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#5 アル厨

終業後。
オフィスから一番近いコンビニに立ち寄り、氷結ストロングのロング缶を手に取り支払いのためにレジへと向かう。

いつも似たような時間に立ち寄るため必要以上に言葉さえ交わすまで至らずとも、馴染みのスタッフが対応してくれるのだがこの日はある違和感を感じずにはいられなかった。

どうやら僕が何を買って行くかを2人のスタッフが賭けている。
支払いを済ませて立ち去ろうとする僕が踵を返す前に片方のスタッフがガッツポーズをし、またもう片方が悔しがる素振りが微妙に視界に入った。

たまたま今だけここでバイトしているといった風貌のキリっとしたイケメンの大学生らしき若者と、対して社会人として成り立ちそうにない言動の怪しいハゲ上がりかけた中年男性。
後者について、以前たまたま連れ合った同僚が言っていた。
「あのヒト、LARKって言っても平気でKENT手渡そうとしてくるんですけど、箱の色似てるからってヤバくないすか?」

そんな彼に賭けの対象にされて何を想おう。
そう一瞬アタマを過ぎりはするものの駅のホームでプルタブを引いた。


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