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ルフィ名言特別編vol.95「人に忘れられた時さ・・・!!!(ヒルルク)」

物語と名言

Dr.ヒルルクは、国王ワポルの罠とも知らず、煙突山の頂上にある城へ、"イッシー20"を助けにやってきた。

そこで待ち受けていたのは、国王ワポルや兵士達と元気な"イッシー20"だった。
Dr.くれはからヒルルクの行方を聞き、チョッパーもお城を目指す。

ヒルルクを死刑執行せんと、ワポルは守備隊に銃を構えるよう指示を出す。

ヒルルクは、涙を流しながら言う。

「よかった・・・病人はいねェのか・・・」
 おれァてっきり・・・国の一大事かと・・・
 何だァ・・・おれがダマされただけか・・・」

その言葉に、ドルトンと"イッシー20"は胸を痛める。
しかし、ワポルは意にも介さず、銃殺の支持を出す。

ヒルルクは言う。

「やめておけ。お前らにゃあおれは殺せねェよ」

そして、ヒルルクは問う。

「人は、いつ死ぬと思う・・・?」

その頃チョッパーは、必死にお城へと向かう。

ヒルルクは続ける。

「心臓を銃で撃ち抜かれた時・・・
  ・・・違う。
 不治の病に犯された時・・・
  ・・・違う。
 もう毒キノコのスープを飲んだ時・・・
  違う!!!」

その答えを言う、ヒルルクの今回の名セリフ。

「・・・人に、忘れられた時さ・・・!!!」

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                  出典:ONE PIECE/尾田栄一郎 集英社


名言の意味

ついにこの名言にたどり着いてしまいました。
『ONE PIECE』を代表する名言の一つです。

この言葉は、漫画にあるただのセリフでも、キャラによるただのセリフでもありません。

哲学であり、思想であり、一つの真理です。

私は、この言葉を言う為に、ヒルルクは生み出されたのだと思っています。

名言とは、その言葉だけで名言になるわけではありません。

例えば、昨年ROLANDという人の発言が名言だと話題になりました。
ROLANDをご存知の方に聞きたいのですが、彼の言葉が名言だと思いますか?

私は、別に名言だとは思いません。だって、彼をよく知らませんから。でも、確かに的を射ている所もあるとは思うので、名言ではないとも思いません。
ただ、彼の言葉の重みを知らないので、名言には思えないのです。その背景を知れば名言に感じるかも知れませんが、いかんせん知りたいとも思わないので、私にとっては名言になることはないでしょう(^^;

つまり名言とは、その言葉そのものが名言になるのではなく、その裏に、重みや背景を感じなければ、名言になることはありません。


自分を忘れない人がいるか?

話を戻しますが、『ONE PIECE』を読んで、私たちはヒルルクの背景を知ることができます。不治の病にかかり、桜を見た感動で病気は治ってしまった。
それでも、死から逃れることはできず、Dr.くれはに延命してもらっても、チョッパーの優しさの形であるアミウダケのスープを飲んだことで、死が近付くことになりました。

死が近くにあるからこそ、「人間はいつ死ぬのか?」と考えていたんだと思います。

その時に出会ったのがチョッパーです。

チョッパーにとっても、ヒルルクは唯一心を許せた存在ですが、ヒルルクにとってもまた、チョッパーは唯一心を許せた存在ではないかと思うのです。

そして、「人に忘れられた時」というのは、ヒルルクにとってはチョッパーに忘れられた時、という意味でしょう。

人はいつか必ず死にます。それがいつなのかはわかりませんが、いざ死が間近に迫った時、自分のことを忘れずにいてくれる人がどれだけいるでしょうか?


量子力学的な名言

人生の中で、もう二度と会わない人は沢山いると思います。友人であっても、もう会うことがない人がいるでしょう。全く会わず、連絡も取っていなければ、生きていても死んでいても、何も変わりません。そして、それは自分も同じことです。

不意に、何かのきっかけで思い出すことはあると思いますが、思い出すことがなければ、それは、自分の中では死んだも同じことです。逆に、亡くなっていても、いつも思い出すようであれば、それは生きていることと同じではないかと思います。

生きていても、死んでいても、誰かにとっては、忘れられてしまえば、いないのも同然です。そういう意味では、この名言はとても量子力学的です。認識したものが、自分の世界に現れる。相手が生きていようが死んでいようが、その存在を認識していれば、自分の世界においては生きているのです。もし亡くなっていたとしても、死んだ存在として生きていると言うことです。


人が忘れられないような自分を貫く人生

この名言で言いたいことは、何事もなく人生を生き、誰にも認識されないような人生にはしないでおこう、ということです。認識されなければ、生きていても存在していないことになります。死んでも存在し続ける。それこそが、人類の夢である、「不老不死」ではないか?と思います。

タイムマシンがあったら、秦の始皇帝に言ってやりたいです(笑)
まぁ、彼はその名を歴史に残したことで、2000年以上生きていることになりますが。

周りを気にして、当たり障りなく誰かにとっての都合の「いい人」で生きていても、自分の存在はすぐに消えて無くなるでしょう。別に、歴史の教科書に名前が残らなくても、ヒルルクにとってのチョッパーのように、心を許せる人と繋がり、本当に大切な人の中で生き続けられるように、ヒルルクのように、誰に理解されなくても、自分が納得する人生にしていきたいですね。


この名言が読める『ONE PIECE』第16巻はこちら


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