2020年のコーヒーニュースを振り返る【コーヒーの生産編】

元記事:2020 Heightened Existing Challenges to Coffee Production - Daily Coffee News [Daily Coffee News Staff | December 28, 2020]

2020 年の年明け、コーヒー市場価格(Cプライス)は悲惨なほどの低迷が続いており、コモディティ(Commodity)コーヒーの価格は世界中のコーヒー生産者の敵となっていた。そして 2020 年といえば、もう一つの「C」―――コロナウイルスが登場した。

小売業者、ロースター、トレーダー、多国籍企業、個人商店などが影響を受けたのと同じように、COVID-19 パンデミックは、世界中のコーヒー生産者グループにも当然同じような影響を与えた。コーヒーチェーンの他の場所と同様に、パンデミックによって力やリスク、富の不均衡は増大し、農作業を実際に行っている人たちや小規模農家はパンデミックによってさらに脆弱な立場に置かれ、貧困や食糧不安の増大、 農場放棄の増加などの影響が明らかになっている。

COVID関連での悪いニュースには事欠かなかったが、他にも様々な事の起きた一年であった。コーヒーの森をかきわけて、コーヒー生産に関連した2020年の記事を振り返ってみよう。

他の2020年まとめ記事に関しては、コーヒーの持続可能性(サステナビリティ編)コーヒーサイエンス(科学編)をご覧ください。

ホンジュラスとニカラグアのハリケーン被害状況

政府の公式推計によると、2 つのハリケーン「エタ」と「イオタ」の影響により、ホンジュラスとニカラグアだけでも 1 万ヘクタール以上のコーヒー農地が部分的または全体的な被害を受けた。

初のエチオピアCOEオークションで過去最高額を記録

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第 1 回目となったエチオピアのカップ・オブ・エクセレンス(COE)オークションでは、過去最高額となる 134 万ドルが 28 の受賞ロットコーヒーに支払われた。

スペシャルティコーヒーを救え!コラボレーションの必要性

COVID-19 の最初のパニックが収まってきたタイミングで、コーヒー会社は即座の、短期的な懸念の先を見ようとしている。スペシャルティコーヒーの売り手と買い手は、様々なバリューチェーンの取引先が経験している混乱を受けて、より中期的な影響を注視し始めている。

コロンビア、6,400 万ドルのコーヒー価格安定化基金を設立

コロンビア政府は、何十万人ものコーヒー農家を商品市場の不安定さから守るため、コーヒー価格安定化基金を正式に立ち上げた。

スタンプタウンとカラベラのダイレクトトレード

2 月中旬、オレゴン州ポートランドを拠点とするサードウェーブコーヒーのパイオニア、スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ Stumptown Coffee Roasters とスペシャルティコーヒートレーダーのカラベラコーヒー Caravera Coffee は、ダイレクトトレードに関するインパクトレポートの結果を発表した。

新しい非営利団体「モカ・インスティテュート」が狙うイエメンコーヒーのブーム

スペシャルティコーヒーと開発の専門家のグループが、イエメンのコーヒーセクターに技術的な指導を提供することを目的とした非営利団体「モカ・インスティテュート The Mokha Institute」を設立した。

新たに発見されたアラビカ種の遺伝的グループ「イエメニア」が世界市場に参入

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アラビカコーヒー(コフィア・アラビカ Coffea arabica)の新しい遺伝的グループの品種がイエメンで確認された。このコーヒーはとてつもない品質の可能性を秘めており、「イエメンの母」という意味の ”イエメニア” と名付けらた。

児童労働撲滅に向けたネスプレッソの行動計画

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今年の3月、イギリスのテレビ放送・チャンネル4は「Dispatches」リポートの中で、ネスレの子会社・ネスプレッソ社はその地域でコーヒーを調達している374の農園のうち3つの農園で、児童労働の国際基準とネスプレッソ独自のAAA持続可能認証プログラムの両方に違反していると指摘した。

