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読書記録|廣松渉 『今こそマルクスを読み返す』

読了日:2023年2月27日

 "マルクス主義"そのものが悪ではないのは理解していたが、 まずは改めて根本から知ってみる。

 現在”共産主義”や”社会主義”と言われるものは、「マルクス・レーニン主義」が”主流派”という立ち位置になっており、スターリンがレーニンから受け継いだ思想を更に極化させていったもので、本来のマルクスが唱えるものとはズレが生じている。(マルクス原典の改竄もされていたらしい)

 スターリンが名付けた「マルクス・レーニン主義」は「スターリニズム」や「スターリン主義」とも言われるが、膨大な粛清や暴力、秘密警察などの恐怖政治による全体主義であり、対外的には工作活動や世界革命を目論む、これが現代の人が持つ”マルクス主義”というイメージではなかろうか。

 スターリンはレーニンの世界革命論を否定し、一国社会主義を提唱するものの、彼が設立したコミンテルン(第三インターナショナル)の後継である各国の共産党(支部)はどのような立ち位置にあるか、国によって違う認識なのか再考したいところ。
 いずれにしてもスターリンが出処なのは変わりない。

 話をマルクスに戻して、彼が唱えることの大部分は、労働者から搾取する”賃金奴隷制”についてであり、資本主義経済体制は包摂的支配だというのが本論か。
 
 できうることなら貨幣も廃止すべき、というのがマルクスの言うことであるが、最近では「金が諸悪の根源」と主張する保守派もいて、

「それはマルクス(共産主義・社会主義)思想では?」

と思う。
これは余談。

 本書ではマルクス主義をかなりわかりやすくコンパクトにまとめてあると思うが、かなり深く掘り下げてあり、一度に全てを把握するのは私には少し難しい部分もあったので、あとでまた読み返したい。

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