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忘れられない言葉たち

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強く共感したもの。心を突き動かされたもの。また読みたいとふいに思い出す素敵なnoteを入れさせてもらいました。やわらかな言葉に、切なさに、激しさに、もう一度スキを。
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#掌編小説

バーチャルな恋が、リアルな愛に変わるとき

──── Grrrrrrrrrrr! 遠くに聞こえたその咆哮は、声だけで大物なことが分かった。全速で森…

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雨にキッシュの花束を

ありふれた街に平凡な雨が降っている。平凡の反意語は非凡だけど、非凡ってポジティブな言葉…

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思い出は消さないで

【 好条件:1ヵ月、部屋ごもりするだけで報酬は100万円!】 うさんくさい求人メールが気にな…

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短編小説 「桜の降る日は」

ドアは、いつも目の前で閉まる。 たとえば電車に乗り込もうとすると、必ず目の前でドアが閉ま…

西平麻依
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掌編小説 | 春隣、或る日

・3月4日(木) 曇り  今日の歌:人魚/NOKKO 取手のついた口の広いガラス瓶にとぷとぷと水を…

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掌編小説 | 橙色の箱

《 ストレージがいっぱいです。》  はいはい解ってます、ご親切にどうも。瞳子はスマホの液…

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掌編小説 | Signal

ねぇ、物事には相性ってものがあるじゃない。 白ごはんに、お味噌汁。 夏空と、甲子園。 終電間際の、帰りたくない。 じゃぁ、クリスマスイブには? チキン、シャンパン、フレンチ、プレゼント、ライトアップ、ケーキ・・・ ぐつぐつぐつぐつ。 灰汁を取る作業は間もなく終わってしまう。 所在なさげに黄金色が輝くグラスの水滴を拭う指先は、いま何を考えているのだろうか。 ひとつだけ、先にお伝えしてもいい? クリスマスイブに水炊き、って絶対間違いだと思うのよ。 -- 鶏、豆腐

寺が燃える

寺が燃えている。 炎が寺の全てを包み込む、大きな火柱となっている。 一報を帰宅途中に、妻…

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掌編小説 | にじいろ、オルゴール

「ちょっと、スマホ見て?もうこれ何回目?」 扉が開いた瞬間、私のおかえりを掻き消すように…

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not too late

ドラッグストアに入ると、初老の男が店員に向かって怒鳴っている。大きな声なので聞き耳を立て…

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「 約束のエアハイタッチ 」

一面の窓ガラスに、たっぷりとした陽の光を浴びて木々の緑がきらきらと揺らめいている。 あぁ…

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雨の夜のキャバクラと焼き鳥と

6月の金曜の夜、上司にスナックとキャバクラが合わさった様な店に付き合わされた。キャバクラ…

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