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ルフィ名言特別編Vol.94「優しいだけじゃ人は救えないんだ!!(Dr.くれは)」

物語と名言

チョッパーが命懸けで取ってきた"アミウダケ"のスープをヒルルクは飲み干す。「まずっ!!」と言いながらも、

「力がみなぎってくるぜ・・・!!!ありがとよ!!チョッパー!!」

と満面の笑顔で答えるヒルルク。
そこで、ついにヒルルクの実験が成功する。30年間かかって研究は成功した。「これで"冬島"に桜を咲かすことができる」と喜ぶ2人。

そして、Dr.ヒルルクは、怪我をしてボロボロのチョッパーを置いて「お前はいい医者になれるぜ!!」と言い残し家を出る。Dr.くれはの家に着くと、30年かけて成功したヒルルクの医学にして"万能薬"を渡した。「なぜあたしに?」と尋ねるが、ヒルルクにはもう時間がなく、塵も足りないので、自分の代わりに桜を咲かすことと、チョッパーに医術を教えて欲しいと、チョッパーを託す。

当然、Dr.くれはは断る。それでもヒルルクは土下座をして、「心の優しいいい奴なんだ」と言うも、蹴り出され、ヒルルクはイッシー20がいなくなったことで混乱する国の為に、城に連れていくように兵隊を脅すのだった。

ヒルルクの言動に違和感を覚えたDr.くれはは、ヒルルクの家に行く。チョッパーの持つ"アミウダケ"を見て、察したDr.くれはは、

「このバカトナカイッ!!」と殴り倒し、なおも殴り続ける。

「そのキノコはね・・・トナカイ!!"猛毒"だよ!!!」

と涙を流して叱る。口にしたら1時間も生きていけない、と。

チョッパーは信じない。図鑑のキノコの絵の横には"信念の象徴"であるドクロマークが描いてあったから。ヒルルクを信じるチョッパーは、Dr.くれはに「お前はウソツキだ!!」と罵声を吐くも、全てを察したDr.くれはは泣くしかない。そして、猛毒の印であることを伝えても、チョッパーに、言った、今回の名セリフ。

「いいかい、優しいだけじゃ人が救えないんだ!!
 腕がなけれ、誰一人救えないんだよ!!!」

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                  出典:ONE PIECE/尾田栄一郎 集英社

Dr.ヒルルクの為を思い、命をかけて"アミウダケ"を取りに行ったチョッパーは、泣き叫ぶしかなかった。


名言の意味

今回の名セリフは、前回の「ギノ"ゴ」で語られたヒルルクの言葉と対比して言われています。
ヒルルクは一貫して「優しいから医者になれる」と言いますが、Dr.くれはは「優しいだけじゃ人は救えない」とばっさりと切り捨てます。実際ヒルルクは、まともな医者ではありません。それをわかっているから、Dr.くれはにチョッパーを託したのですが、相反する二人だからこそ、通じるものがあるんだと思います。

確かに優しいだけでは人は救えません。事実、知識がなかったとはいえヒルルクの死期を早めることになりました。死ぬ気で"アミウダケ"を取りに行ったからこそ、ヒルルクは"アミウダケ"のスープを飲み干しました。死ぬとわかっていても。その気持ちを受け取るために、ヒルルクは躊躇せずスープを飲みました。ヒルルクに、一切の後悔はないでしょう。それ以上に嬉しい思いを受け取れたのだから。


『ガンダムSEED』の例

『ガンダムSEED』でも、似たようなことを描いています。主人公のキラ・ヤマトが、自分の力がなくて人を助けられなくて苦しみ、力に走ることになります。鬼気迫るように戦い戦果を上げるのですが、キラの顔はすっきりしていません。それを突っ込まれると、

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「気持ちだけで、一体何が守れるって言うんだ!」

と激昂します。その時のキラは、人を守りたいというで気持ちで戦っていたのではなく、ただ相手を倒すことだけを考えました。その後、キラは敵となった親友のアスランとの戦いで行方不明になり、力(モビルスーツ)を奪われます。そこに、新たな力として、最新式のモビルスーツ「フリーダム」を与えられます。その時のキラは、倒す為に力を振るうのではなく、「守りたい」という気持ちを実現する為に、力を振るう決意をしました。キラの結論は、「気持ちだけでは守れない。力だけでも新たな争いを生む」というものでした。

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気持ちと力

ヒルルクは、チョッパーが誰よりも優しいから、人を救うための医術を身につけることができると思っていたからで、Dr.くれはは、どんなに優しくても、それだけじゃ人を救えないと言いました。そのどちらも正しい。でも、チョッパーを医者にできるのは、ヒルルクではなくDr.くれはだということは、ヒルルクはわかったいたので、命をかけてDr.くれはにチョッパーを託しました。

私たちに置き換えても、やりたいことや欲しいものがたくさんあると思います。でもなんでもかんでもやれるわけではありません。お金、時間、場所、能力などの条件によって、どんなにやりたくてもできることとできないことがあります。それをやる為には、やれるだけのものを手にしなければなりません。その為の原動力が「優しさ」という「気持ち」であり、「力」は、実行する為の条件と言えるかもしれません。

ヒルルク、チョッパー、Dr.くれはの3人のやりとりから、自分にとっての気持ちと力が何かに当たるのかを考えて、両方を持っていきたいですね。

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