「従順さ」に逃げないこと。「反抗心」がキャリアには必須だから

ずっと思ってるんですが、多くの人は、色々なことにとてもガマン強いのだなあと。ガマン強さは美徳でもあり、生きるために必要な大切な能力です。そういう意味においては、ガマン強い人は尊敬できます。自分にはない能力なので。

しかしながら、たとえばあまりに理不尽な扱いとか、圧力とかを受けている状況においてもひたすらガマンを続ける姿を見るに、そこまで耐えるべきなのか、と思ってしまいます。もっと言いたいことを言えばいいのに、なぜ単に耐え続けるだけなのか。

「空気を読む」とか「忖度」というようなワードは日本の社会や人々の行動様式を語るときにもはや必須の概念になった気もしますが、それらも、この「ガマンできる／してしまう」能力や特性がベースになっていると思います。

とくに「お上には逆らえない」という点においてはこの性質は顕著ですよね。この場合のお上は、国や政府のみならず、自分の所属する（つまり、実質的に生殺与奪権を握られている）「組織」もそれに該当します。

「お上は偉い」「組織には逆らえない」という思考が強く刷り込まれてしまっているのは、生まれ育った文化の影響もかなり強いのだろうと考えています。

山口周さんの過去のVoicy放送が面白くて、「水戸黄門」というコンテンツについてこのように言及されていました。水戸黄門って、要は税金でプラプラしているおじいちゃん。そしてその身分が非常に高いという理由「だけ」で、人々は畏れおののいて地面にひれ伏す。そのシーンを日本人は大好きだが、これはいかに「権威」を信奉しているかという国民性の現れである。

この放送を聞いたとき思わず苦笑いしてしまったのですが、まさにそうですよね。圧倒的な権威、権力の前にはどんな悪人も震え上がるというカタルシス。これこそが、日本人が大好きな感覚で、日本文化の持つ特徴的な一面かと思います。

正直にいうと、僕も普通の日本人として、あの印籠を出すシーンは子供の頃から普通に楽しんでました。こうやって、個人の思想は影響を受け、作られていくんですよね。なかなかに怖いことです。別に陰謀論ということではなく、これこそが「文化」ということなのでしょう。

長いもの、強いものには巻かれろ。「上」は偉いし、最終的には正しいはず。この考えが、組織に無条件に従ってしまいがちな人々を大量に作り出してしまうのだと思います。

実際、企業、特に大きい会社ほどその「権威」の力はすごくて、一般的な従業員からすれば、「逆らうなんてとんでもない」と思ってしまうわけです。そしてこれが、日本人一般の、普通の感覚だとも思います。


これの何が怖いって、もし組織が不正なことをしても、それに異を唱えることができず、一緒にその不正に手を染めてしまうことです。

オウム真理教の幹部だった人々は、元々ものすごくマジメな人が多かったということです。だからこそ、一生懸命に「上」の方針に従い、自分に与えられたタスクをこなした。そしてその結果、気が付けば重大犯罪を犯してしまっていた。だから許されるという訳では決してないのですが、これが「上にひたすら従う」ことの怖さを表しているといえます。

罪の重さは違えど、相似形な話は今でもたくさんあります。あるメーカーで繰り返された、法定検査における数値改ざんと不正報告。これも、現場の人々は極めてマジメすぎる人だったのだと思います。だから、上からの指示、先輩から受け継がれてきた伝統にただ黙々と従った。その結果、自分が不正の張本人となってしまったわけです。


「反抗心を捨てない」ことは、「自分を捨てない」ことだと思っています。

組織に対して従順であればあるほど、その組織にとっては都合が良い存在になります。でも、いくら言うことを聞いたとしても、組織は「親」ではありません。最終的には経済合理性に従うものです。だから、後でいくら「裏切られた」と恨んでも仕方がないのです。

「こんなに会社に尽くしてきたのに突然リストラとは… 」 今でも、多くの人が悲痛な声を上げています。ものすごく従順に尽くしてきたのに、その見返りはなかった訳です。


つねに、ある種の「反抗心」を持っておくことはとても大切だと思います。そしてそれを持ち続けることを可能にするためにも、自分の価値を発揮し、パフォーマンスを出すのです。会社に気に入られ、評価されるためではなく、会社と「対等」でいるために、です。

「正しい反抗心」を持つことこそ、自分を持つということ。そういう人こそが、真の意味でのキャリアアップを実現する。そのように思っています。

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Voicyで、この内容についてさらに掘り下げました。よろしければぜひお聞きください！

https://voicy.jp/channel/3399/462262

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