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記事一覧
【てるてる坊主の゙ラブレター】人生最後のラブレター #毎週ショートショートnote
祖父が亡くなり帰省した。
「お帰りタケル」
「ただいまバァちゃん。なんか縮んだな」
「アンタ私を幾つだと思ってるンだい。もうひ孫も小学生なんだよ」
「姉ちゃんとこのカノちゃんか」
「ジイさんもひ孫のランドセル姿まで見れたンだ、満足そうな顔しとるから見てあげな」
そう言われて仏間に通された。
祖父は昔気質の典型的な昭和の男で、気難しい表情を浮かべている事が多かった。眉間のシワがないだけでも生前よ
【祈願上手】神様に好かれたら
神様に好かれる人間っているよね。
性根がまっすぐで日頃の行いが良いのか、たまたまそういう星の下に生まれたのかは知らないけれど。
例えば不思議と幸運が続くとか、九死に一生を得るとか。
「あとはそうだな、願い事が叶うとか」
眼鏡の奥の目を細めて男が笑う。
駅ビルの軒先から見上げる空は土砂降りで、だけども男のささやくような声はよく耳に届いた。
ワイシャツに灰色のスラックス姿、一見地味な男だった。印象
貴方の斉藤一はどこから? 私はるろ剣!
斉藤一をご存知ですか。
幕末の動乱期、京都の治安維持を目的に結成された浪士隊、新選組。その三番隊隊長を努めていた男です。
沖田総司や永倉新八と並び新選組でも最強と名高い剣豪で、歴史小説はもとより多くの漫画やゲームでも取り上げられています。
時にダークで危険な餓狼、時に憂いを帯びたクールビューティー、時に胡散臭く本性を見せない二重スパイ……。
明治維新以降も生き延びた斉藤ですが、名を変え、過去を語る
【放課後ランプ】ランプの精はじめました #毎週ショートショートnote
「最近変なバイト始めたんよ」
放課後の帰り道。制服のスカートをはためかせレミは言う。
「怪しいバイトじゃないよね?」
「うーん、妖しくはあるかも。バイトってランプの精なん」
ーーランプの精。
「遊園地のキャスト?」
「いやホンモノやで〜」
笑いながら告げられる言葉は歌うように軽やかで、でも冗談と呼ぶにはまっすぐだった。
「言うてバイトやし、ホンショクのヒト程すごいお願い叶えるんは無理。
【行列の出来るリモコン】タピオカを魚卵と言い張る人種に察する能力なぞ期待するべからず
人混みは好かない。特に団体行動しなきゃいけない時の乱雑さは一等不快だ。
だというのに、部活帰りの君はとびきりの笑顔で指を指す。
「なんかめっちゃ流行ってるんだって」
少し意外な事に、それは家電店の行列だった。
先輩や後輩がころころと笑って答える。
「あー、リモコンね」
リモコン? 魚卵汁の亜種?
「いやだから魚卵じゃないっつーの」
そういう名前の菓子か何かと思ったら、どうやら本当にリモ
【毎週ショートショートnote】人はそれをフラグと呼ぶ【会員制の粉雪】
ここはとある地方都市にある、小さな会員制スキー場『パウダースノー粉雪』。
「パウダースノーって粉雪の事だよね?」
「自分の持ちアパートに『アパートメントグリーンリバー』なんて付けるオーナーやぞ。今更やん」
ちなみにオーナーは緑川さんと言う。好々爺といった雰囲気のジェントルマン。
ネーミングセンスは安直でも堅実な資産家で、わざわざ会員制にしているのも税金対策の道楽経営だから、なんて噂まである。