コンゴ民主共和国東部の農家が向き合う現実

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コンゴ民主共和国東部、キブの北では今年の収穫期、コーヒー生産者が直面している従来の問題に加えて、武装集団による攻撃、洪水に土砂崩れ、エボラ出血熱、さらに COVID-19 のパンデミックと様々な問題が発生した。

コロンビア、プロミシング・クロップスの持続可能なコーヒーセクター構築への誓い

コロンビアを拠点とするコーヒー専門家チームは、持続可能な農業の拡大と農村コミュニティの間での市場アクセスの増加をという二本柱を目標に置き、コーヒー生産者に焦点を当てた社会的企業、プロミシング・クロップスを再構築・拡大し再スタートさせた。

グアテマラ、国際コーヒー協定からの脱退へ

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コーヒー価格危機が続く中、より公平なコーヒー貿易を促進し世界中の小規模農家を支援するという目的のもと、グアテマラ政府は2007年から加盟していた国際コーヒー協定からの脱退を正式に開始した。

気候変動がブラジルの2021年収穫シーズンに与えうる影響

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毎年9月中旬ごろには、ブラジルではコーヒーの収穫が9割方終わる。世界中のトレーダー、ロースター、投機家、金融関係者が次のシーズンの予測を始めるのもこの頃だ。

メソアメリカのコーヒー生産者への調査:COVID-19 パンデミックの影響は

COVID-19 パンデミックの真っただ中に収穫期を迎えた南米において、コーヒー生産の懸念点における調査を実施した。結果を踏まえ、中米とメキシコの生産者に焦点を当てて見ていく。

ブラジルコーヒー業界から奴隷制をなくそう。GCPの新政策

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非営利団体グローバル・コーヒー・プラットフォーム(GCP)は、ブラジルのコーヒー産業における現代の奴隷制度(モダン・スレイバリー)の問題に取り組む4年間のイニシアチブを開始する。

コロンビア収穫レポート:コロナ禍も収量減で価格は高

コロンビアでは、4月から6月にかけての収穫量減少が前触れとなり、最終四半期に入ってからもコーヒー価格は過去最高値を維持している。さらに、雨季に適切な量の雨が降ったことで、厄介な害虫、コーヒーボーラー “ブローカ” の被害も少なく済んでいるという。

レッドフォックス・コーヒーマーチャンツ、メキシコにオアハカ事務所を開設

レッドフォックス Red Fox Coffee Merchants は、ペルーのリマにある既存の拠点で磨き上げてきたモデルをベースに、メキシコに新たな事務所を開設した。よりトレーサビリティが高く品質の良いコーヒーを発掘したいという思いのもと、オアハカをはじめとするメキシコ南部のコーヒーによりスポットライトを当てる計画だ。

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全ての項目でリンクは原文記事をそのまま貼っています。この note で取り上げて翻訳したものについてはそのリンクも貼っていますが、それ以外の記事に関してどれか詳細を読みたいという記事があればコメント残していって下さい。

以上で2020年のまとめ記事は終了です。このジャンルは自分でも興味があって沢山翻訳した記憶があります。前回のサステナビリティ編と比較して翻訳記事数が2倍くらい多いですね。生産にまつわる見識を様々な角度から深める良記事が揃っており、翻訳しながらとても勉強になったのを覚えています。

この note を見に来てくださっている皆様はコーヒー業界に身を置いていらっしゃるのでしょうか?おいしいコーヒーのレシピやコーヒーそのものの情報、器具の紹介などキャッチーな情報ではなく、むしろニッチな情報ばかりをお伝えしておりますが(いやニッチかと言われるとニッチなことをやっているつもりはないんですが…)こういった記事が何かしら皆様の参考になっていればこれ以上に嬉しいことはありません。

ということで、重ねてにはなりますが2021年もよろしくお願いします。

junko