見出し画像

食事管理アプリ×ゲーミフィケーション~『あすけん』 の人気の秘密に迫る

一般社団法人日本ゲーミフィケーション協会の田中です。今回は、食事管理アプリ&ウェブサービス『あすけん』の人気の秘密について、株式会社askenの栄養士 兼 広報・PR担当 多田 綾子 (ただ あやこ) さんからお話をお伺いしました!


田中:『あすけん』は、食事の記録を自分はメインにほぼ毎日使っています。まずは、サービスを開発したきっかけをお聞きしたいと思います。健康管理やダイエットをテーマにしたサービスにおいて、ここまで食事を起点として徹底的に管理するサービスは少ないように思えます。『あすけん』を開発したきっかけを教えてください!


多田さん:弊社の親会社の株式会社グリーンハウスは、企業の社員食堂やレストランを運営しているフードサービス企業で、グループには約2000人の管理栄養士・栄養士が在籍しています。管理栄養士の栄養学の知見や栄養指導のノウハウがある環境下で、その知見とテクノロジーをかけ合わせれば、世界中に食を通じた健康を提供するサービスができるのではないか、と考えたことから生まれました。


田中:なるほど、もともとの飲食業界から展開してこのサービスが生まれたのですね。栄養管理に関するアドバイスが詳細で的確なのも頷けます。
自分の職場でも新型コロナウイルスの影響で食堂が閉まっていてコンビニ弁当が主流なのですが、栄養管理が難しい状況です。そんな中、『あすけん』を利用して継続的に健康管理を行っている同僚も少なくありません。このサービスに組み込んだ楽しく継続的に使用させる仕掛け(ゲーミフィケーション要素)に関して教えてください!

多田さん:楽しく継続していただく仕掛けは、実はたくさん散りばめています。ひとつは、「あすけん健康度」という独自の得点を算出し、1日の食事の評価をすることです。100点満点を出すのはなかなか難しいことなのですが、やはりユーザーさんはあすけん健康度の高得点を狙って摂取カロリーや栄養バランスなどを適正にしようとがんばる傾向があります。

2_アドバイスappicon_1024_14

田中:確かに、100点を出すのは、なかなか難しいですね…

多田さん:さらに、あすけんには「未来(みき)さん」というAI栄養士のキャラクターがいます。そのキャラクターの表情も様々あり、ユーザーの食事内容によって、コメントと一緒に表情も変わります。お酒を飲み過ぎた日は「今日はお酒をたくさん飲んだんですね!」と驚いた顔をしたり、健康度が低いと泣き顔になったりするので、未来さんを泣き顔にさせないように頑張る、という声もよく聞きます。

画像4


田中:自分はまだ、未来さんの多彩な表情をうまく引き出せていないので、今後の楽しみが増えました。体と相談して、未来さんを驚かせてみたいと思います!


多田さん:また、3食の記録を達成しやすくするために、視覚的にわかりやすくする工夫もしています。3食記録が完了すると今日の日付を囲む円が出来上がったり、カレンダー表示では、入力が途中の日と完了した日では色が変わるように表示しています。摂取カロリーや消費カロリーのグラフや、栄養素のグラフでも「不足」「適正」「過剰」が色分けされて過不足が一目でわかるようにし、適正に収めたくなるようになっています。

3_あすけんホーム画面キャプチャ

田中:この視覚化はなかなか残酷で、朝昼晩の3食では収まっていても、ついつい油断して間食したり夕食後のデザートを堪能したりすると「過剰」なってしまいます…。何回計算結果を見直しても、やはり「過剰」なときは「過剰」なのだと実感されられます…。その分、「適正」に収まったときには、明日も頑張ろうという気持ちになります。
お伺いしたように、『あすけん』には、毎日使用してもユーザを飽きさせない仕掛けが多くあり、ユーザー評判も高いように感じます。これまでには、苦労した点や工夫した点も多々あるかと思います。


