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話が聴ける子を育てる話し方 その1

今回は,若い教員やこれから教員を目指そうという学生向けです。

また,子育て中のお父さん,お母さんにも役立つかもしれません。


自称「脱力教師」の私でも,びしっと厳しく指導するポイントがいくつかあります。
その一つが「人の話を聴く」ということです。
勉強ができたり,運動が上達したりする子は,しっかり話を聴いています。
逆に,「話を聴かない」子がクラスの多数(感覚的には4分の1)を占めるようになると学級崩壊・授業崩壊が始まっているといっても過言ではありません。
そうなってから,担任が大声で指導しても,はっきり言って手遅れです。
話が聴けないのは,その子が悪いのではなくて,教師の話し方に問題があるのかもしれません。
今回から4回にわたって,私の経験をもとに話が聴ける子の育て方をご紹介します。

その1 話し始めの合図を出す

話が聴けるようにするためには,まず子どもたちを教師の方に注目させなくてはいけません。
経験を積んだ教師は,話を始める際,以下のいずれかで(あるいはそれらを複合的に使って)子どもに合図を出しています。

■決まり文句を言う
教師が話し始める時の決まり文句を言うことで,子どもたちを注目させます。
長い時間をともに過ごす関係なら,この決まり文句を言うことで子どもたちは話を聴くモードに切り替わりやすくなります。
これは,ベテランの教師もよく使っている技です。
自分が子どものころを思い出してみてください。
「はい!」とか「いいですか?!」など口癖になっている先生いましたよね。
実は,子どもに「今から話すよ」という合図を送っていたのです。
余談ですが,「ごめーん」が話し始めの合図の人もいました。
なんだか自信なさそうに見えるので変えた方がいいですね。

話の聞ける子1 話始め合図

■音を鳴らす
手を叩いたり、鳴り物を使ったりして,音で注目を集める方法です。
声が大きくよく通る先生は必要ないかもしれませんが,声がか細くあまり通らない先生は,自分の声が,子どもたちの声にかき消されてしまうことがあります。
その点,音だと,明らかに喋り声とは音質が異なるので,子どもたちも気づきやすくなります。
金切り声で「聴きなさい!」なんて言わなくても話を聴くようになります。
放送のはじめにピンポンパンポンと鳴るチャイムみたいなものですね。
ただし、机や黒板をバンバン叩くのは,威圧的でおすすめしません。
どんな音に子どもがよく反応するか,試してみるのもいいでしょう。

話の聞ける子1 話始め合図

■かけ合いをする
主に低学年では,単純な合図だけではなかなか注目できない子もいます。
そこで,有効なのが,このかけ合いです。
一方的な合図と異なり,教師と子どものやり取りが合図になっているので,低学年の子も注目しやすくなります。

たとえば・・・(以下T=教師 C=子ども)


T「先生のお顔見える人~?」
C「はーい。」
T「まだ先生の方見てくれていない子がいるね。あ!全員見てくれました。ありがとう。じゃ,話をします。」

あるいは,

T「5・4・3・2・1」
C「ゼロ!」
T「すごい!全員先生の方を向けたね。じゃ,話をします。」
指を示して,子どもたちにカウントダウンさせることで他の子にも気付かせる教師もいます。

などです。

このほかにも,先生が手を回したら拍手をして全員が拍手をしたところで,「笑っていいとも」のタモリ(古い!)のようにチャッ・チャッチャッチャとみんなで合わせてハンドクラップを指揮する教師もいました。

このかけ合いの問題点は,話をするたび,毎回こんなことやっていたら授業が進まないという事です。
また,やりすぎると子どもが飽きてきて,効果がなくなったり,ふざける子が現れたりします。
かけ合いは,話を聴く練習をするためのきっかけづくりのようなものなので,子どもたちに聴く力が育ってきたと思ったら,前述した単純な合図で注目できるように段階的にシフトしていった方がいいでしょう。

番外編としては,「教師が教卓の前にだまって立つ」というのが,話し始めの合図の先生の人もいました。
教師は一言も発しませんが,気付いた子供たちは,徐々に声を掛け合って静かになっていくというものです。
この形が良いか悪いかは,各自考えていただくとして,かなり訓練の積まれたクラスであることは確かです。

さあ,いかがだったでしょう。
次回は,話している最中の「アクセント」についてお伝えしていきます。
お楽しみに。

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