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ウィキ・ソマーズ「オランダ人によってコピーされた中国製品

ウィキ・ソマーズ(Wieki Somers)が2007年に完成させた「Chinese stools – made in China copied by Dutch(オランダ人によってコピーされた中国製品)」。

アムステルダムに拠点を置く写真家Anne Timmer(1978)により撮影されたウィキ・ソマーズ(Wieki Somers)

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急速に成長する首都北京へ1ヵ月滞在し、発展する都会の片隅にある日常生活の小さな事柄に焦点を当てた作品です。首都の片隅で生活する警備員や路上販売店、人力車の運転手などの人々は自分の座りやすいように思い思いに椅子をカスタマイズしています。直接当たると痛いので、クッションとして適当な布を適当な紐で縛り付けたり、無造作に歴史を重ねてきた愛着のある椅子達から「北京の今」を感じとり、その椅子の形(フォルム)をそのまま再現できるよう素材を金属を溶かして金型に流し込む製造法(鋳造)で椅子のレプリカを作り、メタリックカラーの塗装で仕上げました。

きらびやかに発展を続ける都会の片隅に潜む真実。歴史を重ねて手を加えられてきたDIY精神の塊には手を加えることが出来ない程の威光を放つ独自性。

地域社会の価値観の原点を知るには、客観的に、その場に「生活する人々」の事実を把握する視点が必要だということに気付かされる作品です。

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同じモチーフですがアプローチの違う似た作品でドイツで生まれ、香港に拠点を置く写真家マイケル・ウルフ(Michael Wolf)の「バスタードチェアー(Bastard Chair)があります。

椅子は間違いなく地元住民にとっての日常の必需品であり、普遍的なもので、人生の痕跡を反映しています。マイケル・ウルフ(Michael Wolf)は「椅子自体に視覚的に魅力があると同時に、材料が無駄にしない中国人の思いやりと意識的な努力を描いている」と述べています。

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ウィキ・ソマーズ(Wieki Somers)もこのような景色を見たのでしょう。

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