多田さん:いかに継続していただけるかは苦労する点ですが、ゲーム的な要素の他に、食事の登録のしやすさは工夫しています。そのために、食事記録の際に検索するメニューデータベースには、食材や一般的な料理以外にも、コンビニやレストラン、ファーストフードなどの外食や市販食品のメニューも充実させ、10万件以上から選択することができます。また、AIによる食事画像解析機能も備えており、スマホで写真を撮るだけで、写っている料理を判別することが可能です。
ユーザーから「これを登録して欲しい」というリクエストは、アプリ内から常時受け付けており、スタッフが順番に目を通して登録しています。


田中:コンビニ等のお弁当や菓子類が定期的に追加されているのでとても便利なのですが、これはスタッフさんがいろんなコンビニやスーパー、レストラン等の飲食店を定期的に巡回して確認するような、地道な作業が行われているのでしょうか?


多田さん:基本は、メーカーが公表している成分表を元にしております。その他、お客様や企業からのリクエスト等によって集まってきたものを月に1度程度、定期的に反映させるなどしています。


画像5


田中:また、AIによる食事画像解析機能ですが、精度がますます上がっているような気がします。こちらはユーザのアップする画像と入力データ(写真を撮って送ったものの料理名が一致せず手動で入力したデータ)を機械学習させることで精度向上が図られているということでしょうか?

多田さん:はい、こちらは機械学習がされるので、使えば使うほど、精度は向上していきます!


田中:それは頼もしいです!2020年10月には、筋力アップとボディメイクのための食事をサポートする新しいアドバイスコース【あす筋ボディメイクコース】がリリースされました。こちらは、ひたすら胸筋を鍛えている私にはありがたいサービスです。今後予定しているゲーミフィケーション要素の入ったサービスはありますでしょうか?


多田さん:直近では2月9日にAI体型測定機能をリリースしました(iOS先行リリース)。写真で自分の体形を撮影すると、5つの体のサイズを自動で測定でき、さらに自分のカラダの3Dアバターが表示されます。この3Dアバターが面白い!と感想をいただいています。

4_体型測定の流れ2

この機能は、今後はAndroidにも展開予定です。
近々予定しているのが「ミッション機能」です。ミッションに参加していただくと、毎日達成すべきミッションが提示され、達成するとアプリ上でアクションがおこります。ミッションに参加することで、食事記録をする習慣付けのきっかけになればと思っています。

『あすけん』は、20代~40代の女性にもっとも多く利用していただいていますが、10代や70代などまで幅広い年代の方に利用していただいています。高齢の方のたんぱく質不足や、若い女性の「痩せすぎ」の問題など、食にまつわる課題解決につながるようなものも検討しています。
近い将来には、若い世代が食事の栄養バランスをゲームのような感覚で楽しく学べるようなものなども予定しているので、楽しみにしていてくださいね。


田中:個人的にも楽しみですが、社会的なインパクトも大きいように思います。いま学校では1人1デバイスが当然の時代になりましたので、このような自己管理につながるサービスがさらに進化して普及していく想像ができ、そこに『あすけん』さんが多々活躍している光景が目に浮かびました!
お伺いしたお話を恐縮ながらまとめますと、『あすけん』では、食事を記録すると即時フィードバックがあり、栄養計算・アドバイスが表示されることで、以前自分との比較により成長が可視化されます。また体重や活動レベルを入力することで達成可能な目標が設定されます。食生活改善のプロフェッショナル管理栄養士のノウハウとAI技術を組み合わせたアドバイスや、励ましが届くチア(応援)メールが届くなど、称賛の演出能動的な参加を促します。ついつい億劫になってしまう食事管理や健康管理において、ゲーミフィケーションをうまく活用すると、多くのユーザーに喜ばれるサービスにつながるよい実例です。コロナ禍で健康需要が高まる中、益々注目のサービスだと改めて感じました!多田さん、ありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?