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無意識の力の象徴


昨年から導かれるようにして出会った河合隼雄氏をはじめとするユングの思想と西洋占星術を統合させた心理学的占星術の第一人者であるリズ・グリーン氏の「占星学」の初版を入手して読んだ。
ハードカバーで400ページを越える本文は読みごたえがあった。

占星学 / グリーン,リズ【著】〈Greene,Liz〉/岡本 翔子/鏡 リュウジ【訳】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア (kinokuniya.co.jp)

特に前半の「無意識の言葉」、「潜在的可能性を示す惑星地図」、「風、水、地、火の心理学的タイプ」の章は、私自身が昨年末からはじめた夢分析やそろそろ2年になる星読み仲間とのお話会を通して感じてきた知識ではない肌感覚で感じてきた惑星やサインの象徴性、イメージ、意識エネルギーに関して言及されており、ネイタルチャートで9室蠍座海王星と3室牡牛座水星、5室蟹座金星で複合アスペクトを形成する私においてはまさに意識の学問の理解を深めていくことが、何よりの喜びであることを改めて感じさせられた。

この前半の章で特に響いた箇所を私の整理も兼ねて抽出してみた。日本語に翻訳された内容であるにもかかわらず、その象徴性の意味することがまさに知識としての言葉ではなく知恵としての言葉として伝わってくることに感銘を受けた。原文の意図することを的確に訳されている西洋占星学にも知られているお二人の翻訳者の力量にも感謝したい。

無意識の基本的な表現様式は象徴(シンボル)である。我々は自分自身の内的生活から他人の生活、そして我々を取り囲む世界などから生じる象徴に生涯囲まれて暮らすが、時として象徴のもつ意味や力を忘れてしまう。
人間に起こりうる経験のすべては、象徴的に見ると、天体の自然のサイクルのうちのどれかと呼応していると考えられるからである。
このような事柄は分析するのではなく頭の中で熟考し感じることが大切である。なぜなら自然の象徴は我々の全体性、人との関係性、人生そのものの流れの関わりについて教えてくれるからである。

冒頭の「無意識の基本的な表現形式は象徴(シンボル)である」のフレーズにいきなり身体が震えるような感動を覚えた。昨年から神話や物語を通して普遍的なものが伝わるということ、そして神話や物語では知識としての言葉ではなく象徴として言葉が存在していること。気になってきた無意識と象徴がとても端的に表現されていることに驚かされた。


心理学が問題にする集合無意識のように、占星学は象徴的な(星の)配置から成り立っている。惑星は神々であり、無意識の力の象徴なのである。

太陽のもつ潜在的可能性を完全に生き抜くことは一生かかる旅である。あなたの太陽の星座があなたを特別な何かにするのではない。というよりも太陽の星座は、これらのエネルギー、つまりその意識化の方法を学び、創造的に表現しようとしている特別な神話を象徴しているのである。

さらに占星学の惑星に関しても無意識の力の象徴と表現されることで、象徴としての言葉がエネルギーとして力として働くことに言及されている。
太陽の星座が意識化の方法を学び、ひとりひとりの中で創造的な表現の仕方を象徴するというメッセージはとても味わい深い。

マドモアゼル愛先生の西洋占星術初級のコースを学んだ際に「西洋占星術は意識の学問」であると語られていたことが思い出された。
私が初めてnoteをアップした内容がまさに「西洋占星術は占いではなかった」と新鮮な驚きをもって表現していたことを思い出した。

西洋占星術は占いではなかった|junchan|note


水星は単に知覚する方法だけでなく、理解し、伝達され得るように知覚したものを秩序づける方法を象徴している。水星は主として無意識の動機を理解し意識的な認識と統合させようという衝動の象徴である。
木星は心の中で象徴を創り出す衝動と関連しており、偉大なる神話・伝説・世界的な宗教を形成してきた創造力について考えるときに我々を深淵まで引き込む。(中略)
木星は真に関門を司る神である。なぜなら彼は直観的に象徴を理解することと創造を通して、意識と無意識の絆を形成するからだ。
象徴は生命の原始的な言語であり。木星は人の中に象徴を創り、その意味を直観する機能を象徴する。

最初に述べたように私のネイタルチャートの水星は3室牡牛座であり、自分自身の居場所を象徴する4室には惑星はなく双子座であり、その支配星水星の働きが強い。
そして水星と蟹座金星、蠍座木星のアスペクトによる連携は牡牛座の地のエレメントに蟹座と蠍座の水のエレメントが加わり、意識について蟹座的な身近な日常の中で感覚的に学び、言葉で表現、発信していく喜びが生まれていく。まさに蠍座と反転する牡牛座要素を統合させた形で、無意識な領域を意識化させたいという衝動は確かなものとして存在する。
上記の水星と木星が有する無意識と意識をつなぐ存在がまさにアスペクトとして強調され、西洋占星術を学び中、それぞれの惑星、サインの働き方を意識できるようになったことで、その力がより確かなものになってきたように思う。
象徴が生命の原始的な言語でありからはじまる最後のフレーズは、なかなか理解しにくい部分ではあるが、木星のエネルギーは人の無意識の中での象徴を創り、同時にその象徴を意識化していく扉として働くと私は受け止めた。


惑星は無意識の力の象徴であり、すべての生命の中や、生命の一部である人間の中に存在する元型的な経験またはエネルギーを象徴する。
占星学はひとつの象徴体系であるために、人生や人間の心の基礎となっているエネルギーのパターンを、人生のひとつの局面としてその心象や構造を通して表現しようとするものである。

惑星は無意識の象徴であるからこそ、普遍的な要素としてエネルギーとして意識に行動にひとりひとりに対してサインとハウスという色合いを変えて働き続けている。
そのホロスコープそのものが象徴体系としてとらえられていることは、まさにユングがそして河合隼雄氏が晩年に強調されていたコンステレーションという概念につながる。

昨年から学んだことがこのような形で統合させ、自分自身の中で整理されていくことで、より確かな生き抜く知恵としてホロスコープが存在しているのだということを改めて強く感じさせられた。



一筋のひかり差しけり春落葉



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