マガジンのカバー画像

悪辣の魔法使い

37
昔むかし。人を襲い、害をなす悪鬼と間違えられ、小さな瓶の中に封じ込められてしまった、名もない子どもの小鬼。  長い歳月のあと、封印から解き放って救い出し、レイという名前まで付けて…
運営しているクリエイター

#鬼

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第1話

【あらすじ】   昔むかし。人を襲い、害をなす悪鬼と間違えられ、小さな瓶の中に封じ込めら…

吉岡果音
11か月前
25

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第2話

第2話 レイオル、そしてレイオル  逃げ出したほうが、いいのかな。  レイは、ぼんやりと…

吉岡果音
11か月前
14

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第9話

第9話 帽子収集家 「俺も、情報を得たぞ!」  おはよう、より先に出た旅人アルーンの第一…

吉岡果音
9か月前
12

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第10話

第10話 それは幸いだったと思う  うっそうと連なる緑が途切れ視界が開けたとき、小高い丘の…

吉岡果音
9か月前
16

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第11話

第11話 賑やかな旅のはじまり 「私も一緒に連れて行ってください」  晴天の朝に見る一面の…

吉岡果音
9か月前
16

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第13話

第13話 森宝玉  小鬼のレイの頭にある、三本の角。 「時間・空間・物質を表わすって聞いて…

吉岡果音
8か月前
15

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第14話

第14話 星聴祭  森宝玉たちを換金してもらい、外に出ると町はすっかり夕日に染まっていた。  小鬼のレイが肩から下げているカバンは、少しふくらみ、重みも増している。  初めての、お金。人間のお金。これは、俺の……!  心が弾んでいた。魔法使いレイオルは、自分のために充分過ぎるお金を使ってくれていたけど――カバンだってレイオルが買ってくれた――、それはあくまでレイオルのお金。今自分のカバンには、確かな重みの自分のお金、というものがある。  俺は小鬼だしお金は必要ないと思

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第16話

第16話 もう一人の魔法使い  楽団は最後の曲を演奏し終えたようで、ただ澄んだ空気と星のま…

吉岡果音
7か月前
13

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第17話

第17話 魂宿りの物 「別にお前さんを追いかけているわけじゃあないよ」  古びたテントの店…

吉岡果音
7か月前
14

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第18話

第18話 櫛とバックル  オレンジ色の街灯の下、小鬼のレイは、一生懸命辺りを見渡していた。…

吉岡果音
7か月前
11

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第22話

第22話 旅の者、集う  小鬼のレイは、ご機嫌だった。  レイオルに、アルーンさんに、ルミ…

吉岡果音
6か月前
12

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第23話

第23話 小鬼の大将  お、鬼だあ……! 本物の、鬼……!  小鬼のレイは、尻もちをつき震…

吉岡果音
6か月前
16

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第24話

第24話 鬼の変身  亀裂の先は、光か、それとも新たな闇の始まりか。  小鬼のレイと魔法使…

吉岡果音
5か月前
16

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第25話

第25話 絶対コロス宣言  星が眠り、変わって金色の新しい光が空を明るく照らし始めるころ――。 「朝飯! 俺が朝飯をとってきてやろう!」  人の姿に変身した鬼のダルデマが、むくっと起き上がると同時に勢いよく叫んだ。 「お前はニワトリか」  二番目に目覚めた魔法使いレイオルが、冷静に言い放ち、 「朝一番に、うるせーっ!」  剣士アルーンが上半身を起こして怒鳴り返し、 「朝ごはん! なに食べるのっ!? 間違って俺たちを食べないでねっ」  小鬼のレイが寝ているうち