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初夏の約束🌿

This picture  was   drawn digitally  Jun  Tachibana

 初夏の朝、ハルカは目を覚ますと、すぐに窓を開けた。新緑の木々からは、生命の息吹が感じられる。彼女は深呼吸をすると、心地よい風が部屋の中に流れ込んできた。その風に乗って、どこか懐かしい香りが漂ってくる。それは、小さい頃に祖母の家で過ごした日々を思い出させる香りだった。

 ハルカは、その香りを追いかけるように庭に出た。庭の隅には、ピンク色の芍薬が咲いている。その花びらは、まるで絹のように柔らかく、触れるとふわりと香りが立ちのぼる。祖母と一緒に植えたその花は、毎年、初夏になると美しい花を咲かせる。ハルカは、芍薬の花を一つ摘んで、深く香りを吸い込んだ。すると、幼い日の記憶が鮮明に蘇ってきた。

 祖母の家は、古いが温かみのある家だった。庭には、季節ごとに様々な花が咲き、常に自然の美しさに囲まれていた。ハルカは、祖母と一緒に花の世話をするのが大好きだった。

 特に芍薬の花は、その美しさと香りで、ハルカのお気に入りだった。祖母はいつも言っていた。「花は、私たちに大切なことを教えてくれるのよ。」

 今、ハルカはその言葉の意味を少しずつ理解し始めている。花は、時間の流れや季節の移り変わりを教えてくれる。 

 そして、どんなに時が経っても変わらない美しさを持っている。ハルカは、芍薬の花を手に、再び家の中へと戻った。彼女は、これからも祖母との思い出を大切にしながら、自分自身の道を歩んでいくことを決心した。


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