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【雑感】J1_DAZN観戦_浦和レッズVSジュビロ磐田

遡ること昨年の6月。我が軍ジュビロ磐田が連勝を重ねていた頃である。大津祐樹と酒井宏樹はTwitter上でこんなやり取りをしていた。

このやり取りから約9か月。大津祐樹と酒井宏樹が初めて対戦相手として戦う日がやってきた。

大津祐樹だけではなく、ジュビロサポーターとしても赤く染まる埼玉スタジアムでのこの試合を待ち望んでいたはずだ。

そんな皆が待ち望んだ試合の結果は…

1-4の完敗

スコアを観れば大差であるが、スコア以上の差を感じる試合であった。
龍輝の活躍がなければもっと大差をつけられていただろう。

開幕戦の福岡戦でも感じたが、やはりJ1のレベルは高い。
そんな試合で私が気になったポイントを振り返ってみたい。

1.VS浦和 スタメン

前節との差分は浦和からのレンタル中の健勇が契約の関係で出れない代わりに今季短い出場時間で2得点と結果を残しているジャーメインがワントップに入る。

ベンチメンバーは黒川が入ったりとルヴァンで結果・いい印象を残した選手を入れて健全なポジション争いができている印象。

2.浦和の右サイド対応

この試合で気になったポイントの1つ目が浦和の可変したシステムへの対応である。

以下は先制点を与える前の5:50頃のシーンだ。

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まずGK西川選手へジャーメインと大津でプレッシャーをかけたが、逃げられ、ショルツ選手にボールを運ばれてしまう。
前半このようにショルツ選手に運ばれるシーンが多く、浦和は狙い通りの形なのであろう。
このショルツ選手の持ち運びが実現した理由は酒井宏樹によるピン留めにより昌也を低い位置で押し込んでいたためだ。
一方の左サイドでは左SHの関根選手がラルフをピン留めしている状況。

では、ショルツ選手の持ち運びによって浦和が実現したかったことは何なのか。それは以下の2つではないか。
①ボールを前進させること
②小泉選手にフリーな時間、スペースを作り出すこと

①により、ゴールに近づかせたくないジュビロはこれを防ぐために対応が必要となる。このシーンではヤットさんが対応。
酒井宏樹が昌也をピン留めしていることにより、②小泉選手が何でもできる状況を作り出すことに成功。
このシーンでは酒井宏樹を走らせ、センタリングからユンカー選手に決定的なシーンを作り出すことに成功した。

このシーンではサイドの酒井宏樹に出されたシーンで既に大井はユンカー選手に前に出られてしまっており、そのまま先に触られてしまっている。
ディフェンダーとしてはFWよりも先にボールを触れるようなポジショニングをしたいところ。
とは言え、大井とユンカー選手の走力の差かあるため仕方ない部分があるとは言えるが、浦和としてはここを突くために②小泉選手にフリーな時間、スペースを作り出したい。

具体的には両利きの小泉選手が、右サイドからガラ空きのバイタルエリアに左足で中にボールを運ぶことで
・ユンカー選手がプルアウェイの動きから足元にスルーパスをもらい、ワンタッチで抜き出す
・ダイアナゴルの動きで裏抜け

の2つの局面からジュビロの守備陣を突きたいのではないかと感じた。

整理すると

酒井宏樹が昌也をピン留めすることで
ショルツ選手の持ち運び→持ち場を離れてジュビロのボランチが対応→フリーな小泉選手からスルーパス→大井とユンカー選手の1対1

ゴールから逆算された非常にロジカルにデザインされた一連の攻撃である。
この浦和の右サイドの攻撃にジュビロは苦しめられていたのが気になっていた。

ちなみに以下は41:23のシーンである

先ほど同様ショルツ選手が持ち運びを図っている。小泉選手がフリーでボールを持たせないようにするため、陸が前に出た時に空くスペースにユンカーが動き出しを狙っていたシーンだ。浦和は陸がスペースを空け、人に対応するという特徴を捉えたプランBを持っており、浦和のスカウティングは一枚も二枚も上手であると感じた。

