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400字の独りごと

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過去に自身のWebサイトで発表していた、およそ原稿用紙1枚分のエッセイをここに再録していきます。
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#エッセイ

【400字の独りごと】記憶

 記憶  2011年3月12日、わたしは日本海に面した浜辺で海をぼんやりと眺めていた。東日本大…

Jey
3か月前
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【400字の独りごと】 いのししパパラッチ

 いのししパパラッチ  我が家は山のふもとに位置している。近年いのししが頻繁に出没するよ…

Jey
6か月前
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【400字の独りごと】 嘲笑をかう

 嘲笑をかう  ことばが、からだの中に溜まり、澱んで、不安定になる。  吐き出してしまい…

Jey
7か月前
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【400字の独りごと】 色いろいろ

 色いろいろ  空間にある、色。  みかん色。  遠慮なく物言いのできる友人たちと集まる場…

Jey
8か月前
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 【400字の独りごと】 ぴんとはりつめた、夜の空気をすいながら

 ぴんとはりつめた、夜の空気をすいながら  あとおよそ七十年、二五〇〇〇日。生きながらえ…

Jey
8か月前
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【400字の独りごと】 見知らぬ、なつかしい場所

 見知らぬ、なつかしい場所  ときどき、同じ夢を見る。  ホテルに改装された、古いお城を…

Jey
9か月前
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【400字の独りごと】 かたちから

 かたちから 「お前は、何でもかたちから入る人間だな」と、ずいぶん前に人から言われたことがある。  中学生のころ私が帰属していた、バスケットボール部の顧問のひとことである。基礎であるディフェンスの姿勢を完璧に覚えようとしていた時だった。  教師という職種の人々は、時に恐ろしく的を射た物言いをするものだと、私は今にして思う。  そう。まずはかたちから。  意識してそうするわけではないのだが、気付けばかたちから入っているのである。旅行へ行くなら鞄から、絵を描くなら画材から、文章

【400字の独りごと】 フェルメール

 フェルメール  フェルメールの絵は優しかった。  柔らかな陽光が差し込む窓辺で、ひとり…

Jey
1年前
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【400字の独りごと】 書く準備

 書く準備  誰かの言葉に、文章に、インスパイアされて行動するのはよくあることだ。 私の…

Jey
1年前
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【400字の独りごと】 届いたことば

 届いたことば  ふと、最近聞いていなかった大好きなシンガーのCDが聴きたくなった。なんと…

Jey
1年前
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【400字の独りごと】 梅干しのおはなし 

 梅干しのおはなし 「遠足に持っていくおにぎりの中身は、梅干しよ」 と、かつて幼い私に教…

Jey
1年前
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【400字の独りごと】 オルソン家

 オルソン家  20世紀アメリカの画家アンドリュー・ワイエスの絵画展に足を運んだ。  ア…

Jey
1年前
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【400字の独りごと】 誰にも説明できない

 誰にも説明できない  とある病院でおもしろい光景を見た。  70歳は超えているであろう患…

Jey
1年前
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