【エッセイ】カボチャの種
この人には有事の際に敵わないだろうな、と思う人がいる。
とある料理店の女性店主だ。
有事なんて縁起でもないが、言いたいのはシンプルなこと。彼女には与えられた場で生き抜く力が敵わないだろうということだ。
末の息子を出産して産後3カ月ほどたった頃、とりつかれたように貪り読んだ本がある。
『戦争中の暮しの記録 保存版』(暮しの手帖編集部編,昭和44年,暮しの手帖社)
戦後22年となった1967年、『暮しの手帖』が「戦争中の暮しの記録」の投稿を呼びかけて集まった1736編のうち