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第2話 水の浄化と循環

日の光がサンサンと降り注ぐ中、スカシは飲料水や生活用水を求めて、水源を探すことにした。
 すると、アリンコチエに伝わったのか、彼女は友達のモグラを呼んでくれたのだった。(アリンコチエは知恵をスカシに授けていく存在となる)
モグラは得意の穴掘りで穴を掘り下げていくと、地下水脈を当てたのか、噴水のように水があふれ出した。
 その様子を見守っていたスカシとサルモノクレタは、噴水のように噴出した水をせき止めて池を作ろうと、石をまーるく並べてため池を作った。大地の恵みがギュっと詰まったその水は、とてもおいしそうに思えた。
サルモノクレタ、アリンコチエ、モグラと一緒にスカシもその水を存分に味わった。
 氣づくと、そのモグラは7匹のコモグラたちを連れて来ていた。

    テレレレッテレー♪
  スカシの無人島クエストに、モグラたちが加わった。
  新しい仲間に名前をつけましょう。

スカシはモグラに「モグラモスルイ」と名付け、7匹のコモグラたちにそれぞれ、ドレミ、ファソラ、シドレ、ミファソ、ラシド、
レミファ、ソラシと名付けた。

スカシは感謝をこめて、モグラモスルイと7匹のコモグラたちにナデナデしたりハグしたりした。その感触と温もりを感じているうちに、モグラたちが愛おしく思えてきて、いつしかスカシの目から涙があふれ出た。モグラたちもかわるがわるにスカシにすり寄っては、ナデナデやハグを求めてきた。
 そうこうしているうちに、スカシはあるゲームを思いついた。モグラの数に合わせて8個の穴をモグラに掘ってもらい、その穴にランダムにモグラたちに配置についてもらう。そしてスカシが一つの穴を選び、その穴に潜んでいるモグラの名前を当てるというゲーム。見事に当てることができたら、その穴からモグラがひょっこり顔をだし、スカシがナデナデするという『モグラなでなでゲーム』というもの。
 これが思った以上に楽しく、たまらなく愛らしく、病みつきになった。

モグラたちも、スカシの愛情を受けてさらに氣分が良くなったのか、今度は汚物用の穴を掘り始めた。そう、ボットン式のトイレをプレゼントしてくれたのだ。
 そして、アリンコチエが念写で自然の浄化と循環システムを教えてくれた。スカシのオシッコやウンチが汚物穴に投下されると、アリンコチエの仲間のダンゴムシや微生物が分解して肥やしにする。その肥やしが植物や木々の栄養素となって豊かな実をつけたり、森林や草原を育む。また、分解・浄化された後の水分は地下水となり、これも植物や木々の生命力を支えている。そんなイメージでスカシは受取ったのだった。

雨の循環もアリンコチエが教えてくれた。
 雨は木々の葉っぱや植物を潤しながら大地に降り注ぐ。大地に降り注いだ雨は表面の土を削りながら“川”という流れになって海に注ぐ。その水は太陽から注がれる熱で暖められ、水蒸気となって再び空に舞い上がり、上空で
雲を形成して雨となって、大地に注がれる。
 大地を潤す水や川の水は地中へと浸透し、地下水となって蓄えられる。
モグラや地中で暮らす微生物たちにとっても命の水となる。水は人だけでなく、この地球に棲む全ての生命にとってかけがえのないもの。命の水なんだということを。

さらにアリンコチエは火起こしに必要な焔硝(天然火薬)の作り方も教えてくれた。だから、モグラモスルイたちが掘ってくれた汚物穴(トイレ)もオシッコとウンチを分けて用をたすようにしてくれていたのだ。オシッコ用の穴にはヨモギを敷き詰めた。
 【天然火薬の作り方】
  ヨモギに尿をかけて土中に伏せこむ。こうして微生物発酵させて、
  尿の中のアンモニアとヨモギに多く含まれるカリウムを反応させて
  硝酸カリウム(天然火薬)を作る。この天然火薬を焔硝(えんしょう)
  とも言うらしい。
2本の小枝の先に焔硝を付着させて、こすり合わせることで摩擦を起こすという火起こし法をアリンコチエが教えてくれた。でも、焔硝の量をほどほどにしないと爆発するかもしれないから、使用量には注意が必要とのことらしい。(参考 https://karuchibe.jp/read/11038/

これまでのスカシは、生きがいを感じたことも、とくにやりたいこともなく、ありきたりの日常を過ごしてきたのだが、無人島生活を始めて行くうちに、自発的に行動するようになっていった。
 木や草などの自然の素材を生かした家屋、道具、調理道具、それにお風呂も作ってみたいな~。
 それにいつまでも裸でいるのも・・・服はどうしようか?

  この物語はフィクションであり、作者である私の妄想から
  産まれた空想物語です。したがって、登場する人物や名称などは
  実在のものとは異なりますので、ご注意願います。

        つづく

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