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五感で感じるものから生まれる価値がある。先輩社員たちが「新入社員歓迎ツアー」を開催した理由

全国47都道府県のすべてに支店を持つJTBでは、毎年、各支店に新入社員が配属されます。ドキドキとワクワクが入り混じる着任初日。仙台支店では「共に働く支店の仲間とかけがえのない時間を過ごしてほしい」という先輩社員たちの想いから、オープントップバスを貸し切り「新入社員歓迎ツアー」を実施しました。

今回は、そんな「新入社員歓迎ツアー」を企画した仙台支店の佐々木千草と、仙台支店の新入社員・笛田菜々美に、ツアーの実施に込めた想いや組織づくりの取り組み、仙台での新たな暮らしについて聞いていきます。

佐々木千草(ささき ちぐさ)
2009年入社。仙台の店頭にて勤務後、2015年に東京のウエディング専門店に異動。現在は仙台支店で営業開発プロデューサー/ロイヤルスタッフとして勤務する傍ら、組織風土変革を目的としたJTBの取り組み「Smile活動」を主導するSmile委員長としても活動している。
笛田菜々美(ふえた・ななみ)
JTB仙台支店に2024年に入社した新入社員。大学まで東京の実家に住んでいたが、入社と同時に新しい場所で社会人をスタート。現在は教育営業課に勤務。

仙台支店の強みは、多様性と人の温かさ

——まずは、仙台支店の特徴を教えてください。

佐々木:地域交流事業や法人営業、スポーツ事業、インバウンド事業、教育、大学営業、店頭販売など、事業が多岐にわたるところが特徴です。社員の数は126名。地域支店ではあるものの事業領域が広く、社員に多様性があり、いろんなチャレンジができる場所なのではないかなと思います。

仙台支店の様子。最前列中央が佐々木(2023年撮影)

——新入社員の笛田さんは仙台支店に配属が決まったとき、どのように感じましたか?

笛田:実は、着任初日まで一度も仙台に来たことがなかったんです。てっきり実家から通える東京配属になるものだろうと、思い込んでいたんですよね。配属式で「仙台配属」と言われたとき、何かの間違いなんじゃないかと思ってしまったくらい(笑)。インターンや内定者交流会で仲良くなった同期にも「仙台に行っちゃうの!?」と驚かれました。今まで実家で暮らしていたのに一人暮らしも始めなくちゃいけないし、東京の友達とも離れなくちゃいけない。正直、結構ショックでした。

でも、いざ着任初日に出社してみたら、先輩たちが温かく迎えてくれて。佐々木さんもその一人ですが、部署が違っても「ランチ行こうよ」と声をかけてくれたり、困っているときにはすぐに声をかけてくれる先輩ばかりなんです。不安でいっぱいだった気持ちも、先輩方の優しさと笑顔のおかげで、安心して社会人としてのスタートを切ることができました。

佐々木:私も何度か異動を経験していますが、たしかに仙台支店は人が温かいと感じます。地域柄もあると思いますが、みんな新入社員が入ってきてくれたことが純粋に嬉しくて、つい声をかけてしまうんだと思います(笑)。

仙台の可能性に想いを馳せる「新入社員歓迎ツアー」

——新入社員の着任初日に実施した「新入社員歓迎ツアー」の内容を教えてください。

佐々木:まずオープントップバスに乗り、街づくりの中心地である定禅寺通りなど市内各所を巡回。その後、「仙台城址」、「東北大学青葉山キャンパス」を訪れ、仙台の歴史や「仙台市×東北大学スマートフロンティア戦略」の今後の発展について、仙台支店の観光開発プロデューサーやそれぞれの担当領域の先輩から説明をしてもらいました。

また、地域を挙げて応援してきた「東北楽天ゴールデンイーグルス」の球場見学、最後に外部の方をお招きして講話をいただきました。

笛田:「初日は何をするんだろう、座学の研修だろうなあ」と想像していたのですが、出社してすぐに「さあ、行くよ!」と声をかけられて驚きました!外に出ると目の前にオープントップバスがあって、すごくテンションがあがっちゃって(笑)。

青葉山城の展望台から仙台市全体を見下ろしたとき、「ああ、これから私はここで新しい暮らしを始めるんだな」とさらに実感が湧いてきました。

——笛田さんが特に印象に残っている訪問先はありますか?

笛田:個人的には「東北楽天ゴールデンイーグルス」の球場が一番印象に残っています。JTBがお客様にご提案している「ならではプラン(※)」と同じ内容を体験させていただいたんです。球団のスタッフさんに、普段は見られないような練習場やラウンジを案内してもらいました。

JTBならこんなにおもしろいプランができるんだな」「自分もいつかこんな特別感のあるプランを提案してみたいな」とモチベーションが湧いてきたことを覚えています。

※ならではプラン=そのとき、その場所でしか見られない感動体験や、地域の方々と交流するプログラムなど、地域に眠る観光資源を、地域の方とともにJTB担当者が発掘しプラン化したもの。

「新入社員歓迎ツアー」の準備の過程が、支店の一体感を生むきっかけに

——「新入社員歓迎ツアー」の実施は今年度が初めてだったそうですね。この企画はどのような想いから誕生したのですか?

