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「軍事的安全保障研究予算をもらってもよいか」

日本リベラルアーツ協会では「続・大人になるためのリベラルアーツ」に準拠した読書会の第8回を11月4日(木)に実施しました。
今回のテーマは「軍事的安全保障研究予算をもらってもよいか」です。今回も本に準拠し話題提供を行いながら4つの論点について対話しました😊また、話題提供の様子と資料はこちらです💁‍♂️💁‍♀️

1問目
大学に所属する研究者が研究費をもらう是非を問う時、研究費の出所という
外形基準で判断することについてどう思いますか。

 ・内容で線引きをすることは難しいだろう
 ・ある技術が軍事に繋がり、繋がらないかは、技術をどう使うかの問題である。
 →従って、資金の出所で判断する、ということが妥当になる。
 ・教育学は、資金の出所でも判断できない。本質的に教育は人間の社会化であり、
場所や時代の社会に依存するので、「絶対に軍事的でない」ということはできない。
 →危なさを感じる、批判的思考力を身につけることは大事かも。
 →軍人を志す人も一定数必要であり、教育において区別は不可能ではないか。
 ・ビッグデータ研究は資金が軍事由来のデータも出てくる
 →論文引用・出典が軍事機関であることは避けている。
 →しかし、拡大解釈すれば仮想水のように軍事機関由来の資金入っている。
 →もはや我々がインターネットで触れるビッグデータの中に、
気付かれないうちに軍事的資金による成果が含まれている。
(インターネット自体が軍事的成果物であるし。)

2問目軍事研究か否かの線引きを、研究内容で判断することについてどう思いますか。

 ・ある技術が軍事に繋がり、繋がらないかは、技術をどう使うかの問題である。
内容で判断することは困難。
 →しかし、研究時点での危険性の有無の明確化し、説明する責任はあるのでは。
 →そのため、過程を記録しておくことが大切
 ・「過程」の記録は純粋な手順などはともかく、社会的背景が少しでも含まれると「歴史」となる。
 →「歴史」は片方の立場を英雄視する。
当時最新の足軽戦法で武家政権を建てた鎌倉幕府、鉄砲で天下統一をした江戸幕府、
外国技術で幕府を倒した倒幕派、既存政府から見れば皆テロリズムだが肯定されてしまうのだ。
 →単なる手順の列記を少しでも超えれば、その記述にはイデオロギーを持ちえる。
 ・平和利用目的と言っていても、いざというとき武器に、という考えもある。
 →それを止めることは出来るか。
 →あらゆるものが武力化するので「軍事的に使うな」というしかない。
 →そして今のところ、兵器の国際的禁止は完全には成功していない。
 →主権国家内では勝手に武力を保有・行使した者に罰則を課すことが出来るが、完全な廃絶は難しい。
 →完全に廃絶しようとすれば小石1つも持てないし、もちろん包丁も使えない。
 →内容で判断することは困難。

3問目
軍事研究か否かの線引きを、研究成果を自在に発表できるかどうかで判断することについてどう思いますか。

 ・企業研究はその企業活動のために秘匿なので、発表できるか否かで線引きをすることは難しい
 →企業(営利活動)の場合と、非営利活動の場合で区別できるか。
 →軍事も、会社に大きな利益をもたらすので、これを区別することは不可能である。
 ・新しいものの公開は良くないのでは。
 →新規性が無くなって、公開しても損をしなくなったからに過ぎない。
企業の場合も軍事の場合も同じ。
 →新規性が無くならなければ、長期的に公開しないだろう。

4問目
自衛のための軍事力とはなんだと思いますか、その上で軍事的安全補償研究予算をもらってもいいと思いますか。

 ・危険が認められれば、敵国内にあるミサイル基地を破壊することも許される。
 →いくら危険があったとしても、それでは主観で無制限に拡大しうる。
「自国への攻撃」を明言しているか、公海もしくは近海に現れ、切迫した時だけでは。
 →自国領に現れた時に限られるだろう。幸い、日本は島国であり、時間的余裕がある。
 →ただ、最近はミサイル技術が向上し、時間的余裕はなくなりつつあり、どうするか。
 ・「自衛」とは何か、を対話した上で、「予算をもらっても良いか」という話になると
ますます判断が難しく感じられる。
 ・そもそも攻撃することで、相手も不利益になるような経済構造にすることが大切である。

参加者の声

 ・未だ研究に携わっていないためか遠い話だと感じていたことが身近に感じられてよかった。
・軍事力というなじみのないテーマでしたが、すごく興味深かったです。
・私はダイナマイトを例を挙げましたが、何が軍事目的に使用されるか分からないので、そこはすごく難しいと思いました。
そして何より、軍事目的に研究結果を使われた研究者の心情を考えるべきだと思います。近年は、防衛力ということで大量の核兵器が作られていますが、防衛力を目的とした行き過ぎた核兵器の開発は許されるべきことではないと思います。私はほとんどこれに関する知識はありませんでしたが、今日の読書会を通して様々な事例や考えを知ることが出来ました。
・実際にその問題に直面している人がいたのでお話が聞けて興味深かった
・1つ1つの分野に分けて研究されていると、軍事目的か分からないという意見はとても興味深かったです。また、防衛力というのは軍事的なものだけではないという
意見を聞いて、これからの防衛に向けてすごく重要な視点だと思いました。
・世界で軍事力の足並みをそろえることは出来るのか、
核兵器の開発などが本当にお互いに抑止力になるのかは疑問です。(モヤモヤしていること)
・一面的なものの見方をしないこと(今後活かしたいこと)

「軍事」という、トゲトゲしいテーマではありましたが、我々の日常に気付かないうちに浸透していて、この問題を専門とする方以外も当事者意識を強く持って活発な対話となりました‼️

 今回も、データ分析に関わる方のほかに、工学、教育学、コミュニケーション論など多様な専門を持つ方々にお集まり頂き、各々の専門や経験、立場を基に活発な対話が出来ました。
今回参加して下さった皆様、ありがとうございます!!


 次回は11/11(木曜)21:00(日本時間)よりオンライン(zoom)で「絶対に人を殺してはいけないか」というテーマで開催します!
多くの人にご参加いただけること、楽しみにしています!


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