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さよならグッパイ


マー君は、港で船を見るのが大好きです。船に乗った人たちに大きな声でバイバイと言います。『バイバイー、バイバイー』

マー君は、駅で電車を見るのが大好きです。電車にむかって、大きな声で叫びます。『バイバイー、バイバイー』

マー君のママは、元気なマー君をみてニコリと笑います。周りの人も何が起こったとマー君を見て笑います。

でも、マー君は気にしません。大きな声で『バイバイー、バイバイー』

今度は、線路の向こう側から、声がします。
『バイバイー、バイバイー』友達のゆうちゃんです。

マー君も負けずに叫びます。『バイバイー、バイバイー』

でも、マー君はお父さんが死んでしまった時にバイバイが言えませんでした。ママは泣いているし、マー君にはあまりに突然すぎて理解できませんでした。

ある時、マー君の肩に赤トンボが止まりました。そのトンボは、マー君のほっぺにキスをしました。そして、大空に飛び立ちました。

マー君は、大きな声で叫びます。『バイバイー、バイバイー』『バイバイー、バイバイー』『バイバイー、バイバイー』

もう夕方です。マー君を探しにママがやってきました。

マー君はお空にむかって叫びます。『バイバイー、バイバイー』

遠い雲が死んだパパの顔に似ていました。『バイバイー、バイバイー』

『バイバイー、バイバイー』

『バイバイー、バイバイー』

マー君の瞳に、大粒の涙が溢れました。
そして、マー君は大きな声で泣きました。『バイバイー、バイバイー』

ママがどうしたのと言いました。空は真っ赤に染まって赤とんぼがたくさん飛んでいました。

『ママお腹がすいた』とマー君は言いました。

さっきまであんなに泣いてたのにとママは思いました。

真っ赤に染まった夕日の中マー君とママは、二人で手をつないで帰りました。

真っ赤に染まった空にパパの顔した雲が笑ってるような気がマー君にはしました。

『バイバイー、バイバイー』

おしまい。









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