Calamus gladio fortior

ペンは剣よりも強し。

ラテン語では上記の3単語で表される。正確にいえば、これにはコピュラのestが欠けているので4単語である。

某KOでよく見かけるこの文の文法的解説をしていこうと思う。

まずは単語について。
calamusは単数主格で、「ペン」を意味する。
gladioは単数奪格でその主格はgladiusである。「剣」を意味する。
fortiorはfortisの比較級であり、「より強い」という意味である。

ここで注目したいのは、比較の対象を表すのに英語のようなthanを使わずに奪格ablativeのみで表している点である。興味深い。これはラテン語の奪格の数ある用法のうちの1つだ。ちなみに奪格は本来、文字通り「何かから離れる」という意味をもつ。

英語のthanにあたる単語はないのか、といえばある。それがquamだ。下の2つの文は同じ意味だ。

Calamus fortior est gladio

Calamus fortior est quam gladius

このように、「quam+主格」を「奪格」で書き換えているのである。ここでquamの後が主格になっているのは、主語と同格だからだ。

なお、ラテン語の奪格の用法には英語の分詞構文に影響を与えたとされる絶対奪格をはじめとして他にも面白いものがあるので興味があれば勉強してみよ。

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