Joe

日頃の勉強で面白いと思った気づきを思いつくままに書きとめる。語学と医学の徒。不定期更新。

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  • 語学ネタ

最近の記事

病原体の名前

久しぶりに記事を書いている。 COVID-19が世を賑わわせている今日このごろであるから、それに関連したことを書こうと思った次第だ。 さて、実を言うと、筆者は感染症医の卵である。ここ数年はすっかり語学のことを考える暇は無くなり、感染症の勉強に明け暮れている。今日の話は感染症の原因となる病原体の名前の話だ。(感染症の話はしない。) COVID-19を引き起こすコロナウイルス(Coronavirus)のコロナ(Corona-)の由来を知っている人は多いだろう。流行が始まって

    • 方言と言語の境目って?

      日本語の東京弁と東北弁は同じ言語だろうか。標準ドイツ語とバイエルン語はどうか。標準イギリス英語と標準アメリカ英語はどうだろう。 方言dialectと言語languageにはっきりとした境界はなくて、人によって言うことは違う。 私個人の感覚として、mutually intelligible(お互いに理解できる)かどうかが1つの基準になると思う。なので、ここでは判断基準としてMutual intelligibilityを掲げる。 すると、東京弁と東北弁は異なる言語と言える。

      • 孤立語・膠着語・屈折語

        言語の分類の仕方にこのようなものがある。 孤立語とは、中国語に代表され語形変化がなく語順で意味を表す言語である。 膠着語とは、助詞などにより単語同士を結びつけることで意味を表す言語である。たとえば、日本語がある。 屈折語とは、単語の語形変化によって意味を表す言語でありロマンス語やゲルマン語がその代表例である。 屈折語といってもその度合いは様々である。たとえば、ラテン語では語形変化がすべてであり語順は関係ない。実際、語順を変えても意味は変わらない(ことになっている)。一

        • 完了形と未完了形

          英語やドイツ語などのゲルマン語、フランス語をはじめとするロマンス語はどれも現在形や過去形、未来形などをもつ。 一方で時制にそのような単純な区別がない言語もある。たとえばアラビア語では完了形と未完了形というアスペクト(相)がベースにあり、それを利用して時制を表すのだ。アスペクトについては最後に説明をつけた。 完了形とは、「完了したすべての動作」を表す。未完了形はそれ以外の動作を表す。どちらも、あくまでアスペクトに過ぎず、これだけでは時間は示せない。 アラビア語の時制の表し

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        • 語学ネタ
          9本

        記事

          語彙の細分化

          前回は下ネタにはしってしまったので、今回は至極真面目な話をしようと思う。 さて、言語によって語彙の細分化のされ方は異なる。どういうことかというと、ある言語では1つの単語で表されることが別の言語では複数の単語で表されるということだ。 例えば、英語のgoやフランス語のallerにあたるドイツ語の動詞はgehenやfahrenなど複数ある。 もちろん、このgehenやfahrenは異なる意味をもち同義語ではない。では、どのように意味が細分化されているのか詳しくみていく。 g

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          Bukkake

          外国語になった日本語は意外とたくさんある。 有名なのは、JudoやTsunamiなどであるが、Bukkakeという単語をご存知だろうか? そう。今回の話は大変に下品な話である。 海外では、日本人は真面目だという印象が多い一方でじつは変態だというイメージも強い。昼間は一生懸命に働いているぶん、夜にその反動が出てしまうと思っているひとも多い。また、日本のpornは少し海外のものとは変わっていて過激なものも多いのでそのようなイメージがついてしまったのだろう。Japanes

          現代英語に残るガルヴァーニ

          さて、前回に引き続き固有名詞が動詞になってしまったシリーズだ。 ガルヴァーニGalvaniという人をご存知だろうか。彼は18世紀のイタリアの医者兼物理学者だ。高校で生物を勉強した人はおそらくこの名前を聞いたことがあると思う。 そう。彼は、二種類の異なる金属をカエルの脚に触れさせると筋肉が収縮することに気付いた人なのだ。ここから、筋肉と電気の関係が明らかになったのである。 本題に入る。英語にはGalvaniに由来するgalvanizeという動詞がある。これはもともと「電気

          現代英語に残るガルヴァーニ

          Vandalism??

          世界史を学んだことがある人ならば、ヴァンダル人Vandalを聞いたことがあるのではないだろうか。かつて、ローマを略奪して破壊した民族である。 現代では、フランス語や英語にそれぞれvandalismeやvandalismというありがたくない単語が残っている。その意味は「文化や文明の破壊」だ。動詞形はvandalize。残念なことに、よくニュースで聞く単語である。下はその例。 Several teens vandalize local church multiple time

          Vandalism??

          自分に帰ってくる動詞?

          Ich habe mich mit ihm getroffen. Ils se sont déjà rencontrés. 上の2つの文には再帰動詞という動詞が使われている。それぞれドイツ語のsich treffenと、フランス語のse rencontrerである。 再帰動詞はロマンス語やドイツ語で広く使われている。英語にも再帰動詞は存在するが、その数は圧倒的に少ない。avail oneselfやpride oneselfは知っている人も多いだろう。 再帰動詞とは、w

          自分に帰ってくる動詞?

          Calamus gladio fortior

          ペンは剣よりも強し。 ラテン語では上記の3単語で表される。正確にいえば、これにはコピュラのestが欠けているので4単語である。 某KOでよく見かけるこの文の文法的解説をしていこうと思う。 まずは単語について。 calamusは単数主格で、「ペン」を意味する。 gladioは単数奪格でその主格はgladiusである。「剣」を意味する。 fortiorはfortisの比較級であり、「より強い」という意味である。 ここで注目したいのは、比較の対象を表すのに英語のようなtha

          Calamus gladio fortior