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最先端にいくまでには地道につないでそのさきをめざせる分野がある


はじめに

 本業のかたわら研究パートで週2回、副業としてはたらいている。いくつものスモールビジネスの経験から、やっぱりそうだったといえそうなことをうんうんそうだとひとりで納得している。

きょうはそんな話。

学生さんといっしょに

 この春もあらたななかまを迎えた。すでに昨年の冬から研究室に出入りをはじめた3年生たち。やはり初々しい。これまでの3年間で専門の領域をみっちりまなんできた。もちろん実験や実習もかさねてきた。

それでも研究室にはいり、それぞれの卒論テーマをあたえられるまでにはまだギャップがある。3年生までの講義や実験ではとおりいっぺんの基礎をひろく浅く身につける。わたしのはたらいている生命科学の基本についてごく表面をさらりとなぞりましたといっていい。研究室が何年にもわたってチームでとりくんでいる分野についてそんなに深く知る機会はそれまでほぼないにひとしい。

そこでギャップを埋める必要がある。この時期にそれに必要な要素をひとつひとつ身につけてひとりで使えるまでにしていく。もちろん実地でそばについてマンツーマンで逐一教えて、そして問われたら「こうするんだよ。」とか、「いやいやこのようにやってごらん。」と手技ひとつとってもやってみせながらおこなう。コツ満載なので最初で身につけてもらおうとこちらも身がはいる。

わたしが教えられるのはごく基本のことばかりだが、歴史はくりかえすというかスパイラルを描きながら発展をめざしているのか、ふるい手法の一部でもやはり求められていてれんめんと受継がれていく。

いろんな方法があるよ

 一例をあげよう。「ろ過」という科学ではごくごく一般的な操作でも千差万別、何リットルもろ過するものからほんの0.05ミリリットルぐらいまで、日常的にろ過操作ひとつとってもふつうにやっている。それぞれに用いる道具はまったくちがう。

すくないほうは繊細な手技を要し、しかも独自の方法でおこない、これを経ずにはさきへはすすめない。もちろん遠心分離という洗濯機の脱水機能に類似した原理にもとづく手法もよくつかわれる。

どちらがよいかはそのときどきによってちがう。こうした取捨選択をそのときどきで難なくできて一人前だし、修士のころとはそれの連続。どれだけ自分のものにできるかの時期。

どれだけたくさんやってきて、ポイントのところでつかえるかどうかの熟練度も同時に試される。研究とはその連続だし蓄積かもしれない。

わかさがあるから

 新人の学生さんたちには研究室では日々があたらしい。毎日がはじめてのことばかりなので頭とからだをフルにつかっている。そんな余裕はないかもしれないけれどわかさがある。それでじゅうぶん補えるし、まとまった習得の機会はそんなにめぐってくるものではない。

1年たつとほんとうにみちがえる。今回もそうだった。わかさでのりこえそれぞれの目標に向かいはばたいていく。どの学生さんにもそれを感じる。それはこれまでの3年間の蓄積、いや十数年のあいだ教育をうけたからこその成果といえそう。保護者のかたがたをはじめ周囲の方々の支援のおかげでもある。

やっぱり最先端にいくまでには地道につながないとそのさきがなかなかない分野もあるのはまちがいない。


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おもに理系の立場で本を選んでみました。


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