佐々木:新入社員の皆さんは、いろんな気持ちを持って着任初日を迎えていると思うんです。希望の配属が叶った人もいれば、そうでない人もいる。期待と不安の両方を抱えているなかで、「自分はどんな志を持ってJTBに入社を決めたのか」を再確認し、また、仙台支店はその志を叶えられる場所なのだと感じてもらいたかったんです。

ツアー内容を組み立てるにあたって各部署のリーダーにアイデアを出してもらったところ、新入社員たちに見せたいものの案がたくさん出てきたのですが、まずはお客様視点で仙台を楽しんでもらおうという観点で絞り込みました。

「ならではプラン」やオープントップバスを取り入れたのも、お客様から人気のあるプランだったからです。JTB社員として関わる前に、まずは一人のお客様としてJTBが提供する体験の魅力を肌で感じておくこと。それが後々、仕事に生きてくるのではないかと思ったんです。

笛田:このツアーを通じて、いろんな部署、いろんな世代の先輩たちの仕事ぶりを間近に見られたことも、すごくありがたかったです。自分と1年しか変わらないのに、社会人らしい言葉遣いでお話される先輩をみて、「自分も1年後にはあんなに素敵な社員になれるのかな…!」と羨望の眼差しでその背中を眺めていました。目指したい姿が具体的になって、しかも明確になったのも良かったですね。

あとは、このツアーのおかげで、支店内の同期とすごく仲良くなりました。初日のワクワクもドキドキも共有しあえたことで、一気に距離が縮まったと思います。今もほぼ毎日のように同期と一緒に帰ったり、飲み会に行ったり、休日は遊びに出かけたりと、プライベートでもすごく仲が良くて。もちろん仕事についてもお互い励まし合い、切磋琢磨し合える関係性ができています。こういった仲間がそばにいてくれるのも、新しい環境で前向きに頑張れる理由かもしれません。

佐々木:実は心の距離が縮まったのは、新入社員だけではなくて私たちもなんです。

準備をする過程のなかで「新入社員が来てくれるんだな」という実感や喜び、そして縁があってこの地に配属が決まり社会人としてスタートする彼ら、彼女らを「ちゃんと育てたい」「これからみんなで育てていくんだ」という一体感が生まれていくのを感じました。来年以降もぜひ続けていきたいですね。

地域で働く魅力は、外から眺めているだけではわからない

——佐々木さんはJTBグループ全社で実施している「Smile活動」の仙台支店委員長もされていると聞きました。「Smile活動」についても教えていただけますか。

佐々木:「Smile活動」というのは、経営ビジョンを達成するための社員のエンゲージメントアップ、組織風土変革を目的とした活動です。私は1年ほど前から、仙台支店の「Smile委員長」を務めています。

先ほどお話した「新入社員歓迎ツアー」の実施だけでなく、支店内アワードの開催なども行ってきました。仙台支店の一体感を生み出せるような施策をいろいろな角度からトライしているところです。

——今後、仙台支店をどのような組織にしていきたいですか?

佐々木:個人的には、共に働く仲間がお互いを尊重して、その人の強みやいいところを引き出し合えるような組織づくりができたらいいなと思っています。個人の能力を最大限に生かし、発揮できる場所があってこそ、組織に化学反応が生まれて創造的なアイデアや新たな価値が生まれてくると思うので。

また、いまはデジタルの進化により代替できる仕事も増えてきていますが、実際に五感で感じるものには、いつの時代も変わらない価値があると思っています。そしてそれらを生み出せるのはやっぱり人であって、その源泉に「お客様にワクワクを届けたい」「社会をよりよくしたい」という強い想いがあってこそ。

だからこそ、JTBグループは社員を大切にしてきたんだと思いますし、実際、JTBの社員はお客様の感動や喜びに共感して、自分事として感じられる社員が多くいます。私も一社員として、その想いを体現し、推進できる存在でありたいと思っています。

——笛田さんは、そんな仙台支店でこれからどのようなことにチャレンジしていきたいですか?

笛田:仙台支店に配属されること自体は想定外でしたが、今担当している教育旅行の営業は、私が一番に希望していた業務なんです。就活のときからずっと、教育旅行に携わりたいです!と言っていて。なので、私ならではの提案ができるようにというのが当面の目標ですね。

繊細で感度が高い学生時代にした体験は特別なもの。今後の人生にも生かしてもらえるような体験を、旅を通じて届けていけたらいいなと思っています。

——現在、リモートワークなど働き方が多様化し、地方転勤をためらうケースもあるかと思います。そんななかで、地域で働くことの魅力はどんなところにあると思いますか?

佐々木:働き方の多様化にあわせて、制度も選択肢も増えてきました。自身が望む働き方を実現できることが一番ですが、実際に自分も異動を経て感じたのは、東京から見ているだけの「地方」と、実際にそこで働いてみるのとでは、見える景色が全然違うということ。

地域の支店には、この地域を良くしたいという熱量が高い社員がたくさんいるのですが、この熱量は、一緒に働いてみないことには本質的にはわからない。また社外の方々の熱量であればなおさら、共に地域を創ってこそわかるものだと思うんです。

少し大げさかもしれませんが、仙台支店で働く社員には、いまこの地で働くことの意義を考え、感じてもらって、これからの各々の将来に活かせるような経験をたくさんしてもらいたいと思っています。

笛田:先日、東北の各支店に配属された子たちとご飯に行ったとき、みんな口を揃えて「住めば都だよね」という話をしていました。私も本当にそう思いますし、外から眺めているだけではわからない魅力が、きっとどの支店にもあるのだと思います。 

私は大学までずっと東京だったので、満員電車や高層ビルの多さに疲れちゃうときがあって…。でも、仙台にはすぐ近くに海や山がある。それってすごいことなんだなって、住んでみて実感したんです。

首都圏は人が生み出した「観光施設」が多いのに比べて、東北は自然を生かした美しい「観光資源」が多くあります。そんな東北、そして仙台の魅力を家族や地元の友達にも知ってほしい。

いまの仕事では、仙台の方々を他の場所へ送ることがほとんどですが、いつかは仙台に人を迎える仕事にもチャレンジしてみたいです。そして、たくさんの人に、私のように仙台を好きになってもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。

写真: 赤坂淳
文:  佐藤伶
編集: 花沢亜衣