3.セットプレーの守備

浦和の先制点はCKから。
この先制点の前にもCKがあったのだが、

1本目2本目通してデザインされている
解説の城福さん

と言葉があった通り浦和の伊藤敦樹がショートコーナーの素振りを見せるなど1本目2本目の共通点があった。

また、犬飼選手の試合後のインタビューでは

--先制点のシーンを振り返って。
スカウティングどおり、狙いどおりのゴールでした。全全員が役割を徹底できたのと、本当にスカウティングどおり、狙いどおりのゴールでした。
浦和 犬飼選手

とスカウティングをここまで強調されたことも相まってセットプレーの守備が非常に気になってしまった。

フリーキックやコーナーキックからゴールが生まれる確率として「キッカーが7割、中に入る選手が2割を占めて、あとの1割は相手が関係してくる」
ナーガソン

という文化の中育ってきているため、どこがスカウティングのポイントであったのか?という観点から振り返ってみたい。

今シーズンセットプレーから失点していない(と思っている)ので、Weakポイントとして心当たりがあるとすると以下の2つ
・ストーンとなる昌也が比較的小さい(175cm)
・龍輝の上背がないためニアに弱い

ちなみに昨シーズンのセットプレーの失点がどれくらいあるかを調べてみると興味深いデータが見つかった。
以下を見てほしい。

着目して頂きたいのは失点割合である。ただしジュビロの失点割合ではない。甲府、そう伊藤監督の前チームの失点割合である。 

突出してセットプレーからの失点の割合が高い。脅威の約5割

伊藤監督のセットプレーの対応に問題があるのではない?と推測した。

それでは問題の1本目と2本目のCKを比較してみる。

1本目

2本目

1本目と2本目の違いは
・1本目のキッカーは江坂選手、2本目は岩尾選手
・1本目は伊藤敦樹のショートコーナー
・2本目はニアに密集
この2本目のニアに密集した部分を細分化してみたい。
①伊藤敦樹が1本目同様にショートコーナーの素振りを見せ、スペースを作る
②ショルツ選手がジャーメインをブロックし、スペースに入らせない
③ファーから空けたスペースに犬飼選手が走りんでニアで触って先制

伊藤敦樹がショートコーナーの素振りを見せ、スペースを作り、そのスペースに入らせず、そのスペースを使う。まさに城福さんが言う通り1本目2本目を通しデザインされたセットプレーであった。

ジュビロの課題としてはペナルティエリア内に11人全員がいるものの、ゾーンで守っており、先に触れないとシュートを打たれる、ということだろうか。

伊藤監督の甲府時代の失点シーンを見たことがないが、ゾーンディフェンスをしているものの先に触られたシーンが多かったのではないかと想定している。

伊藤監督並びにスタッフチームも狙いがあり、ゾーンディフェンスをしていると思われるため、マンツーマンに変更せよ!とは言わないが、解決案としてポストに1枚入れるだけでも幾分かは解決できるのではないかと考える。
真ん中、ファーについては出たとこ勝負なのかな…と思いつつ、フリーで走りこまれるときついため何かしらの解決策は求めたい。

4.ボールの出し入れに伴うポジショニング変更

気になるポイントの3つ目。
具体的には2失点目のシーンで特に感じた。

昌也がボールを保持しているが、浦和の中盤が面を作り、ブロック
平行の大森、こーすけにはFWのユンカー選手、江坂選手が付いてくることで、昌也は止む無く陸に下げるしかなかった。

昌也からボールを受けた陸にユンカー選手がアプローチ。
陸は大井に展開。その大井には江坂選手がこーすけへのパスコースを消しながらプレッシャーをかける。槙人には関根選手がついており、ユンカー選手が陸へのパスコースを意図的か知らないが消していたためパスを出すところがなく、ジ・エンド。
このシーンでボールを奪われた大井を責めることはできない。ボールを出すところがまるでない。今までの大井だとロングボールを蹴るような場面でも大井は蹴らずに下からつなぐ伊藤サッカーを体現しようとした。
問題は昌也がボールを下げたときにそれに連動し、ポジショニングを取り直すことができなかったチーム全体の問題であると考える。
浦和の中盤4枚は昌也がボールを下げたことをトリガーに面の状態を保ったまま立ち位置を前進させている。
一方の我が軍はそのままズルズルと動き、中盤の底にこーすけ1人の状況となってしまった。
確かに浦和の中盤4枚の裏で大森、ヤットさんがボールを受けることができたらチャンスにつながるが、江坂選手に規制されている以上それは厳しいと考える。
関根選手と伊藤敦樹のギャップに顔を出せたりすると良かったのかな…
いずれにせよ伊藤監督のサッカーを実現していくためにはボールの出し入れに伴う細かなポジショニングを変更していく必要があると考える。

