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【行列の出来るリモコン】タピオカを魚卵と言い張る人種に察する能力なぞ期待するべからず

人混みは好かない。特に団体行動しなきゃいけない時の乱雑さは一等不快だ。
だというのに、部活帰りの君はとびきりの笑顔で指を指す。

「なんかめっちゃ流行ってるんだって」

少し意外な事に、それは家電店の行列だった。
先輩や後輩がころころと笑って答える。

「あー、リモコンね」

リモコン? 魚卵汁の亜種?

「いやだから魚卵じゃないっつーの」

そういう名前の菓子か何かと思ったら、どうやら本当にリモコンらしい。先輩が利便性がどうの映えがどうのと説明してくれるけど、俺には良く解らない。

「欲しいの? リモコン」
「ん〜?」

リードを咥えた仔犬よろしく突撃しそうな勢いだったのに、返事が鈍い。

「ぶっちゃけ欲しいかって聞かれると微妙……?」
「微妙なんだ」
「微妙」

正直な返答に、ますます疑問は深まった。
欲しいか? リモコン。

「でもさ~」

ギンガムチェックのマフラーに埋めた顔は少し赤かった。こちらを見上げる瞳に熱がこもる。

「寄り道の理由くらいにはなるじゃん?」


こちら参加させて頂きましたー。今時の若い子にはタピオカはもう古いのか? リモコンに行列が出来る世界線だからいっか!

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