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箱根駅伝優勝・青学監督の組織哲学がビジネスに ジョリーグッドに懸ける想い

今回のインタビューでは、採用広報チームが、2022年9月にジョリーグッドの社外取締役として就任した、青山学院大学 陸上競技部監督・地球社会共生学部 教授の原晋さんに迫ります。

原さんが参画した経緯や、外部取締役の視点で見るジョリーグッドや代表取締役CEOである上路さんの印象、さらには独自のリーダーシップ論が誕生した原体験まで、お話をうかがいました。


原 晋(はら すすむ)
  
1967年3月8日、広島・三原市生まれ。自身も陸上選手として活躍し、現役を引退後、2004年に青山学院大学陸上競技部監督に就任。2009年に33年ぶりの箱根駅伝出場を果たし、2015年には青学史上初となる箱根駅伝総合優勝を達成。2024年、第100回箱根駅伝では大会新記録で2年ぶり7回目の総合優勝を達成する。また、2019年4月より青山学院大学の地球社会共生学部の教授にも就任。そのほか、スポーツ解説やコメンテーター、書籍の執筆など、幅広く活躍中​


箱根駅伝7回の優勝は奇跡ではない。そのノウハウをビジネスでも証明したい

——はじめに、原さんが社外取締役としてジョリーグッドに参画した経緯を教えてください。

今から4年ほど前に上路さんから声をかけていただきました。彼はジョリーグッドの代表取締役CEOとして、利害関係にとらわれず、経営方針や事業の方向性に対して是々非々で意見するアドバイザーのような存在を求めていたようです。

——上路さんからの誘いを受けて、どのようにお感じになりましたか?

まず、素直に嬉しかったですし、自分にとっても良いチャンスだと思いました。私は青学駅伝部の監督として、これまでにチームを箱根駅伝で合計7回の総合優勝に導いてきました。これは決して「偶然」や「奇跡」ではありません。優勝という目標に対して、データを集めて分析し、適切な人員を配置して、学生たちをモチベートしてきた成果だと捉えています。そして、そのノウハウはスポーツだけでなく教育やビジネスなど、チームビルディングのあらゆる枠組みで共通するものだと信じてきました。

ジョリーグッドは2014年に設立し、医療分野に新規参入したスタートアップ。これから組織を成長させていくプロセスにおいて、私の経験やノウハウをお役立ていただけるのではないかと思い、参画させていただきました。

一方、私はこれまで私立高校の教育顧問や、スポーツ分野のアドバイザーとして企業に関わったことはありましたが、教育やスポーツとは直接関係のない一般企業に社外取締役という立場で関わるのはジョリーグッドが初めてでした。だからこそ、上路さんの期待に応えたいという思いや、青学駅伝部の監督として構築したチームビルディングの哲学がビジネスでも通用することをジョリーグッドで証明したいという思いもありました。

——ジョリーグッドの事業に対してはどのように感じましたか?

医療・ヘルスケアのVRコンテンツを体験させてもらい、新しい時代を切り開いていくワクワク感に身震いしました。

駅伝は道具を使わず、体ひとつで走る競技。だからこそ、まさに体が資本であり、医療との結びつきが非常に深いです。血液の状態が悪ければ貧血になり、そのときには内科医で、足を痛めたら整形外科で適切な治療を受ける必要があります。そのため、常日頃から医師の先生との連携が欠かせません。また、私自身、埼玉医科大学の客員教授も務めています。

日本の医療技術は非常に進んでいますが、事業者が新規参入するハードルは高く、旧態依然とした閉鎖的な雰囲気も残っています。そんななかで、カリスマ医師の登場だけを待っていても医療業界は発展しません。

360度のVR空間と映像技術を通して誰でも最新の医療メソッドを共有できるジョリーグッドのソリューションは、そうした医療業界に一石を投じるものだと思います。ジョリーグッドのサービスが国内で広がれば、医療技術の底上げや人材育成の課題解決にもつながるでしょう。もちろん、海外にも需要はあるはず。実際、ジョリーグッドはすでにアメリカやタイで事業展開していますからね。今後もさらに拡大する余地が無限にあると思います。

一人ひとりがプロフェッショナルとして、0から100を生み出す

——原さんが社外取締役として初めて社員の前に登場したのは、2022年の就任直後に開催した全社イベントでのサプライズ講演でしたね。

そうですね。初めて社員さんと対峙したとき、その瞳は爛々と輝き「私の話から何かを学び取ろう」という姿勢をひしひしと感じました。情熱に溢れていて、この熱量をさらに加速させるのが自分の役目だと、気持ちが引き締まりました。

——「リーダーシップと人材育成」というテーマで講演いただきましたが、ジョリーグッドは入社歴や役職の有無に関係なく、全員が主体的に仕事を進めていくマインドが根付いています。だからこそ、原さんのお話は幹部だけでなく全社員の胸に届く素晴らしい内容でした。

そのマインドが目の輝きにも表れていたと思いますね。一人ひとりのスキルや可能性にフタをせず、広げる文化がジョリーグッドにはあります。

もしかすると、優秀な人材は戦後の日本を支えてきた古典的な大企業に流れがちかもしれません。しかし、仕事を初めから終わりまで一人でやり切れる文化は、そういった会社には残念ながら少ないでしょう。だからこそ、力を発揮できずにくすぶっている人や、その社風に慣れ「自分はこんなもんか」と諦めている人がたくさんいると思います。

