これから高3になり有機化学を、もしくは大学にすすんでこれから生命科学を学ぶ方へ
はじめに
高2生(まもなく高3)に化学を教えていてまもなく有機化学の単元にはいる。ここへすすむまえに分子の構造や化学結合、反応の速さと平衡についてしっかりマスターしていることが肝心かなめ。用意はいいでしょうか。
それなくしてはここからさきのとびらは重くてなかなか開かない。それらの基礎の土台をしっかりつくれていれば、とびらさえなく「なんだ中学のつづきじゃないか。」とほんの数か月ほどのまなびで目標の地点までいっきにとおりぬけていけるはず。
きょうはそんな話。
化学と生物
ちなみにわたしはいわゆるバイオの分野を専攻し学位を得た。そのベースとして高校の課程ならば化学と生物。そのうえに大学でまなぶ生命科学の多くの分野がそのうえになりたっている。
大学の科目でいうと化学のほかの分野(たとえば有機化学、物理化学、量子化学、無機化学)なども必ず修めたいし、関連する量子力学、熱力学、電磁気学や結晶学などもときおり顔をだす。
それらは高校における物理や地学の一部が基礎となる。もちろん高校~大学初等レベルの数学はふつうに用いる。
見かたをかえると
逆の見かたをすると新高3生にとり、これから化学で習うはずの炭素化合物や高分子化合物はこれから大学の理系のどの方面にすすむにも基礎基本となる。こうした学問分野はいまや密接につながりあっている(最近とくにそれをかんじる)。
身近なヒトにお聞きすると、ここで登場する芳香環(ベンゼン環)や一見複雑にみえる化学構造の表記に対して近寄りがたいものを感じるという。
どんなこころもちか
化学の概念はそのまま文字であらわして説明しようとするとかえって手間がかかる。そこで元素記号や化学構造式などが登場する。そのながれで有機化合物に登場するのが上の芳香環であり、はてはタンパク質の構造や合成高分子の基本構造。
このシンプルに簡略してあらわしたはずの「記号」にたいして拒絶、近寄りたくないとの態度がうまれる。記号が意味する根もとのところが理解できていればあっさり入れる世界だけれど。なぞの符号として暗号のように意味不明のものにみえてしまうのかもしれない。
モルの概念
それとおなじことは化学の通貨の概念としての「mol(モル)」にもいえそう。じつはこの物質量の考え方はなにげなくわたしたちが用いている通貨の「円」にたとえることができる。
大昔に物々交換でたがいにほしいものをおたがいに交換して生きてきた。ところがその価値を毎回、べつのモノとで価値を比較して理想的に等価交換するには共通の「通貨」をもちいるほうがべんりと気づいた。その化学版がモル。これで化学の世界は非常にすっきりしたかたちで表現できる。
身近な場面でとてつもなく大きな数量の粒子(分子やイオン)をあつかうのが化学。それをモルと名づけて表そうととりきめたことで化学の実験操作はスムーズにおこなえる。たいていモルに換算して計算すると楽になる。
話をもどしていこう。おなじことはベンゼンを亀の甲のように書きあらわすことや化学結合を横棒であらわしてなるべくシンプルに記せるようにした。化学を学びすすめると官能基などをさらに簡略化して略号などで記すことすらある。
おわりに
こうしたことは物理や数学などの世界でもひんぱんにおこなわれ、化学以上に記号や文字がたくさんでてくる。これらは各学問分野に接するヒトビトがべんりなように編み出したもの。
高校生のあいだはその学問をあやつるための道具を知り、その使い方のルールを理解する段階で終わる。なるほどべんりだなとおもえるのはむしろこのあと。大学にすすんでようやくルールの必要性とべんりさを実験や実習をつうじて専門家と共通の場に出てようやく納得できて、その中身や課題を知るようになる。
高校生(とくに新高3生)、そしてこれから専門をまなぶ大学生たち、これからさきに興味深くそして深淵な世界が広がっていますよ。
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