ルフィ名言特別編Vol.92「おれ達ァ似てるのさ・・・だからせめて最期に教えてやるんだ(Dr.ヒルルク)」
物語と名言
Dr.くれはの元に訪れたDr.ヒルルク。
「おれァ…死ぬだろ」
血を吐きながらくれはに問う。
あと3、4日。ヤブ医者のヒルルクでも、自分の残りの命の時間をわかっていた。しかし、まだやり残した仕事があるヒルルクは、くれはに少しでも命を引き延ばせないかを頼んでいた。そんなヒルルクにくれはは
「また西の海にでもいけばいい。
昔・・・大泥棒だったお前を救った"奇跡の桜"とやらを見にさ・・・」
と、無理を吹っかける。しかしヒルルクは、
「その必要はねェ・・・この国におれが・・・桜を咲かせてみせる・・・!!」
と意気込む。自分自身が、心の底から洗浄されるような奇跡の治療を体験したからだった。
それを証明するのが、ヒルルクの生きる目的だった。
「この世の全ての人間は、救うことができるんだ!!!」
と。
そんな二人の会話を、チョッパーは外で聞き耳を立てていて、どこかへと走り去った。
くれはにも、ヒルルクがチョッパーを突き放した経緯を話す。
チョッパーにとって、ヒルルクは、やっと出会えたたった一人の仲間。唯一の仲間が目の前で死ぬなんて、これ以上の絶望を味あわせられない。
そんなチョッパーへのヒルルクの思いが、今回の名セリフ。
「おれ達ァ似てるのさ…だからせめて最期に教えてやるんだ。
お前にだって、なんでもできるんだってよ…!
おれが花を咲かすことで!!!」
出典:ONE PIECE/尾田栄一郎 集英社
Dr.くれはは非常な宣告をする。
「・・・聞きな。お前は4日後の午後5時半に死ぬ。
・・・それが寿命さ」
しかし、「3週間ならお前の体をダマすことはできる」と言うが、財産のないヒルルクに「実に残念」と言うと、ヒルルクは麻酔銃を向けて、
「いいから治療しろ!!!」
と言うも、一瞬で返り討ち。それでも、Dr.くれはは、その思いを汲んで、治療することを約束する。
そして、
「確かにそっくりだよ、お前達は・・・
不器用なところがね・・・」
と呆れる。
名言の意味
今回の名セリフは、前回の名言に足してのアンサーのような名言です。
チョッパーに「おれは決して、お前を撃たねェ」と雪の中裸になって言ったのに、そんなチョッパーを撃ってまで追い出した理由が、今回のシーンで明かされました。
それを、チョッパーが聞きていたことで、物語はまた動き出します。
チョッパーにとって、ヒルルクは、初めて自分を認めてくれた人です。そして、ヒルルクがチョッパーを認められたのは、「自分と似ていた」からです。
人は、完全には人のことを理解することはできません。同じ経験をしていても、感じ方は違うからです。実際私は今までそう思ってきました。でも、もしかしたら、時には100%以上わかることもあるのかもしれません。
と言うのは、その人以上に悲しんだり、喜んだりすることもできるからです。つまり、「共感」を超えて「共有」できるということです。そう思える人だからこそ、仲間にもなれるんだと思います。逆に言えば、そこまで思えないなら、仲間ではないと言えるかもしれません。
ヒルルクとチョッパーの付き合い位は、1年ちょっとです。それでも掛け替えのない絆が、二人の中にはあります。絆の深さは、時間ではありません。
「相手の中に、どれだけ自分を感じられるか」
と言うことではないでしょうか?
相手の中に自分を発見することが「悟り」
量子力学の世界では、この世界はどこかの神が創造したのではなく、自分自身が創り出したものであり、この宇宙の創造主は自分だと言われています。そう考えるんだとしたら、外にあるものの中に、自分を感じるほど、自分の宇宙は大きくなると言えます。自分を感じなければ、それは自分と切り離しているので、自分の宇宙が広がることはないでしょう。全て存在の中に自分を発見し、感じた人が、仏陀であったり日蓮であったり、「悟りを開いた」と言われる人なのかもしれません。
ちょっと話が大きくなってしまいましたが、ヒルルクがチョッパーをこれだけ気にかけるのは、チョッパーの中に自分を感じたからではないでしょうか。そしてチョッパーも、ヒルルクに救われたのはもちろん、ヒルルクの中に自分を感じたから、誰よりも信頼する相手だったんだと思います。
ヒルルクの回想は、名シーンや名セリフが多い為、刻んで紹介することになると思いますが、お付き合いくださいませ(笑)
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