仕事が分業化されるほど、誰も成果を気にしなくなり、責任に対しても鈍感になる…。これは従来型の日本企業の大きな問題だと私は考えています。人間は仕事を終えたとき、その成果がどうだったのかを知って、はじめて本当の達成感や悔しさを味わうことができるものです。だからこそ、どんなに小さな仕事でも、最初から最後までやり切らせることが大切だと思いますね。

例えば、最初は10万円のプロジェクトから始まり、リーダーになったら100万円のプロジェクト、幹部になったら1000万円と、リスクの量は違えど、誰もが責任をもち、成果を目指して自分の仕事に向き合えるような働き方を目指すべきです。

ジョリーグッドでは、一人ひとりがアイデアを出す段階の「0」から、それを実現する「100」までを行える会社です。全員が自律し、それぞれの領域でプロフェッショナルとして責任を全うしながら、相乗効果で新しいものを生み出していく…だからこそ、他社にはない働きがいや、まるで文化祭前夜の高揚感に満ちている。その空気を吸っているだけで私もワクワクしますよ。

常識を疑い、チャレンジし続けることが業界と人を成長させる

——そもそも、原さんがリーダーシップ論にたどり着いた原体験とはなんだったのでしょうか?

全部話すとかなり長くなりますが(笑)幼い頃に経験した「事故」がひとつの原体験だったと思います。

小学校の入学式直前、実家の近くにある防波堤から転落して、足を20針以上も縫う大怪我をしました。そのまま松葉杖で入学式を迎えたわけですが、学校生活が始まり、クラスメイトが校庭で元気に走り回るなか、自分だけ3ヶ月間も教室の椅子から動けないという経験をしたんです。

今なら我慢もできると思いますが、遊び盛りの小1の私にとって、それは耐え難い苦痛…そのとき「思いのまま、自由に生きることの素晴らしさ」を身をもって感じました。

それからというもの、他人に抑圧されたり支配されたりすることに対して強烈な嫌悪感を覚えるようになっていきました。独裁的なリーダーがいると黙っていられず、口論になることもよくあります(笑)

自分の私利私欲を捨て、既存のルールを疑いながら、チーム全員の幸せや豊かさを追求する。それが私のリーダーシップ論の根底にある思いです。

——そんな壮絶な体験があったとは…。「既存のルールを疑う」という発想は、ジョリーグッドの「ひらけ、医療。」というプロジェクトもまさに共通すると思います。これまでは医療業界と無縁だったさまざまな業界の人が関わり、新しい医療のカタチを創造していこうというメッセージが込められています。

そもそも代表の上路さんが放送業界出身で、医療業界では異端児ですからね。上路さんならではの考え方に共感します。業界を活性化させるためには、たまに劇薬が必要…上路さんが率いるジョリーグッドはまさにそれではないでしょうか。

CEO上路が語るジョリーグッドのビジョン

——そんなジョリーグッドにとって、原さんはさらに社内を活性化させるための劇薬だと思います。

そう言っていただけると嬉しいです。

長年にわたって当たり前とされている価値観にこそ、時代に合わせてアップデートすべき要素は多分にあるはずです。

例えば、日本では長らく「何事もやり抜くことが美徳」とされてきました。スポーツでは、サッカーと決めたらサッカーだけ、野球と決めたら野球だけと、一度選んだ競技を続けなければならないという雰囲気がありましたよね。

「自分が納得のいくまでやり抜く」というマインドは大切である一方、それによって新しいチャンスや可能性を潰してしまう側面もあると思います。もしかすると、先ほど話した「大企業でくすぶっている人」のなかにも、それでも会社に居続けることが価値だと、自分に言い聞かせている人もいるかもしれません。

そんな方にはぜひ一度、ジョリーグッドのオフィスに遊びにきて欲しいですね。自分の可能性を広げ、色々なことにチャレンジできるムードを体感すれば、大切なことに気付くはずです。

夢を語るフェーズから、実現するフェーズへ

——原さんから見て、上路さんはどんな人ですか?

明るくて勉強熱心ですね。チャラく見えるかもしれませんが誠実で情に厚い人です(笑)毎月1回は一緒にお酒を飲みに行く仲で、そのときはお互い夢を語り合っています。

——取締役同士が夢を語り合う…素敵ですね。

経営論のような「守り」の話ばかりしても面白くないですから(笑)ジョリーグッドが守っていては勝てません。常にフルスロットルで攻め続けないと。

私は青学の監督としても、箱根駅伝で優勝させるために自分自身が挑戦し続け、選手を鼓舞し続け、夢を語り続けています。「言霊」って必ずあると思いますからね。だからここでもあえて言っておきますが…箱根駅伝2025年大会も優勝しますよ!

私たちも8回目の総合優勝を願っています!さいごに、今後のジョリーグッドへの期待をお聞かせください。

これからは上路さんと語ってきたジョリーグッドの夢を実現させるフェーズに入っていくと思います。夢は語るだけでも心躍りますが、一番楽しいのはそれをかなえる過程ですからね。とても楽しみですよ!

それに伴い、組織の規模もさらに大きくしていく必要があるでしょう。事業規模が大きくなるほど、問題点や課題も増えていきますから、それを見据えて組織力をより強固にすべく、上路さんに寄り添いながら、私もコミットを強めていきたいです。