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CEC TOKYO イベントレポート #2

昨日に引き続き、2020/01/22に東京・渋谷のヒカリエホールでRepro社主催により開催されたCustomer Engagement Conference Tokyoのレポートだ。

togetterでも素早くまとめが作られていたが(↓)、午後から開催のイベントで700を超えるツイート数が収録されていることからも熱量が伝わってくる。

基調講演のあとは会場がAとBに分かれて2スロット展開となった。わたしはずっとA会場のセッションに参加していたのでA会場でのセッションで心動かされたポイントに絞って書きたい。

A-1.2020リテールビジネス最新予測!
-新しい顧客像を掴め-

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● ファシリテータ:株式会社ビジョナリーホールディングス 執行役員 デジタルエクスペリエンス事業本部 本部長 川添隆氏
● パネル:株式会社コメ兵 執行役員 マーケティング統括部部長  藤原義昭氏
● パネル:株式会社FABRIC 代表取締役CEO  森一郎氏
● パネル:アスクル株式会社 取締役執行役員 LOHACOグロース本部長  輿水宏哲氏

「リテールビジネス」=「小売」をテーマにしているものの、パネルメンバーは販売拠点としての店舗を持たない、というところが共通点(ファシリの川添さんの会社傘下メガネスーパーのみ店舗販売している)。KOMEHYOの店舗は買取の拠点なのだそうだ。小売業のうち、先端的取り組みをしている皆さんということになると思う。メモから、印象に残っている発言をピックアップする。

コメ兵 藤原氏

店舗について
「販売は基本ECに。店舗は販売のためではなく、買取のためのものになった」
「いま富裕層が住むエリアの近くに買取用店舗を細かに展開している」

物流への投資について
「店舗在庫として寝る商品=キャッシュを物流に投資すべき。
 欲しいものを欲しいときにデリバリするのがエンゲージメントを高める効果も」

小売と金融と融合について
「小売は限界に来ている。米国ウォルマートは顧客課題解決として金融に進出。
 日本では丸井がやっているが、金融手数料を得るのと同時に、顧客課題を解決し
 顧客エンゲージメントを作って、LTVを上げてゆく。」

販売員の接客について
「現在AIを使って99.7%でヴィトンの真偽を判定できる。
 これまで顧客の時間を奪ってきた鑑定時間をゼロにできる。
 その時間を人による対話時間としてエンゲージメントを高めたい」
「DXやAIによって人は仕事を失うというが、クビにするつもりはない。
 働く人をどうデジタル人材に変えるかが課題」

販売員の教育について
「販売員の教育はしない。環境を整えている。
 Microsoft Officeを全部やめてG-Suiteに強制的に変えた。
 こうした決断はトップダウンでやるのが大事。」

FABRIC 森氏

組織づくりについて
「デジタルネイティブな組織づくりに腐心している。
 メンバー全員がサプライチェーンを理解して行動する組織づくり」

エンゲージメント施策の効果
「WebのCPAが5年で2倍になっているのが課題と感じている」
「Customer Engegement施策をしっかりやると、じつは新規顧客も増える。
 広告費を半分にしてリピータに投下したが、新規が伸びた。売上2.5倍に」
「紹介による新規獲得ってかなりあると実感した。
 他社だが、完全紹介制のアパレルブランドも人気になっている」

わたしもアパレル小売ベンチャーの経験があるし、現在も小売のクライアントが複数あるが、従来の発送の小売業界人からすれば「異次元」だと思う。しかし面白かった。藤原氏・森氏の話に共通して出てくる話題にもしかすると未来の小売のヒントがあるのかもしれない。

(1)店舗を持つが販売には使わない
完全にEC化すればいいのか? というとそうではない。顧客エンゲージメントには人と人の対話が欠かせないと考えているようだ。また商品販売スペースを作らないことで坪効率を上げている。ECと実店舗のハイブリッドが顧客体験を豊かにするスタイルなのかもしれない。

(2)顧客接点スタッフの軸合わせ
語られた言葉はすこしちがっていたが「スタッフをどうデジタル時代に軸合わせさせてゆくのか」という方向性は同じであった。この後のセッションでも似たことが語られていたが、顧客との中長期的な関係性構築にデジタルツールが利用されるほど、フロントで顧客体験提供を担うスタッフの意識合わせとツールを使いこなすスキルが重要になる。

A-2.変革の時を迎えたCRM
-ブランドロイヤルティを高めるメトリクス-

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● ファシリテーター:株式会社ビービット 代表取締役President&CEO 遠藤直紀氏
● パネル:株式会社オプト マーケティングマネジメント部部長 園部武義氏
● パネル:日本航空株式会社 ブランドコミュニケーション 東京オリンピックパラリンピック推進部 Webコミュニケーショングループ長 山名敏雄氏
● パネル:株式会社ビームス 事業企画本部コミュニティデザイン部部長 兼 ビームス台湾取締役 矢嶋正明氏

