そういう季節のこと(季節を捨てよ、旅に出よう)



断じて近代人でなければならぬ。
頌歌はない、ただ手に入れた地歩を守る事だ。辛い夜だ。乾いた血は、俺の面上に煙る、このいやらしい小さな木の外、俺の背後には何物もない。……霊の戦も人間の戦のようにむごたらしい、だが正義の夢はただ『神』の喜びだ。
まだまだ前夜だ。流れ入る生気とまことの温情とは、すべて受けよう。暁が来たら俺たちは、燃え上がる忍辱の鎧を着て、光りかがやく街々に入ろう。

『地獄の季節』ランボオ (小林秀雄訳)



アブラハムには嘆きの歌がない。
嘆くのは人間らしいことである、
泣く者とともに泣くのは、
人間らしいことである。
アブラハムには哀歌がない。
時の過ぎゆく一日一日をもの悲しげに数える、
彼の指は、そんなことに奉仕しなかった。

『おそれとおののき』 キルケゴール 


宿まいらせむさいぎやうならバ秋暮

『野ざらし紀行』(天理本)




哀歌なし
ランボオならば
夏の暮れ



でぐちなし
ランボオならば
なつのくれ

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