ヒトなみ以上に泳ぎに苦労するわけはじつは浮きにくい体質だからなのかも
はじめに
泳ぎが得意なほうではない。気づいたのは小学校の水泳の授業。もともと運動はできるほうではない。それに気づいて中学・高校は運動部に。そのかいあってスタミナはひとなみになれたけれど泳ぎはべつ。
夏休みの水泳教室で先生のマンツーマンの指導のかいもなく小学生ではプールの横をわたるのがせいいっぱい。ちからをぬいて水面に身をゆだねても下半身からしずんでいく。からだが浮かないのはなぜだろうと首をひねっていた。
きょうはそんな話。
ゆううつな水泳
この時期になると小学校でゆううつなできごとが。それは水泳。代々にわたり泳ぎのできるジンブツがいない。家族で水になじむあそびをしたおぼえがない。
賢明にバタバタしても級友たちのようにすいすい水をきるようにすすむことなんて…、とつねづね思っていた。どうやったら泳げるのかなんどたずね、そばについてもらい手とり足とり教わるが、水上で満足にすすめないまま。
もはやこれまで
中学3年のなつやすみの体育の宿題は全員50メートル泳げるようになること。果たせなかったらどんなおそろしいことがまっているかわからない。ほかの宿題を7月中に終わらせたにもかかわらず、この課題については近所の友人(泳力ほぼ同等)とともに必死で難渋した。
部活を引退して受験勉強に専念すべき時期のはずにもかかわらず、夏休みまえからほぼ1,2日おきに近所のあちらこちらのプールに出向きふたりで練習した。おかげでふたりとも受験生にもかかわらず日焼けでまっくろに。
ひとりでないのはこころづよい。さそいあってでかけられた。いつも自転車をこぎつつ、さか道の多い街を行き来した。
練習のかいあって
おたがいにはげましあえたのはさいわい。そのかいあってすこしずつ成果は出つつあった。しずみやすいからだを水中でささえるには、手のひらでたえずななめうしろにかいておさえつけるかんじ。すると顔をあげられるとわかった。
ある日。プールの中心で背のとどかない競技用プール。水深180センチぐらい。小柄な小学校にあがったばかりの子がそばをおよいでいた。
つま先立ちでも底に足はとどかない。その子はどうしたか。いっきに水にもぐり底をけり、そのいきおいのままとびあがり前方の水面から顔をだし、その瞬間に息をつぐとというはなれわざを目のまえでやってのけた。そうやってその水深の深いぶぶんをきりぬけつつ、前へすすんでむこうぎしにたどりついていた。
奮起のきっかけ
目にした瞬間じぶんがなさけないと思った。同時に奮起する気になれた。あんなちいさな子がおそらくじぶんで身につけやれるのに。まねしてやってみると背はその子よりもずっと高い。底をけってはねあがるとじつにかんたんにあたまを水面よりうえにあげられた。
浮きにくい体質にはちがいない。息づきしづらいのは息を吸うより、はくことができていない。水面に顔がでる瞬間にしっかりはくことだと気づけた。そのいきおいにあわせて吸えばいい。平泳ぎでしっかりゆびのすきまをとじて手のひらで板をつくるように、すこし下むきにかくとその反動でかってに水面より上に顔(というより口)があがるとわかった。
そのタイミングで足のひらで後方に向かい水をけりやる感じがわかるとからだがまえにすぅ~とすすんだ。この感触だと気づいた。25メートル、そして目標の50メートル。ふたりともほぼ同じタイミング。あと夏休みおわりまで10日をのこすぐらいのころだった。
浮きにくいのは
夏休みあけの水泳の競技会。全校全員が学年ごとにわかれて実施。もちろん3年生は宿題をやってきたかの確認をかねている。全員の目があるのでごまかしはきかない。小学校以来わたしが満足に泳げないことはおおかたの友人たちは知っている。
そのなかにあって成果をしめす番。わたしがプールのなかばまですい~とすすむのをみて、「あれっ、およげるじゃない。」と声が聞こえた。たちまち25メートルのおりかえし。手をついたコンクリートでまだ息はあがっていない。
おわりに
あと半分、いけるかなとすこしばかりほっとした。息をととのえもぐり足でしっかり壁をけり、そのいきおいでからだをまっすぐのばしたまま、4分の1ほどさきまですすむ。からだが浮きにくいのを逆に活用したかたち。
これができるようになったのは大きい。まわりから「〇〇がんばれ。」の声と拍手が聞こえた。おおぜいがどうやらわたしにかけてくれているらしい。すこし息があがってくるが、その声援のなかですこしだけギアチェンジできた。応援のちからは大きい。すぐ横で担任も声をかけてくれる。
最後の4分の1はさすがに手と足のかきのバランスがくずれてきてまえへすすみづらい。わあ~とあがる拍手と声援が後押ししてくれそのいきおいのままゴール。こんなにたくさん声をかけてもらえたのはまえにもあとにもこのときぐらい。
体脂肪率がひとケタだとけっこうからだが浮きにくいのは物理的にたしかなよう。それでもなんとか手足をうまくつかえばからだは浮かせられるし、まえにもすすむ。このとき得た自信は大きかった。
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