見出し画像

イノベーションのジレンマって何故?リアルな経験から考えてみた。

こんにちは。
ようやく#4です。
今回も記事に目を通していただきありがとうございます。

さて、早速ですが、
本日のお題は「イノベーションのジレンマ」についてです。
クリステンセンが提唱したイノベーションのジレンマです。有名ですよね。
しかも、この時代ですので、それが何を意味するのかをわかっていなくても、意味をすることの内容自体は皆さんすべからくご存知だと思います。

イノベーションのジレンマが何故生じるのか?を私の経験をもとに、ちょっとドロドロした要因を解説してみたいと思います。
ちなみに、私は大手企業の中で新規事業開発に携わった経験があり、マーケターや、プロジェクトマネージャーを実際に経験しました。

イノベーションのジレンマとは

破壊的イノベーションをおこすのは、既存企業ではなく、新興企業(がほどんど)である、という状況を説明するものです。
例えば、日本の自動車産業は、改善のイノベーションが得意で世界で随一となりました。しかし、改善のイノベーションが得意である分、これまでと全く異なるビジネスへと変貌する社会に遅れをとっています。まさに、EV化と、新興企業とはテスラですよね。
他にもたくさん思い浮かぶはずなので、今日では、意味することの内容は知っているはずだ、ということです。

ところで、「改善」というのは、製品プロセスを1~10までにわけると仮定したときに、1~10のプロセス、特に5~10ぐらいのプロセスに関することだと想像がつくと思います。
新規事業は0⇒1のプロセスなので、普通に考えて得意であるわけがないですよね。ざっくり言えば、それが、何故?という理由なんですが、今回はもっと掘り下げて説明したいと思います。

「本」と「経験」を組合わせて掘り下げます

今回も(#3同様に)、読んだ本をオマージュさせていただきながら、自分の経験もふまえて解釈します。
伊神 満氏 (著) 「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明

今回はこちらを参照して、いくつか内容をピックアップします。

何故生じるのか?の要因

要因1)広義的なカニバリゼーション
要因2)カニバリゼーション環境がうむ「やる気」の自然消滅
要因3)大企業という組織の謎

この3つの要因で解説したいと思います。

要因1)広義的カニバリゼーション

カニバリゼーションとは共食いのことを指します。
新規事業として、ある製品をつくって市場に出したら、既存事業の売上を共食しちゃった、という意味です。
既存事業の生ビールに対して、発泡酒を新規事業としてはじめたら、既存事業の生ビールの販売数が減っちゃった、とう事例がわかりやすいですね。
上記本の著者である伊神氏は経済学者として統計的に分析を要因したところ、このカニバリゼーションの影響が大きいと結論付けています。
その詳細までは、ここで触れませんが、私的に、このカニバリゼーションを広く捉えて解釈を試みてみました。

同じマーケット(市場)で新規事業をせずに、カニバリゼーションが起きないようなプロダクトをつくればいいじゃん、と考えるかもしれませんが、実は本質的にカニバリゼーションの問題を解消できないんだ、という話です。

すでに利益がガンガンでている既存事業を持つ大手企業が、新規事業をつくるとします。そして、その新規事業は既存事業と全く関連がないとします。
しかし、事業やプロダクトを開発するうえでは、資源の投下が必要になります。大企業はどこから、このための資源をもってくるかというと、既存事業が頑張ってかせいだ利益から開発投資として分配してもらうことになります。まさしく、この資源をわけあうことが、資源の共食いであり、広い意味でカニバリゼーションであるということです。

新規事業は、たいていにおいては、打率も低く、そして成果が目にみえてくる時間も遠いです。
そんななか、真の意味で、新規事業に、既存事業よりも優先して(真の覚悟をもって)資源を投資するというのは難しいものです。既存事業を放棄するほどの覚悟がないとできないのですが、大企業として成立している以上、既存事業はほっとけない状態になります。
既存事業を脅かすような競合他社の脅威が発生した場合、それは新規事業に投資する開発よりも、優先度を高く対応をしてしまいます。それほど、既存事業の地位というのは大企業として落としたくないものです。

リアル経験談として面白い話があるので紹介しましょう
①会社として新規事業を最優先にするから、既存事業からエースを集める。という話を聞いたとき、すでに新規事業を細々とやっていた私はワクワクしたものです。しかし、蓋をあけてみると、エース風ばかりであり、真のエースは一人もいませんでした。エース風というのが、またウケます。既存事業からは、真のエースという人材資源を放出したくないという、カニバリゼーションの問題です。
②既存事業の方から言われた言葉があります。「10億円の新規事業をやるより、既存事業の原価低減を1円した方がいいじゃん。可能性の低い新規事業にヒトもおカネもあげたくない」と。その方の既存事業で成果をあげなければいけない立場を考慮して、否定はしません。否定はしませんが、どうしても、近視眼的になってしまうというのも、既存事業があることこそのカニバリゼーションの問題だと思います。

