語彙の細分化

前回は下ネタにはしってしまったので、今回は至極真面目な話をしようと思う。

さて、言語によって語彙の細分化のされ方は異なる。どういうことかというと、ある言語では1つの単語で表されることが別の言語では複数の単語で表されるということだ。

例えば、英語のgoやフランス語のallerにあたるドイツ語の動詞はgehenやfahrenなど複数ある。

もちろん、このgehenやfahrenは異なる意味をもち同義語ではない。では、どのように意味が細分化されているのか詳しくみていく。

gehenは「行く」と訳されることが多いが、これは正確に言えば「歩いて行く」ことである。すなわち、例えば車で行く場合にはこの動詞を使うことはできないのだ。

fahrenはgehenによってカバーされなかった部分、すなわち「乗り物に乗って行く」という意味である。面白いことに、車や自転車や電車などはわかるとして、スキーやスケートもfahrenを使って表すのだ。要するに、自分の足で歩かなければすべてfahrenを使う。

ここで、初学者がやりがちな間違いを紹介しよう。東京に住んでいる人が「私は来月、京都に行きます」と言うとする。

英語では
I'm going to Kyoto next month.
フランス語では
Je vais aller à Kyoto le mois prochain.
という。

ドイツ語ではgehenを使って
Nächsten Monat gehe ich nach Kyoto.
と言ってしまうのである。gehenは英語のgoになんとなく似ているから気持ちはわかるが、これを聞いたドイツ人はびっくりするはずだ。京都まで歩いて行くの?と。

もうお分かりだろうが、正しくはfahrenを使って
Nächsten Monat fahre ich nach Kyoto.
と言う。

言語によって意味の分け方が違うということは、複数の言葉を勉強して初めて気づく。それに気づいた瞬間が語学学習が面白いと思うときだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?