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テスカトリポカの鏡の足は子宮の中で丸くなっている兎の形をしている
この説明は『マヤ・アステカの神話』でしか見たことがなく、しかもそこでも具体的にどの史料にどのように描かれているのかが示されていなかったので、これのことを言っているのだろうかと私が推測したものを載せます。
『ボルジア絵文書』17頁下に描かれたテスカトリポカです。足先の鏡のところに何か動物が付いているので、これではないかと思いました。この絵について、エドゥアルト・ゼーラーは以下のように解説してい
ミシュコアトルとコアトリクエの間に生まれた子供がコヨルシャウキ、センツォンウィツナワ、センツォンミミスコア
ミシュコアトルとコアトリクエが夫婦だとする記述はディエゴ・ムニョス・カマルゴの『トラスカラ史』にありますが、彼らの子はケツァルコアトルとなっています。コヨルシャウキやセンツォンウィツナワ、センツォンミミシュコアについての言及はありません。
この項の見出しにあるような設定が広まったのは、『マヤ・アステカの神々』に「ミシュコアトルは(中略)コヨルシャウキや400人の息子の父であり、コアトリクエの夫
ミシュコアトルの母はイツパパロトル
『太陽の伝説』によれば、400人のミシュコアのうち数人は5人の攻撃から逃げおおせます。その生き残りの2人シウネルとミミチは天から降りてきた2頭の双頭の雌鹿を追っていましたが、その鹿たちが変身した女たちが彼らを誘惑します。そしてシウネルは1人の女に食い殺されてしまいました。もう1人の女、ツィツィミメのイツパパロトルはミミチを誘いますが、彼は火を熾して逃げ、彼女に矢を射ます。ミミチが兄の死に泣いてい
もっとみるイツトラコリウキとイツパパロトルは夫婦
『テレリアーノ=レメンシス絵文書』ではイツトラコリウキとイツパパロトルはそれぞれ罪を犯した後のアダムとイヴになぞらえられているので、そこから彼らが夫婦だと考えられたのかもしれません。もっとも、日本でイツトラコリウキとイツパパロトルは夫婦だとみなされるようになったのは、アイリーン・ニコルソンの『マヤ・アステカの神話』にイツラコリウキは女性の相手イツパパロトルを持っていたと書かれていたのを「女性の相
もっとみるテスカトリポカは美を司る神
Wikipediaによって広まったこの設定の大本はアイリーン・ニコルソン『マヤ・アステカの神話』のようです。日本語版Wikipediaの「その神性は、夜の空、夜の風、北の方角、大地、黒耀石、敵意、不和、支配、予言、誘惑、魔術、美、戦争や争いといった幅広い概念と関連付けられている」という記述の参考になったのは英語版の「he is associated with a wide range of co
もっとみるコヨルシャウキは兄弟が母親殺しを企てていることを警告しようとしたがウィツィロポチトリに首を切り落とされた。後にコアトリクエから姉に悪意がなかったことを告げられたウィツィロポチトリが姉の首を天に投げるとそれは月になった。
私が調べた限りではありますが、どうもこのエピソードは後世の研究者による推測によるもので、古文書にはないようです。
ウィツィロポチトリ誕生譚のもっとも詳細で有名なバージョンが収録されている『フィレンツェ絵文書・第3書』によれば、コヨルシャウキは母親殺しの首謀者で、兄弟の先頭に立って母コヨルシャウキを殺そうとしたが、完全武装で生まれたウィツィロポチトリに首をはねられ、首はコアテペックの上に留まり残
ウィツィロポチトリが生まれたってのにケツァルコアトル対テスカトリポカの話ばかりしてる場合か
コティー・バーランド『メキシコの神々』にはこうあります。「アステカ人自身の独自の神話はスペインによる征服時に宣教師達によって記録されたが、(征服前の)聖なる書物に留められた神々のリストは、これらの記録された神話よりも色々な意味でより古く普遍的な特徴があり興味深い。月の起源についての有名なアステカの伝説はその良い例である。大いなる母コアトリクエが最後に妊娠したとき、先に生まれていた数多の彼女の子供
もっとみるケツァル・コアトルの元ネタがかなり分かる本リスト
ケツァル・コアトルの元ネタがかなり分かる本リスト「ケツァル・コアトルの元ネタ」とは
『Fate/Grand Order』(以下FGO)のサーヴァント、ケツァル・コアトルに興味があるけれど、元ネタを調べるには何を読めばいいのか分からない……そんな方々のために、これらの本を読めばケツァル・コアトルの元ネタがかなり分かるだろうという本を厳選しました。
どの本も入手、閲覧難度はそれほど高くないので、
テスカトリポカは美を司る神
Wikipediaによって広まったこの設定の大本はアイリーン・ニコルソン『マヤ・アステカの神話』のようです。日本語版Wikipediaの「その神性は、夜の空、夜の風、北の方角、大地、黒耀石、敵意、不和、支配、予言、誘惑、魔術、美、戦争や争いといった幅広い概念と関連付けられている」という記述の参考になったのは英語版の「he is associated with a wide range of co
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