そして、(批判は多いでしょうが)個人的には、新規事業で成果をあげるか、あげないか関わらず、既存事業で出した利益からお給料が出続けるという不可避問題についてです。この「サラリー資源の共有」が最大のカニバリゼーションだと思っています。共感できる方は、強く共感いただけるのではないかと思います。資源こそが大企業の最大の強みであるのに、資源が弱みをつくる最大の要因だと思います。

要因2)カニバリゼーション環境がうむ、「やる気」の自然消滅

伊神氏のデータ分析でもう一つ面白い話があります。
それは、既存企業と新興企業には(これまで能力に差があるとされてきたが、実は)新規事業を創出するための技術力などの能力には、ほとんど差がないという分析です。私も、新興企業=スタートアップの方が優秀な人間多いっしょ、と思っていたので、面白い分析だと思いました。
そして、さらに面白いのが、じゃあ何に差があるの?(差があるから新興企業でイノベーションがおきるの?)というと、「やる気」というマインドでしか説明できない、という示しがあったことです。
とてつもなく、ウケました。そして共感しました。
要因1で書いたように、広義でカニバリゼーションの問題にさらされると、大企業で新規事業にいる人間は、自分でも気づかないうちに、または、自分で認めたくないという心理バリアがはられることによって、認知されないレベルで、やる気を消失しているのだと、ひどく共感しました。
私自身、なかなか成果が目にみえてこないつらい時期には、何度も、「他人よりがんばってるからいいよね」とか「しばらくぶらさがって楽をしようか」と心の中で甘えと戦った記憶があります。新規事業をする方は、ほとんどすべからく、高い危機意識と正義感をもって取り組んでいるので、より、このやる気の自然消滅はわかりにくくて、みえないものです。それが、要因を細分化して、でてきた一番最初の原子みたいなものです(だと考えています)。

要因3)大企業の組織という謎

組織は大きくなればなるほど、歴史が長いほど、わけのわからん謎がうまれます。
昨今の、コンプライアンスやマスメディアのわけのわからんことで、わけのわからんルールや常識みたいなものが出てくるのと一緒の感覚です。
要因2のやる気と関連しますが、大企業には(ある種の)優秀な方が多いので、一人一人の個人と話(1on1等)をしてみると、高いモチベーションや強い危機感をもった方だという印象を受けるお話に発展することがほとんどです。本当に、個人としては、そうなのだと思います。しかし、面白いことに、そのような人が集まって組織になると、急激にゴールを見失ったり、行動力が鈍化したり、組織モチベーションが低くなったりします
意味が分からなくて面白いです。
個人的には、究極的にはぶら下がり精神状態に陥ってるのではないかと考察しています。
余談ですが、大企業には、びっくり仰天するほど、ぶら下がっている方の割合が高いです。大企業を知らない方は本当にびっくりしますよ。
過去の組織のことを記事に書いていたら、腹立たしいことばかり思いだしてきました。一つ例をあげましょう。
それは、「無能で有能風に頑張る人」がとても多く、しかも、そういう属性の方が謎に上にあがったります。
ご存知のように、組織にとって一番悪の属性は、無能で頑張る人、です。無能な戦略のもと戦術を展開したときに一番損失が大きいからですね。しかし、その属性に一つ加えましょう、「有能風」なのです。有能風にふるまうスキルがとんでもなく高いので、昇進することもできる属性です。たちの悪いことに有能風ということは、自分の戦略が生産性に意味がない、ということを認識したうえで、あえて無能ぶりを有能風に発揮している方もいらっしゃいます。
書いているとイライラしてくるので、この辺りで。
兎に角、大企業組織というのは、一般の方からはわかりにくいのですが、とんでもない組織の問題をかかえており、現在では、それがしゃれにならないレベルで生産性に影響していることだということです。

どの選択をするのか

ここまでに説明したように、大企業で新規事業を創出するには、あらゆる問題を解消して突き進まなくてはいけなく、とてもハードルが高いです。
個人的な提案としては、新規事業は(最初の数年間は仕方ないとしても、いずれかは)完全に既存事業の利益からの投資を受けず、失敗したら本体にもどれないというような退路を断つことと、リソースを断つことが必要だと思います。加えて、さらに大事なことは、そのリスクを負う方が、逆に得をする仕組みにすることだと思います。リスクを負って失敗した方も、自己の収入をとぎれさせることなく連続的にチャレンジする機会が与えられるような、終身雇用制度をなくして、人材が流動的な社会になることが必須です。
・・・・まあ、遠そうですよね。

というわけで、現在の大企業は、新しい仕組みへと変革しようと頑張っています。それは百も承知しています。でも、特にこのご時世ですので、その変革にどれほど時間がかかるのかはわからず、「今」という時間がもったいないので、イノベーションのジレンマを脱却すべく大企業の中で戦うことをやめて、大企業から脱走してスタートアップをすること選択しました。それが私の選択肢です。

残って戦うことも立派な選択肢です。性格や環境への適正は様々です。
でも、世の中でたくさんこうなればいいな、と思うのは、
踊る大捜査線の青島と室井さんのような役割分担で、ひとつの大きな思想にそれぞれで向かう、ということですね。

本日はこれで以上となります。
次の投稿までいってらっしゃいw

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?