このセッションではファシリの遠藤氏が顧客エンゲージメントだけでなく連動する従業員体験にどういったケアをしているかの問いかけや、自身の考えを(やさしく)語るシーンが興味深かった。

ファシリ 遠藤氏

顧客エンゲージメント指標について
「NPSを作ったライクヘルド氏はもう顧客にNPS聞く必要はないと発言してる。
 従業員に職場をおすすめする可能性を聞く。従業員NPSの高い組織は
 おのずと顧客エンゲージメントもできているはずだ、と」

従業員モチベーションについて
「せっかく売り上げたのにECで決済されるとスタッフの個人成績にならない、
 といった問題はあると思うのですが、ビームスさんではどうなってますか?」

オプト 園部氏

顧客エンゲージメント指標について
「もともとD2C化粧品をやってた。売りまくる業界だった。
 しかしエンゲージメントや企業の社会的貢献が大切になってきていると思う」
「ダイレクトマーケティングでは年に数回のPDCAでは遅すぎる。
 一方でイベント参加した顧客は中長期的にLTVが上がるという現象も。
 素早いPDCAの中でロイヤルティを上げたいと活動していた。」

ビームス 矢嶋氏

顧客エンゲージメント指標について
「LTVに応じて4層に分けている」

従業員エクスペリエンス
「顧客だけでなく、従業員のエクスペリエンスも考慮している。
 オムニチャネル化を推進しているが販売スタッフの業績管理もされており
 たとえばアシストしてのEC購入にも販売員の関与がログされる」

従業員の褒賞について
「バックオフィスですべてのメトリクスがわかるようになっていて、
 表彰や評価につなげている」

従業員によるWeb投稿からの通販について
「希望者にアカウントを渡して、公式サイトに投稿できるしくみを提供。
 4つのコンテンツがある。最近動画を追加した。
 スマホで商品紹介動画をアップできる。
 一昨年のデータだが、トップ売り上げは個人で年間1.2億円。
 元販売スタッフで現在はバックオフィスの社員だ」

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JAL 山名氏

顧客エンゲージメント指標について
「顧客調査やトランザクションのフィードバックなど(エモーションの)指数、
 LTVと併せて見ている。LTVだけで見ると見誤る」
「飛行機の利用は年に何回もあるものではないと思う。LTV(累積利用金額?)
 だけで見ても顧客の心理はわからない」

オプト・園部氏の「ダイレクトマーケティング業界では年に何回か調査するようなサイクルではPDCAが遅すぎる」という視点はある意味で新鮮だった。一方ではJAL山名氏が指摘するようように「金額だけ見てても顧客の心はわからない」というのも事実だろう。

1)感情と行動のデータをどうキャッチし、どう高速運用するか?
顧客エンゲージメントを考える時、顧客の感情(エモーション)と顧客の行動(来訪頻度・購買金額・推奨行動)どちらも指標化が必須であるという認識を持った上で、それらを統合しながら素早くPDCAサイクルを回せる指標とチームをつくるか? もっと掘り下げて知りたいテーマである。

顧客フィードバックツールは様々なものが溢れているし、アプリやWeb上の行動分析ツールは日々増えているように見える(基調講演のAmplitudeのようなツールは遠藤氏のBebitでも提供している)。しかしこれらをどう組み上げて、どう運用するのかという知見はそれぞれの現場がそれぞれの顧客に合わせて開拓するしかない。知見の共有はものすごく重要だと感じる。

ちなみに主催のReproさんではそういうイベントをかなり積極的に開催しているようでCECの翌日にも本社でカスタマーサクセスマネージャーの運用実例紹介イベントを開催されていると知って感動した。ツールベンダーはユーザーコミュニティを知見の共有の場にすることで、そのコミュニティが重要な価値になると感じる。

2)従業員のモチベーションをどう設計するか
上記のPDCAプロセスを回す上で、遠藤氏が気にしていた「現場メンバーの体験にどんなケアをするか?」という視点は忘れられがちだ。しかし組織が人で動いている以上、このテーマは顧客エンゲージメントの裏番長的存在と感じる。いくら指標や運用設計を精緻にやってもオペレーションを回す従業員が「おもしろくない!」となったら全部打ち壊される。

ビームスでは顧客からの評価も含めてバックオフィス側で一覧可能になっていて、スタッフの褒賞や査定にも利用されるという話があった。集められたデータの一部は「従業員のモチベーション向上にどう利用できるか」という観点からも評価されるべきだ。遠藤氏からは「NPS計測は不要では?」とライクヘルド氏の言葉を引用していたが「従業員のモチベを高める」という視点から顧客フィードバックは不可欠だと感じる。

レポート、全然終わらなくて草。

#3に続きます

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トリムタブジャパン(有)代表。 CX EX 体験デザインコンサルタント/ CXPA会員/ IDEOU Foundations in Design Thinking Certificated/ Asana Certified Pro/ ノマド本『「どこでもオフィス」仕事術』著者
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