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教えて話して感じる導入部分のたいせつさ 聞き手をひきつけて話の内容をより深く理解してもらうには


はじめに

 仕事で「教える」「話す」作業を何十年かやっています。それらでなんとか食べてきました。ふり返り聴いてくださっている方々にどのように伝わっているだろうかと思うことがあります。

話の内容はどれほど伝わっているのか、そして相手にわかってもらうには何が必要か、経験と学びからひとつの要素をとりあげて記します。


話し相手を知る

 聴いてくださる方がいるので話せます。対象は学生だったり一般の方だったり。年齢やスキルはさまざまです。これまで小学2年生から90歳あまりの方々までを相手にしてきました。ただし小学生とご高齢の方を同時に聞き手にすることはありません。

たいていほぼ同年代、同業者、学者、児童、生徒など、そして親子や兄弟姉妹などです。年齢がほぼそろっていると聞き手がわたしに求める内容はほぼ決まります。

何を聞きたいかあるいは題材の決まっている場合がほとんどです。それは授業、講演、相談、学会発表、報告会、打ち合わせなどさまざまです。

話す前にこちらは聞き手を想像し、わかってもらいやすいかたちに準備します。たとえばレジュメを準備したり、模型やたとえになるものを探したり。

あるいはパワーポイントでデータをグラフや表にまとめ、提示しながら説明します。

話す相手の特徴を知り、それなりに準備できていると理解してもらいやすくなるはずです。

時と場合によって話の内容を理解してもらいにくくなる状況が生まれてきます。それはどんなときでしょう。


イントロダクションのたいせつさ

 たとえば、わたしが話している途中で遅れてきた人がいる場合。その場でもっとも重要な人物や責任者の方がご相手ならば、そこまでの話をかいつまんでくりかえします。のちに入ってきた人にとってわたしの話は理解しにくいものです。

それはなぜでしょう。話の内容をつかむ手がかりが、話の途中では見当たらないからです。ふつう最初になぜこの話するのかの緒言(イントロダクション)を示します。ひと言の場合が多く、こみいった話ならば数分間かけることもあります。授業でも講演でもほぼ同じです。

イントロダクションで盛り込む内容のおもなものを以下に示します。
 ➀これまでの経緯
 ➁問題点や課題はなにか
 ➂解決のために必要な要素
 ④関連する内容や事実など

これらを示したうえで、話の伝えたい主題に入っていく流れをつくります。主要な話のなかで何をあきらかにしようとし、これまでとはどこが違うか、何が加わったのかをはっきりさせるといいです。

その場に板書、プロジェクターで投影して、いまの話はこの部分ですよと指し示しながら注意をうながすのもいいでしょう。

この方法で聞き手は自分のいちばん知りたい部分に近づけば、より集中して聞こうと構えやすいですし、意識にメリハリをつけやすいはずです。わたしが聞き手でもそうあってほしいです。これならば途中からでもある程度ついていきやすいはず。


手を変え品を変え

 同じ話の内容でも、適切なたとえの表現、アニメーション、イラスト、視点をかえた説明など、多面的に伝えるとより伝わりやすくわかりやすくなる傾向があります。

じつは聞き手は一度聴いただけでは判然としないことがありがちです。くりかえし、しかもよりかみくだいてもらえるとやっと理解してもらえるものだと思ったほうがよさそうです。

ここはわかっているだろうではなく、相手にはなかなか伝わらないものだというきもちで話を組み立てるといいです。

それとあれもこれもではなく、「主題を短く伝える」ほうが「だらだらと長い話のあとの結論」よりも伝わりやすいと感じています。


web対話の注意点

 webで話してみると気づくことがあります。じっさいに相手の方を目の前にして話すのとくらべて、伝えたいポイントをつかんでもらいづらく相手の理解度にちがいを感じます。

間をとりつつ聴いてくださる方の表情やしぐさから、理解しているだろうかとたえず注意を払いつつ話を進めます。

web対話はより集中力が必要で、話者、聞き手ともそれは同じ。さらに周囲の聴衆の反応を感じとりにくい点も大きいです。ぽつんと聴いている聞き手にとって、聴衆の反応も理解の助けになっているはず。

この環境の違いの差はけっこう大きいのかもしれません。聞き手はまわりの環境の影響を受けやすいと感じています。web対話が増えてきた昨今、イントロダクションをわかりやすくおこない、話の流れをつかみやすくすることが求められていると感じています。

おわりに

 このようにイントロダクションをはっきりわかりやすく伝えることで、そののちの伝わりぐあいが違ってきます。

つねに聴衆のようすから、話が伝わっているかどうか反応をみつつ話せるようになれば、より上達しそうです。話す内容をかみくだいてわりとゆっくりと、書き言葉でなく話し言葉で話すほうが伝わりやすいです。

あまりたくさんを織り込もうとせずに、ポイントをしぼり最重要なことが伝わりさえばよい、あとは枝葉にすぎないと思うことにしています。


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