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ベンチャー、スタートアップ企業の戦略人事

 創業時のベンチャー・スタートアップ企業こそ、経営戦略と連動する人事戦略からの組織作りで事業強化の基盤固めすることが大切です。

 斬新なアイデアの商品や革新的な技術を使った製品、ユニークなビジネスモデル、既存事業の常識を覆すディスラプター(破壊者)、VRでオンライン上に新たな市場創出など、才能ある起業家がスピードと行動力を持って事業を起こす機会が随分と増えてきました。
 起業することの社会的な障壁が低くなっただけでなく、エンジェル投資家コーポレート・ベンチャー・キャピタルなども積極的に新たな可能性を支援する仕組みがわが国に一般化してきた事も一つの要因としてあると思います。
 創業時は、気心知れた仲間と一緒に事業創出する事の楽しさ、時には苦しさを味わいながらも将来の夢に向かって、時を忘れて事業に専念されている場面もしばしばあることでしょう。
 他方、起業して間もないうちは、未だ組織構築や人事戦略などは二の次。商品やサービスの認知拡大が優先事項。事業の成功が先だ。と考えられる起業家も少なからずいらっしゃるかと思います。

 しかし、事業の成功のために、最も大切な四大経営資源のヒト・モノ・カネ・情報の中で、今ほどヒトの重要度が増していることはないのではないでしょうか?
 商品やサービスの差別化が難しくなってきた今、革新的な技術を持って開発した製品も、直ぐに競合他社がキャッチアップしてきます。最終的な競争力の源泉は事業を推進する人に尽きます。
 製品やサービスを顧客に届けるだけでなく、継続的に利用していただき、ロイヤルカスタマーになっていただき、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)を高めるには、生産からデリバリー、そしてカスタマーサクセスまでのバリューチェーンにおいて、オペレーション・エクセレンスを実現する組織構造が必要です。ここで、組織構築が重要である点に異論はないでしょう。

 しかし、組織作りにおいて、経営戦略からブレークダウンして作られているかという点においては、疑問符の会社も散見します。
 たまに見かけるのが、人事クラウドの仕組みを導入することが目的になってたり、コンサルタントに依頼して、人事の仕組みをあるべき論的な一般論で構築してもらったりなど。
 言うまでもありませんが、重要な点は、人事システムやHRテックのクラウドサービスを入れる事が目的化することや人事コンサルタントに任せっきりにしたりする事にならないことです。
 特にHRサービス導入が目的化してしまうと、将来的に人事制度の形骸化につながります。最終的には使われないシステムになることも否定できません。

 古いことわざですが、「仏作って魂入れず」にならないように、企業の存在意義の企業理念・経営戦略からしっかりと人事や組織を作り上げることが重要です。
 人事戦略や施策は、経営戦略と連動することで、企業の競争力の源泉となる屋台骨です。さらに、経営環境は常に変化します。自ずと経営戦略・事業戦略、さらには事業計画も環境要因に合わせて改定します。すなわち、これに呼応して人事戦略や施策、さらには組織構造も適宜変化が求められます。特に今日、DX化はあらゆる産業・業種に影響しています。デジタル環境に合わせた組織構造変化も柔軟に必要です。
 しかし、ベンチャー・スタートップ企業では、大手や中堅企業と違って、ヒト・モノ・カネが潤沢にあるわけではありません。従って、本題であるベンチャー・スタートアップ企業において、戦略人事が創業時においてもとても重要になってきます。
 従業員もお金も豊富に無いので、経営戦略・事業戦略に基づいて短期・中期で最も重要とする経営目標と項目に傾斜資源配分していく事が求められます。特に人が関わる組織は、短期間で朝令暮改していくことは難しいものです。

 従って、創業時において検討する、自社の強み・弱みや環境を理解(すなわちSWOT分析)し、さらにはマーケティングミックスの4P/4Cで市場を把握し、STP分析ビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークでビジネスの重点ポイントを掴み、最も注力する取り組みを実行する組織作りに選択と集中する事です。

 たまに見かけるのが、商品を売る営業が必要だよね。サービスを広めるために広報も重要だよね。お客様に対するカスタマーサービスもいるね。とか一般的に思いつく会社の組織構造を羅列したり、ベンチマークする企業の組織体を真似したりすることが散見しますが、これは絶対に止めましょう。ヒトやお金が十分でないステージでは、攻める領域の選択と集中が重要です。その上で、実行する組織作りを行ない、経営戦略に基づく、各部門の目的、役割、成果責任をきっちりと定義する事です。そして、ヒトを配置して組織構築していくことで、最も注力する事業を実行できる組織体が出来上がります。

執筆:JOB Scope 編集部