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【400字の独りごと】 書く準備

 書く準備


 誰かの言葉に、文章に、インスパイアされて行動するのはよくあることだ。
私の場合は小説を読んでいると「書く」衝動に駆られる。
 たとえ物語が途中であっても、クライマックスであっても、本を放り投げてペンを手に取る。ひとたび衝動に駆られると、書かずにはいられないのだ。
 逆に言えば「読む」行為をしなければ「書く」ことはできないと言える。でなければ、ペンを握ることすら苦痛に感じる。
 そのことに気づかされたのはごく最近のことだ。
 質の高い文章は、触れるだけで自分の内なるなにかがふつふつと湧き上がってくる。鳥肌が立つ。指先が、はやくペンを持ちたいと疼きはじめ、物語は、もはや頭に入らなくなる。そのことが、快感ですらある。
 ひとが読んで、なにかを湧き上がらせる、そんな文章を私も書きたい。

(2004年6月頃)

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