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子育ての最後を認識する瞬間はほっぺたのキスから【子育てエッセイ】

「ママ、やーめーて」

第一子ちびちーちゃんのほっぺたにキスをしようとしたら、初めて拒否された。いつものように朝起きて、おはようのはぐをした後の出来事だった。ほっぺにキスまでがいつもの流れだったのに、突然の拒否に私はただただ驚いてしまった。


ずっとずっと赤ちゃんだと思っていた第一子。心も体もすくすくと育ち、気が付けば、ちびちーちゃんは2歳半になった。「すき」「きらい」「いい」「だめ」など、自分で判断して言葉で伝えることができるようになった。赤ちゃんのときは、不快なときに泣いて伝えることしかできなかったのにね。

ひとりの人間として、我が子は今日も成長している。初めて「ママ」と言った日、すべり台をすべれた日、お料理に挑戦した日。なんでもない日だってどこかしら目に見えない成長をしている。
子どもの成長は嬉しい。なのに、悲しくて、さみしい気持ちもはらんでいる。


ほっぺたへのキス。
今は、キスさせてくれる日もあれば、させてくれない日もある。それが、きっと成長とともに、どんどんさせてくれない日の割合が増える。そうして、いつかはほっぺたにキスをまったくさせてくれない日がくる。キスをしないことが普通になる。

当たり前といえば、当たり前のこと。

だって、私は母から頬にキスされた記憶はないし、ねだったことも記憶にない。それくらい幼いころの本当にあったかどうかわからないくらいの話で。「愛されていた」感覚だけ、ぼんやりとあるだけで、カタチあるものはひとつも残ってないもの。


ほっぺたのキスは、永遠じゃない。

それを明確に自覚してしまった。


「子育ての最後は、最後だと認識できない」と聞いたことがある。
必死で子育てしている時は子どもの「抱っこ!」アピールに手を焼くのだけど、気が付いたら「抱っこ!」を求められることはなくなっていて、最後に抱っこしたのはいつだっただろうと思うのだとか。

それと似たような感覚を今味わっている。
このキスは永遠じゃない。もし明日「やーめーてー」と拒否されて、その次の日も拒否されたら、今日のキスが最後のキスになるわけだ。


あと何回、君のほっぺたにキスができるだろう。


いつ「最後」になるかわからない、と知っているだけでも、1回1回が特別に思える。今日と同じ日はもう戻ってこないことを頭の中に入れておきながら、子どもたちとなんでもないことで笑い転げていたい。



明日もいい1日になりますように。



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