【400字の独りごと】 かたちから
かたちから
「お前は、何でもかたちから入る人間だな」と、ずいぶん前に人から言われたことがある。
中学生のころ私が帰属していた、バスケットボール部の顧問のひとことである。基礎であるディフェンスの姿勢を完璧に覚えようとしていた時だった。
教師という職種の人々は、時に恐ろしく的を射た物言いをするものだと、私は今にして思う。
そう。まずはかたちから。
意識してそうするわけではないのだが、気付けばかたちから入っているのである。旅行へ行くなら鞄から、絵を描くなら画材から、文章