2020年のコーヒーニュースを振り返る【サステナビリティ編】

元記事:A Backslide for Coffee Sustainability in 2020 - Daily Coffee News [Daily Coffee News Staff | December 28, 2020]

昨年の今ごろ、我々は "2019年、コーヒー業界のサステナビリティ(持続可能性)ビジネスは急増した " と明言した。しかし2020年、企業の大小や官民を問わず、それぞれが己の利益や地位の維持に努めたことで、コーヒーセクター全体の持続可能性は一歩後退した。 むしろ、気候変動対策、持続可能な農法、環境保護、サプライチェーンの公平性などの面において、世界の農業・食糧システムがどれほど遅れているかを考えると、実際には一歩のみならず五歩も六歩も後退したといえる。

コーヒーやコーヒー産業に関連する「サステナビリティ」という言葉の本質について徹底的な議論をするのは簡単だが、後の世代にコーヒーを残すことができるか、種からカップまで(from seed to cup)生産する人々が雨風をしのげる環境で食料に不自由のない尊厳ある生活を送ることができるか、コーヒーの生産・流通・消費という慣行がコーヒー産業の衰退の一因になっていない、ということを保証できるかには、何の役にも立たない。


そのことを念頭に置いた上で、2020年のコーヒー業界の「持続可能性」のトップストーリーをいくつか紹介しよう。

付け加えるが、以下に挙げるニュースのリストには、本質的に米国のような伝統的消費国に拠点を持つ企業の持続可能性に関するニュースがほとんど含まれていないことを留意してほしい。これは、私たちの報道がカバーしきれていなかったというのもあるが、コーヒーにおけるサステナビリティは最終的にはサプライチェーンの一端に過ぎず、業界全体に適応されるものではない、という認識が根強いことを反映している。COVID-19のパンデミックはそれを増幅させたといえる。

2020年のまとめ関連のコンテンツについては、コーヒー生産関連のニュース(翻訳記事はこちら)や科学ニュースのまとめ(翻訳記事はこちら)をご覧ください。

●レインフォレスト・アライアンスが画期的な新認証プログラムを発表

先進的な農業認証機関であるレインフォレスト・アライアンスとUTZが合併計画を発表してからわずか3年後、レインフォレスト・アライアンスは、画期的な新認証プログラムを発表した。

米国農務省がオーガニック認証の規制変更を提案

(翻訳記事はこちら)
米国農務省(USDA)は、オーガニック認証プログラムの規制を大幅に変更することを提案しており、従来のコーヒー業界やスペシャルティコーヒー業界に大きな影響を与える可能性がある。

気候変動がブラジルの2021年収穫シーズンに与えうる影響

(翻訳記事はこちら)
毎年9月中旬ごろには、ブラジルではコーヒーの収穫が9割方終わる。世界中のトレーダー、ロースター、投機家、金融関係者が次のシーズンの予測を始めるのもこの頃だ。

エクアドルは「森を破壊しないコーヒー」でスペシャルティの新たな市場を開拓する

2011年までヴィタリアーノ・メリノ氏にとって、コーヒーといえば朝に飲む一杯のコーヒーだった。彼はエクアドル南東部のザモラ・チンチペ県に7ヘクタールの牧場を所有しており、そのほとんどは放牧に使われていた。しかしその年メリノ氏は、彼の農場を数年後劇的に変える出会いをすることになった。農畜産省のプログラムによって、コーヒーの種を手に入れたのだ。

ブラジルで注目されるシェードグロウン(日陰栽培)コーヒー

2020年初めに発表された研究によると、ブラジル南東部の山岳地帯では気候変動に伴う気温の上昇により、2050年までにコーヒーの栽培可能な土地が激減する可能性がある。

ICO の画期的なコーヒー開発報告書

10月1日の国際コーヒーデー(10月1日)には、多くの企業がコーヒーの販売促進活動、小売店ではコーヒー配布、コーヒー農家の活動を促進するための #coffeepledge などが行われたが、国際コーヒー機関(ICO)は画期的な報告書を発表した。

コーヒーの価格危機を受けて、ICOがセクター全体の協力を呼びかけ

国際コーヒー評議会(ICC)は、世界最大級の民間セクターの参加を受けて、より持続可能で豊かな世界のコーヒーセクターを支援していくことを再度表明した。

持続可能性のチャンピオン:RGC Coffee のアンジェラ・ペレズ氏への取材

From seed to cup - 種からカップまでの物語は、通常コーヒー農家から始まる。しかしこのとき、我々はコーヒー生産を可能にしている重要な人々の存在を見落としている。農家で働く農作業員だ。

コーヒーの木でもソーシャル・ディスタンス:COVID-19 とコーヒー葉さび病を読み解く

米国で COVID-19 が大規模に発生する前に、筆者は科学者たちがコーヒー葉さび病蔓延の原因やその背景として何を特定していたのかを探っていた。

対談:ジャニナ・グラブズ博士の新書「Selling Sustainability Short」について

民間の認証基準は、本当に持続可能な生産方法を実現できるのか?
これは、ジャニナ・グラブズ博士の近刊『Selling Sustainability Short? コーヒーセクターにおける労働者と環境の民間ガバナンス』における大きなテーマだ。

キューリグとルートキャピタルがDFC融資保証付きのサプライチェーン・プロジェクトを発表

非営利の貸し手であるルートキャピタル Root Capital と上場コーヒー飲料大手のキューリグ Keurig Dr. Pepper は、COVID-19 のパンデミックで影響を受けた小規模の農家・コーヒー事業を支援するためのパートナーシップを発表した。

●ハワイのカウアイ島で初めてコーヒー・ボーラーが発見される

コーヒーにとって最も厄介な害虫であるコーヒー・ベリー・ボーラー(CBB)が、米国最大のコーヒー農園があるハワイのカウアイ島で初めて発見された。

ハワイでコーヒー葉さび病が発見される

翻訳記事はこちら
コーヒーの作物を全滅させてしまう程の強い感染力をもつ植物の病気「コーヒー葉さび病」がハワイ州マウイ島で初めて発見されたと、ハワイ州農業当局が発表した。

コーヒー葉さび病がハワイ島に拡大

コーヒーの生産に壊滅的な打撃を与えるコーヒー葉さび病(CLR)と呼ばれる植物病が、ハワイ州最大のコーヒー生産島であるハワイ島で発見された。

●コーヒー企業500社以上のサステナビリティへの取り組みをレビュー

最近発表された調査によると、コーヒー企業の約3分の1はサステナビリティへの具体的な取り組みを示すことができるが、3分の1はサステナビリティへの取り組みが十分でない、もしくは受動的な参加者であり、残りの3分の1はサステナビリティに積極的ではないことがわかった。

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全ての項目でリンクは原文記事をそのまま貼っています。この note で取り上げて翻訳したものについてはそのリンクも貼っていますが、それ以外の記事に関してどれか詳細を読みたいという記事があればコメントを残していって下さい。

こうして振り返ってみると、サステナビリティ編の記事に関しては翻訳していないものが多いです。淡々と更新していく…と言いつつも、やはり「この記事だとあんまり読んでもらえないかな」「もうちょっと面白みのある記事がいいかな」と避けてきたことも事実です…。実際、サステナビリティは読んでいて自分を省みたり耳の痛くなる話が多いと思います。今年はもう少しサステナビリティに関する記事を多く取り扱って、きちんと向き合っていきたいと思います。

junko