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一人の天使と地獄絵図 仲間四人の戦い

忘れもしない当時の僕たちは
おぞましい経験の持ち主だ

辛いのは
人前でいる時
全身を駆け巡る武者震い
しだいに汗ばむ体
脳ミソをひかっき回される用な感覚

とくに最悪なのは
女性と会話している最中
この場から
立ち去りたいのに女はよくしゃべる
「バカ女いい加減にしろ」 て
 言えない自分

そんな日々が続き

いつしか
僕たちはこの感染症と戦っていた


この感染症
24時間攻撃の手を緩める事はない
日中はもちろんの事
寝ている時など
飛び起きるからね
たまったもんじゃないよ

この
末恐ろしい病気は
「インキンタムシ」
思春期の僕たちにとって
下半身の病気はとても恥ずかしく
ズボンの中に手を入れ
ぼりぼりかく姿は
他人には
見られたくない光景

今思えば 風呂は一緒
パンツはみんなで使いまわしが
あたりまえ
「最悪だよね」

いつしか治療薬を求め
数ある作戦の中で
オキシドールや痒み止めなど
色々試したが いまいち
そのなかでも スゴかったのは
下の毛を剃り
キンカンを振りかけた時など
チ〇コが取れたかと思ったよ
「あれは マジ アブね~よ」

不思議なのは
仲間内で一人だけ彼女がいたんだけど
突然の別れ
理由は聞けなかったが
彼女も また
生き地獄を味わっているのだろうか
ある意味
股ぐらを
まさぐってっる姿を想像すると
興奮をおさえられなかったな

ある時
友達の家で くつろいでいる時
「キャー」
オバサンの叫び声
友達が母親の前で
寝ながら下半身に手を入れ
幸せそうに むさぼる姿は
この世の絶頂期と
言わんばかりの にやけ顔

この おぞましい光景を
仁王立ちのまま
見下ろす母親

まさに地獄絵図

震えた手で口を押さえて
「 え え え 」と何も言えず
静かに自分の部屋に戻りました

数日後
友達から差し入れされたのは
秘薬
インキンタムシの薬

母親から問いただされ
告白せざる おえなかったらしく
なんにせよ
僕らの戦いは
これにて終了しました
それにしても
母親の偉大さには感心しました
35年も前の話ですが
オバサンの事は今でも
天使とも思える存在です



小さな出来事を面白く伝えればと思ってます