テスカトリポカの鏡の足は子宮の中で丸くなっている兎の形をしている
この説明は『マヤ・アステカの神話』でしか見たことがなく、しかもそこでも具体的にどの史料にどのように描かれているのかが示されていなかったので、これのことを言っているのだろうかと私が推測したものを載せます。
『ボルジア絵文書』17頁下に描かれたテスカトリポカです。足先の鏡のところに何か動物が付いているので、これではないかと思いました。この絵について、エドゥアルト・ゼーラーは以下のように解説しています。
足先の鏡に付いている動物はオセロトル、つまりジャガーです。この絵のテスカトリポカは体や装束や装備品に20の日の印を付けているのです。
兎とジャガーと鹿と犬、よく似ていて識別が難しいけれども、よく見たら模様とか耳の形とか爪とかで区別は付きます。正直言って、もっとしっかり描き分けてほしかったですが……。
……ともかくそんな訳で、ジャガーを兎と誤認したアイリーン・ニコルソンがなぜテスカトリポカの足先の鏡に兎がいるのかと考えた結果、「彼(テスカトリポカ)の鏡の足は、子宮の中で丸くなっている兎の形をしており、「どちらの方向にも跳ねる」その兎は、予想しがたいものの象徴である」と解釈したのでしょう。
ついでに、テスカトリポカの鏡の足は左右どちらなのかについても考えてみましたが、これは史料には左右どちらの描写もあり、またどちらの足を失ったかを断言する記述は無いようなので、特に決まってはいないのでしょう。重要なのは片足を失って鏡を着けている(※「片足が鏡になっている」ことを「鏡の義足」と表現するのは適切ではないかもしれない)ということだと思います。
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