--立ち上がりから押し込まれてボールを握れなかったが、要因は?
われわれの立ち位置を取る前に、相手のプレッシャーを受けてしまったのは1つの要因かなと思います。また、相手の背中にボールを入れられなかった。二度追い三度追いできるようなボールの動かし方をしてしまったこと。2失点したあとは、自分たちでボランチを経由しながらチャンスを作れていたと思っていますので、そこで1点取ったあとに次の1点を取られたのが苦しかった。ボールの動かし方と相手のプレッシャーの逆を取るところは、もっともっとクオリティーを上げていかないといけないと思います。
試合後 伊藤監督のインタビューより

5.ハーフタイムによる修正

2.浦和の右サイド対応のパーツで言及したが、前半大井とユンカー選手の走力の差を突かれることが多かったことから、勇気をもって大井を外すことも1つの手かなと思っていたが、伊藤監督は大井とラッソを替え、4-5-1にシステムを変更した。
4.ボールの出し入れに伴うポジショニング変更にも関連するが、前半ポゼッションをする際にジュビロの最終ラインの前にヤットさん、こーすけがいないことがあったこともあり、4-5-1に変更したことでボランチの立ち位置が定まったことで前半気になっていたポイントが整理されたハーフタイムであったと感じた。
昨シーズンまでは選手交代で後手であったが、伊藤監督は早くから修正に動き、納得感があるロジカルな采配で唸らされることが多い。

一方の浦和は2枚替え。ユンカー選手に替え、明本選手。関根選手に替え浦和期待の助っ人モーベルク選手を投入。モーベルク選手投入に伴い、関根選手がいた左には小泉選手が右から左に移動。また、前半高い位置を取っていた酒井宏樹の立ち位置が下がり目になった一方で左SBの大畑選手が高い位置をとるように変更。
加えて、犬飼選手とショルツ選手の左右の立ち位置を変更。

6.伊藤監督のやりたい攻撃

ここで少し浦和戦から離れるが、ルヴァンカップのジュビロの試合が面白いとよく耳にする。私自身スカパーを契約していないため90分通して試合を見たことがないが、映像を見せてもらうと低い位置から少ないタッチ数でスピード感をもってゴールに迫るような攻撃が何度かあった。
私は伊藤監督がやりたい攻撃はこのような攻撃ではないかと思っている。
そんな攻撃シーンが浦和戦の53:45頃にあった。

左サイドに流れたこーすけから左SBの昌也にボールを預け、ヘルプに入った大森にワンタッチではたき、すぐさまムーブ。大森はそのままワンタッチで走り出した昌也にリターンしてモーベルク選手を置き去りにしたシーンである。
少ないタッチ数でスピード感をもってボールを動かすことができていた。こんな攻撃を徐々に増やしていってほしい。

浦和目線からこのシーンを見てみると昌也の対するモーベルク選手の寄せが甘いことが起因したシーンであると思う。
攻撃で比類なき能力を発揮するこのレフティーは守備面でやや甘さがあるように感じた。
そんな右サイドに対して浦和はすぐに修正を図る。
いつの日か見た懐かしの伊藤敦樹のラキティッチロールで修正を図ったように見受けられた。

伊藤敦樹がモーベルク選手の戻るべきスペースを埋め、バイタルエリアには小泉選手、江坂選手が落ちて対応しているように見受けられた。
すぐに修正できるのがリカ将率いる浦和の強さか。
いらぬ心配であるが、ユンカーと選手モーベルク選手、噂される新たな外国人FWが守備の強度の観点から共存できるのかは気になりますね…

7.最後に

スコア以上の完敗であったが、リーグ序段に自分たちの立ち位置が分かったことで実り多き一戦になったのではないかと思う。
明らかになった問題点を解決し、シーズンを終わった際にターニングポイントとなった一戦として笑って振り返ることができることを願っている。
幸いこれから代表Weekによる中断に入る。また、ブラジル五輪代表のリカルドも合流していることから伊藤ジュビロはこれからまだまだ成長・進化できると信じている。

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