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リアルタイムで育児がキツい、猫は可愛い、オチのない話

リアルタイムで育児がキツい。
1歳ちゃんの手足口病、ぐずりっぱなし。キツい、キツい、きつうぅうぅい。

娘と夫を送り出し、にぃににYouTubeを観させて、末っ子と朝ねんねを巡る格闘。泣き声が鼓膜に響きまくる。口の中が痛いんだろうな。体もだるいんでしょう。朝から散歩したんだから早く朝ねんねしたまえ。
抱っこでは反り返っていた体が、おんぶになると落ち着いて、私の背に頬を寄せて眠り始めた。ベッドに布団を重ねて高くしたところに腹ばいになり、息子をおんぶしたまま休憩する。
いま大変だな、と思うと途端にメンタルがやられる。おんぶで寝てよかったな、甲羅干ししてる親子の亀みたいな格好だな、おもろいな。
うーん、でも、育児の、この絶え間なく続く感じがやっぱり、キツいなあ……

上2人の時もこんなに辛かったのだろうかと記憶の引き出しをガタガタと開けるが、「辛かったな」という概念的なものしか咄嗟に出てこない。確かに辛かったんだろう。人間の、とりわけ母親の脳ってよくできていて、大変なことの詳細はじわじわと忘れていく。
上2人の時の手足口病ってどんなだったかなあ。お顔周りにプチプチができて可哀想だった、ゼリーしか食べなかった、その程度しか覚えていない。

背に負った10キロの重みに心が潰れそうだ。夫に言ったら「体力がないんじゃない?」と言われそう。そう言う問題じゃない。育児は楽しいこと嬉しいこともあるけど、愚痴を言い出すと止まらなくなる自分が怖いよ。

左手に柔らかいものが触れる。顔を上げなくてもわかる。猫が隣にきたのだ。腹のあたりをまさぐると香箱を組んでいる。
耳と耳の間を撫でてやる。プスプスプスと気持ち良さそうな息を漏らし、その場でぐるりと回ってから渦巻き模様のようになって眠る姿勢をとる。私の左腕にぺったりと体をくっつけて。
こんなとき猫は喋らないから良い。ただ寄り添うだけ、それができる人間ってどれくらいいるだろう。

猫と、背中の息子と、少し休憩。にぃには「ちびっこバスTayo」が終わったらリモコンを手にこちらにドタドタと駆け込んでくるだろう。彼ときたら助走をつけてベッドに飛び込んでくるのだ。おんぶの末っ子は再びギャン泣き、猫は吹っ飛ぶように逃げるに違いない。
数十年後に振り返ったときに「あのときは大変だったけど幸せだったなあ〜」なんて子育て中のママに平気で言っちゃうんだろうな、私は。
絶え間ない育児、しんどいけど、絶えることや失うことの方がキツいし耐えられない。今この瞬間、ほんの少しだけ、休憩。

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