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ルフィ名言特別編Vol.90「国民を固く支配することで、結局国を守っておられるのだ(チェス)」

物語と名言

Dr.ヒルルクの優しさに触れたチョッパーは、少しずつ心を開いていた。ヒルルクの実験で爆発し、外に飛ばされると、チョッパーは、自分がチョッパーと呼ばれていることに気付く。

「・・・おれ何でチョッパー?」
「トニー・トニー・チョッパーだ。
 いい名前だろ?おれはおめェをそう呼ぶぜ・・・!!」

チョッパーが生まれた瞬間だった。その名前に、チョッパーは「エッエッエッエ」とヒルルクの笑い方を真似ながら喜ぶのだった。

一方その頃、ドラム王国守備隊隊長を務めていたドルトンは、国の行く末に頭を悩ませていた。「世界会議(レヴェリー)」以降、国王ワポルと国民の溝が深まっていたからだ。

「今日はどんな法律を作ろうかな〜っ?!!!」

そんな風に、国王として国を私物化し、その立場を利用していた。参謀のチェスと代官のクロマーリモは、国を憂うドルトンを茶化す。チェスは、

「国という支配から逃れた人間は、まるで密林に放り出されたウサギのように、たちまち命を落とすだろう」

と諭す。続けて話す言葉が、今回の名セリフ。

「国民を固く支配することで、結局国を守っておられるのだ」

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                  出典:ONE PIECE/尾田栄一郎 集英社

その言葉を聞いたドルトンは、レヴェリーで出会った幼きビビを思い出す。会議の態度が悪いと、ビビの父でありアラバスタ王国国王のネフェルタリ・コブラに注意される。それを根に持ったワポルは、幼いビビに「手が滑った!」と手を挙げる。追い討ちをかけるように侮辱するワポルに対し、イガラムが切れかけると、イガラムを制止したビビは、

「いいの。こちらこそぶつかってごめんなさい」

と、その場を後にする。ビビは影でイガラムに泣きつくが、その姿を見て、ドルトンは10歳の子供なのに、些細なことが戦争の引き金になることを知り、侮辱に耐えたことに衝撃を受け、今の国に対し嘆くのだった。チェスもクロマーリモも、そんなドルトンに

「目ェ覚ませドルトン!」
「国政に心など要らん!!」
「重要なのはシステムだ」

と声をかけるのだった。


名言の意味

今回は、政治と支配についての名セリフです。『ONE PIECE』は、政治や支配について描いています。それは、「ルフィが自由に生きる」ことを描くために必要だからです。国は、国民を守る義務がありますが、そのためには、必要な管理や支配があります。私は、自由を好む道楽家ですが、「支配」そのものを否定しません。時として、「支配する」ことが必要な時もあるからです。自由と支配が表裏の関係であるならば、支配を否定することは、自由を否定することにもなります。いずれ、別のコラムにする予定ですが、支配というものをちゃんと理解して受け入れなければ、本当の自由もないということです。

自由になりたいなら、支配を受け入れなければならない。仮に、支配が全くなくなって、自由しかなくなったとしたら、それは最早自由とは呼べないでしょう。

時には支配も必要

ドラム王国のワポルを見ていると、欲にまみれた支配というのがわかりやすく描かれてはいますが、そういったものは、日本であっても、少なからずあるはずです。権力を持った者にしかわからないでしょうけど、権力を実行する立場になると、やはり権力を振りかざしたくなるものなんですよね。私は政治家ではないですが、飲食店の店長をしていたことがあり、その時に、お店の中で一番偉い立場になります。そして、責任者の立場でもあります。アルバイトの子達からしたら、店長の指示がなければ困ります。そして、お店を運営していくために、ある意味店長の支配が必要ではあるんです。バイトの子たちがそれぞれ自由にやってたら、お店は成り立ちません。だからと言って、店長の思い通りにしていいわけではありません。

それは、国でも同じことです。国民の為に、必要な管理や支配もありますが、ある意味、チェスが言ったように、「国の支配がなくなれば、密林に投げ出されてウサギのように命を落とす」ということは、間違ってはいないでしょう。だからと言って、ワポルのように、私利私欲にまみれて支配をするのは、間違いなく反発が起こるものです。そうなればさらなる力や恐怖で支配するようになり、ドラム王国の行き着いた先が、国の滅亡だったわけです。

「支配」と聞くと、悪く聞こえますが、「支えて配る」という言葉として聞けば、悪いどころか、良い意味にも聞こえます。「支配」とは、本来そういう意味だったのかもしれませんが、支配に欲が混じることで、厄介になものになっていくのでしょう。

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