時に始まります。

通常、戦略案件は、事業部長や事業部長に準じる立場の方と検討を進めていきます。論点を整理して、検討アプローチを固め、各論点についてDraftを提示して、議論をしながらDraftをブラッシュアップさせ、構想を固めていきます。

役員も関心のあるテーマの場合、中間報告と最終報告を行います。

普段、役員は検討に参加していないので、役員の関心ポイントを事前にお客さんにヒアリングして、当日のプレゼンに臨みます。

が、ここで、役員から「これじゃない」とコメントが出ると炎上スタートです。役員と打合せをする機会は限られているので、「これじゃない」となると、何が論点化しているのかその場で100%把握しきれないと、挽回がきかないです。

カウンターのお客さんと火消しを試みるも・・・

「これじゃない」となる場合は、事業部長や近しいメンバーも「初めて聞いた」論点だったり、以前から薄々Gapは感じつつも、内容がよくわからなかったので、コンサル側との検討で論点として出してこなかったネタだったりします。

こうした場合は、カウンターパートになっているお客さんが役員と別途打合せをして巻き返しを図るのが基本なのですが、それでも論点がしっかりと判明しなかったり。

その場合でも、「こうではないか」「ああではないか」と色んな仮説は立てられるのですが、どれが役員の解消したい論点なのか判然としないまま、プロジェクトが進行してしまうと、収拾がつかなくなってしまいます。

そして、最終報告前になって、お客さんが役員と打合せした結果、更なる「新ネタ」が出てきたりすると、稼働を上げて作業を増やし巻き返しを図ろうとしたり、視点を変えて、「本当はこっちが論点ではないか」とゲームチェンジを図るためのロジックをこしらえたりします。

そして、最終報告になってなお、役員とのGapが埋まらないままだと、「このプロジェクトは意味あったの?」と言われてしまい、そのまま契約終了と同時に、縁の切れ目を迎える・・・となります。

戦略案件は3か月程度の期間なので、期間が短いのが幸いですが、この期間中ずっと、モヤモヤしたままプロジェクトを行うことになります。

IT案件の炎上は提案活動時点でほぼ決まる

IT案件の炎上の仕方ですが、契約を取った段階で、炎上することが約束されていたりします。

IT案件は、コンサルファームだけが競合というわけでは無く、大手ITベンダーも競合になってきます。また、「安さ」を売りに、中堅ベンダーも提案を行ってきます。

中堅ベンダーは、信用力・実績が劣りますが、非常に安い見積もりを出してくるので、油断なりません。提案内容自体は、かなりリスク高い内容なのですが、あまりシステム導入の経験が無いお客さんだと、中堅ベンダーが選ばれる場合もままあります。

こうした厳しい営業環境ですので、案件を獲得するためには、「背伸び」して取ってくる、というのがよくあります。

システムの標準機能では具備されていない機能であるのに、お客さんの期待に応えるために、一部は無償で開発したり、「短期導入」で競合と差別化を図ろうとしたりします。

構想策定フェーズで、提案段階よりも詳細に現行システムを理解するにつけ、「無償で開発しないといけないこと」が膨らんでいきます。

このタイミングで、今後のプロジェクト炎上が見えてきます。

要件定義フェーズになると、現場との検討を行うので、お客さんからの要望が増えていきます。

このフェーズまでは、残業時間を大幅に増やすことによって、プロジェクトの予定通りの進捗はキープできます。かろうじで。

要件定義が終わってから、目に見えて炎上

しかし、設計フェーズや開発フェーズになってくると、開発ボリュームの多さから、システムのバグが目立ってきます。また、設計書や単体テスト書の記載が十分でなかったり、最新化が追い付いていなかったり・・・ということも起こってきます。

そうすると、お客さんから「システムの品質が低い」とクレームが入ってきます。こうしたクレームに対処するために、同様のバグが他にないのか横展開活動を行い、未然にバグを防ぐ取組みを行います。

しかし、こうした横展開活動はそもそもプロジェクトで予定していなかった作業なので、その他の作業を圧迫します。残業を増やして対応するにしても限度があるので、根本的には品質問題が解消できないまま、またバグが出てきます。

中には、横展開対応をして潰したはずのバグが出てくるなんてこともあります。そうすると、再度、横展開をやり直すことになります。

IT案件は期間が長いので、1年~3年ほど、このような生活を強いられることになります。平日は夜遅くまで仕事をし、土日も返上して作業に当たる・・・という生活が長く続きます。

最後に

戦略案件とIT案件とで、炎上の仕方は異なりますが、それぞれに固有の辛さがあります。

炎上することを未然に防げればいいですが、多分に置かれている事業環境やプロジェクト環境に依存する面があります。

炎上プロジェクトを多数経験したマネージャーが、「プロジェクトマネジメント」の社内研修を担当することがあります。「教科書的にはこうなんだけど、これが出来れば苦労は無いですよね」なんてコメントも。

炎上したら、覚悟を決めて最後までやり抜くだけです。

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