見出し画像

西洋での日本に対して語られるnarrative

今更いちいち語ることでもないかなと思ったのだが、ある日会社で私が育った国で差別を受けた理由について驚かれたので、意外と知られていないのかと驚いたので簡単にここに記しておく。


私はヨーロッパのとある国で育った。過去に移民政策をとったこともあって外国人、主に中東系も多い。戦中はアフリカに植民地も持っていたことから黒人も、少ないながら、いないわけではない。
とはいえ日本人である私の家族に辛く当たる人は少なくなかった。仲良くしていた同級生がいたのだが、家族と公園に行ったとき、たまたま鉢合わせして目があった。しかし彼女の母親は私たち家族を睨みつけ、絶対に行くなと言わんばかりに彼女の手を引いて場を離れた。また、別の機会に投稿しようと思っているが、親友の母親が超絶親米派で、私たちの学校の先生だったのだが、ある日「私の娘に2度と近づかないでほしい」と言われたこともある。どちらも小学生の時の体験である。

先日米国防長官から原爆投下は「戦争を止めた」という趣旨の発言があった。
これは米国、というか西洋社会のスタンダードなnarrativeである。

私の祖母は広島出身で、偶然広島に戻る途中で原爆が落ち、そのまま友人を助けるために現地へ向かった。「今夜は一緒に寝ましょう」と寄り添って寝たところ「ケロイドがうつった」とのことだった。現在はケロイドはうつらないことがわかっているので、おそらく普通に現地の塵や埃から被爆したと思われる。当時は間接被爆者として認定を受けることもできたが、当時蔓延していた被爆者差別を恐れ認定を受けることはなかった。

よってこの手の発言は看過できないし、その旨をXでポストしたら「日本の阿呆の過去人」認定を返信をいただいたがそんな言葉では私は黙らない。
今を生きているからこそ「原爆投下がそんなに正しかったならロシアにもパレスチナにも落としてみろ。そんなことをしても戦争を止められなくて、状況を悪化させることを本当は知っているかこそ、アメリカは原爆を使わないのだ。これは原爆投下が間違っていたことを自覚している証左である。」と言っておく。

話は逸れたが、このnarrativeが世界標準であることは国際社会に生きる人々全員に覚えておいてほしい。国際社会とは日本国内だけの生活を含んでいる。私たちはこの地球に生きている限り世界市民なのである。

国連には旧敵国条項というものがある。その中には日本、ドイツ、イタリア、 ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドの七カ国が含まれていて、この七カ国は現在も国連加盟国の「敵国」なのである。日本の外務省はこの条項は「時代遅れ」であるというスタンスで、それを資料に明記している。

国連憲章には、第2次世界大戦中に連合国の敵国であった国々に対し、地域的機関などが安全保障理事会の許可がなくとも強制行動を取り得ることなどが記載されている条項(第53条と第107条) があります。これを「旧敵国条項」と呼んでいます。旧敵国の具体的な国名は、国連憲章には明記されていませんが、日本、ドイツ、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドの 7ヵ国を指すものと考えられてい ます。
現在では、これらの国々はすべて国連加盟国となっており、「旧敵国条項」が未だに国連憲章上存在することは時代遅れです。日本は、1970年の第25回国連総会以来、たびたび総会などの場で、国連憲章から「旧敵国条項」を削除すべきであるとの立場 を主張してきています。

「日本と国連 Japan and United Nations」 - 外務省

この敵国条項はただ国連憲章の中で機能してるだけではなくて、日本は「西洋の敵」として社会的に認知されているのだと感じることは少なくなかった。
上記のエピソードもそうだし、インターナショナルスクールに通った時期もあるが歴史の授業ではいかに日本が邪悪な国で、パールハーバーを奇襲攻撃し、原爆を落とされるに値したかを教わった。

しかしこれはただのnarrativeに過ぎなくて、勝者が描いたストーリーなのである。

私は「大日本帝国が正義だった」とか、そんなことを言うつもりは全然なくて、戦争というのはどの国も自国の正義のために戦っていて、自国のメンツが第一で、周りが「停戦しなさい」と忠告したところで止まらないものである、それが恐ろしいのであるということを一番言っておきたいのだ。
その上で一般人を巻き込むことは間違いで、街に暮らす民間人はもちろん、偶然を装って意図的に医師団や食料支援団体を攻撃することも正しい行為ではない。

そして勝者によるnarrativeは戦後50年以上も経った今も尚、敗戦国の国民である私を理不尽に苦しめてきたことを主張したいのである。来年で戦後80年経とうとしている今も尚、このnarrativeが世界を支配していることが異常だというのが私の意見なのだ。

日米首脳会談の文脈と関係なく、このnarrativeは主流であってほしくないのだ。より建設的な未来のために、時代遅れな旧敵国条項を削除し、新たなnarrativeが語られる日が来てほしい、ただそれだけだ。

#戦争 #原爆 #原子爆弾 #アメリカ #米国 #広島 #長崎 #差別  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?