「やる気のないように見える選手」のアプローチの仕方(サッカー指導+アドラー心理学)

こんにちは、ジョゼ佐藤です。
今朝、

このようなツイートを私が投稿させていただきました。

すると、このようなご質問を質問箱でいただきました。

質問箱より

なるほど、そうですよね。
サッカーや指導への情熱や思いを込めて、日々の指導を熱心にされている指導者の方からしたら、

“やる気のない選手”

という選手は目に付くことだと思います。
私も若い頃はそのような選手がいたら、

「やる気あるの?」
「このままでいいの?」
「このまま卒業したら、後悔するよ?」

などと選手へ威圧的な態度と言葉でもってプレッシャーをかけてしまったと思います。

その威圧的な指導の結果、選手がどうなったかというと、10年間の中高生への指導経験の中で2名の選手を『退部』に追い込んでしまいました。

そのときのことを思い返すと、選手自身にも退部の原因はあったと思いますが、指導者である私からの威圧的な指導は選手にほとんど必要がなかったと思っています。

なぜなら、選手が活動に参加してくれているということは、選手に『やる気』や『目的』があるから参加してくれているという、

“大大大前提”

があるからです。
その大大大前提をもって活動に参加してくれていた選手に、

「やる気あるの?」

なんていう、選手の人格否定(やる気や意思の否定)をしていたのですから、

「選手にやめられてしまってもそれは指導者の責任ですよ」

と言われて当然のことだと思います。

では、私はそんな選手にどのようなアプローチをすれば、やる気が上がったのでしょうか。

「やる気あるの?」(=オマエの考えはまちがっている)と選手に伝えると、どんなことが起きるのか?

なによりまず、アドラー心理学の考え方では、

子どものことを追い詰めても、子どもはその大人に反感をもつだけ

子どものことを追い詰めても、子どもはやる気が下がるだけ(上がることはない)

と考えられています。
あなたはもしかすると、

「いーや、オレは子どもの頃、指導者から『やる気あるのか!』と怒られてやる気が上がったよ」

という経験があるかもしれません。

しかしそれは、厳密に言うと、指導者がやる気を上げてくれたのではなく、

指導者に怒られてやる気がなくなった時に、他の誰かに慰めてもらったり、励ましてもらったから

なのです。
あなたはそのことにお気づきでしょうか?

なのであなたがもしも指導している選手に、

「やる気あるのか!」

と怒った時に、その選手を慰めてくれたり、励ましてくれる選手がいなかったら、その選手はあなたのことが嫌いになるか、やる気が下がるかして、その競技へのモチベーションが下がってしまうのです。

その選手を「慰めてくれる人」や「励ましてくれる人」がいるのかどうかは、ギャンブルみたいなものになってしまうのではないでしょうか?

なぜなら、その選手を慰めてくれる人や励ましてくれる人は、いないことだってあるからです。

なので、できるだけそのようなギャンブルのような指導は、今の時代は避けたほうがいいと思います。

話が少し逸れてしまいましたので、本題に戻ります。

では、そのような、

『やる気のないように見える選手』にどのようなアプローチをしたらよいのでしょうか?

それは、ズバリ、

❶冷静に現実を理解させる
❷冷静にその選手の未来の予想図を伝える

です。
指導者が熱くなって「やる気あるのか!」などと怒鳴ってしまうから、選手は理解ができないのですし、ただ単に、

「オレはコーチから怒られている(やだなぁ)」「コーチがなんで怒っているのか意味不明(困ったな…)」

などといったストレスが生じているだけなのです。

そこで、指導者はそんな選手への怒りの感情を上手くコントロールして、

❶冷静に現実を理解させる

例)今の君の練習の仕方では、君のサッカーのレベルは上から数えても30番目くらいだよ。だから今の君がそのままの状態でいたら私は君のことを試合に全く出せられないで君は引退をすると思うよ。

などと指導者のほうが冷静にその選手の現状を分析し、その選手のありのままを伝えるだけでいいのです。

(「こうしなさい」などと要求はせずに、まずは現状を伝えるだけでいいと思います。まずは現状を理解することがやる気のスタートになりますので)

❷冷静にその選手の未来の予想図を伝える

今の君の現状は先ほど(❶で)伝えたよね。だから試合に出られずに引退してしまうのを避けたければ、練習での集中力を上げる努力をしたり、やる気を上げるために目標設定をしたり、「自分がなんのためにサッカーをしているのか?」の目的の確認をして自己分析をしてみると、引退をするまでに自分の能力を上げて試合にも出られるんじゃないかな?

(などと提案をしてみる)

ということを指導者からされてみてはいかがでしょうか。

選手にやる気がなかったり、気持ちが入らないのは、選手に、

❶自分の現状(置かれている現実)
❷自分の未来の予想図

が見えていないだけのことが多いと思います。
本当にシンプルなことですが、学生の選手は見ている世界が狭く、少し先の自分の未来ですらイメージできていない選手が多いのです。

※やる気のある選手も練習中にふと、気持ちが下がったり、練習への集中力が落ちてしまうのは、どれだけやる気のある選手でも、気を抜いてしまうと簡単に「自分の現状」や「自分の未来の予想図」を忘れてしまうことがあるのです。

そのためにもまずは指導者のほうが先に冷静に選手の現状や未来の予想図を捉え、それを素直に落ち着いて伝えてください。

指導者である貴方がそのような素直で落ち着いた態度で選手と接すれば、あなたの思いや考えはきっとそのまま選手に伝わると思います。

選手の「やる気がない(ように見える)」という結果に目を向けるのではなく、明るい未来に目を向けて、選手をポジティブに勇気づけてあげてください。(アドラー心理学の考え方)

学生の選手の指導はなにかとストレスや感情のコントロールが必要な場面が生じると思いますが、ときに、選手の態度や言動に怒りの感情をこらえきれずに選手へ怒りの感情をぶつけてしまいたくなると思います。

ですが、指導者は選手にキレてしまったら、それまでどんなに良い事をし、良い指導をしていた人だとしても、その時点で選手からは「キレてしまった人」「感情をおさえられずに怒りの感情をぶつけてしまった」人として、本来の貴方の思い描く良い指導とは別のイメージを選手に伝えてしまうかもしれません。そのような『誤解』を避けるためにも、どうか選手の明るい未来のためにもグッとこらえてがんばってください。

このたびはご清聴を誠にありがとうございました。

以上


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