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哲学に関するメモ(2) 【近代哲学】

本メモは哲学の基礎的な内容に関するメモです。


1. 近代哲学の始まり 20項目


1-1. 近代哲学
…大陸合理論、イギリス経験論、ドイツ観念論
→認識論的転回、認識・意識に注目、考え方に革命を起こせ


1-2. 大陸合理論
…根本原理から推論を合理的に積み重ねていけば世界は正しく認識できる、デカルト
→生得観念は存在する、経験では得られない、数学・物理学の発展


1-3. イギリス経験論
…世界は知覚経験の及ぶ限りで認識できる、先立つ原理は存在しない、ロック
→生得観念は存在せず、経験から抽象化して一般的な観念を作っている、社会学・政治学の発展


1-4. ドイツ観念論
…カント、ヘーゲル
→カント、人間が持つ理性のカテゴリーによって認識が変わる
ヘーゲル、民族精神によって認識が変わる


1-5. 実在論者
…観察者がいるかどうかに関係なく確固たる現実が存在する


1-6. 観念論者
…現実は人間の頭によって構成される


ニッコロ・マキャヴェリ

1-7. マキャベリズム
…リーダーに必要なものは合理性、正しい目標を掲げて人を動かす

❶歴史の失敗と成功から学べ
❷自ら仕掛けよ、恨みを買うことがなければ恐れられた方がいい、厳しく冷酷さを発揮せよ


【君主論】

…君主は自分の力で運を掴め、現実主義、理想を追うなとは言っていない

1-8. 世襲ではない新たな君主国家の統治について
…慣例を持たないのでうまく統治するには自分の実力が必要、運は備えているはず
→自分の信条に固執することなく柔軟に運をたぐり寄せ実力で味方につける


1-9. 君主の理想像を現実世界に無造作に持ち込む君主は破滅せざるを得ない
→自分の身や国家を守るためであれば悪であっても行使せよ
→何が正しいかではなく何をすべきか、状況に合わせて柔軟に態度を変更する
→理想に固執するな、理想を変えろ


1-10. 国家の土台は徳ではなく武力と法律
…共生のためには法律によって武力をコントロールすることが大切、
中央集権、個人の自由は国家の独立あってこそ、他国に従えばない


トマス・ホッブズ

1-11. リヴァイアサン
…独裁による秩序か、自由ある無秩序か

→思考プロセスからの学び、人間や社会に関する性質を仮定して結論を導く


1-12. 自然状態
…暴力的で野蛮、弱い者が束になれば強い者を倒せる、自分以外は敵で欺くことが美徳

→死ぬまで続く恐怖、身が持たないからやめにしようという理性的な打算が必要


1-13. 社会契約説
…みんなが主権者に権限を渡して服従する代わりに安全を保障してもらう


1-14. 常に漠然とした不安がある
→不安があるからこそ生き残ることができるんじゃない?恐怖・不安は人間の根源的な感情


【リヴァイアサン】

…社会契約からどのような国家がいいのか、どのような権力のあり方がいいのかを考える

1-15. 実際の国がどうとかは関係ない
…国家がどのような根拠に基づかなければいけないかに答えられない


1-16. 市民国家
…ルソーやヘーゲルがこの直感を受け止め普遍的なものへと展開
→人間相互のネットワークとすればどのような契約を基礎とすればいいか?
権利や権力の正当性はどこにおくべきか?


1-17. 自然は人間を平等に作った、能力や構造、男女平等の考えが斬新だった
→希望も平等なので同じ対象をめぐり相互不信
→やられないための力や策略
→万人の万人に対する闘争、人間に闘争本能があるわけじゃない
相互不信でなければ争わない


1-18. 第1の自然法
…平和を勝ち取る努力をしよう、できなければ戦争で援助と利益を求めよう
→戦争を回避する原理はあるのか?


1-19. 第2の自然法
…同意に基づいてこの権利を放棄すべき、他人から自分の認めることができる範囲で満足しよう
→人間の理性を根拠とする、すべての権利でなく万物に対する権利
→放棄はスムーズにいかない
→契約に強制力・実行力を与える公共的な権力(コモンパワー)が必要
→多数決で相違を得れるように、一切の権力を個人・議会に集中させよう、選挙


1-20. 自然権
…議会に譲渡されない権利、自由が存在、売買、居住地、職業選択、教育
→それ以外を譲渡することでコモンウェルスが成立、初めて権力が備わる


2. 大陸合理論 30項目

ルネ・デカルト

2-1. コギト
…人生において良いものを追求するには、信じていることを全て少なくとも一度は疑う必要がある

→思考プロセスからの学び、従来の枠組みをチャラにし権威に頼らず自分の頭で考えろ


2-2. 我思う、ゆえに我あり
…現実・常識とは夢かもしれない
確実な前提とは「自分自身の存在」である
そしてそれは「自分が物事を考えられる」ということによって証明される

→最も根本的な知識を発見した
❶それが原因とは限らない
❷以前がそうだったとしても今もそうとは限らない
❸少数がそうでも大多数がそうであるとは限らない
❹表面的なものが真相とは限らない
❺合理的なものが正しいとは限らない


2-3. 完全に疑いようのない精神を起点に心身問題を考える
…身体は思考できない延長実体、空間的な広がりを持つ
心は思考できる思惟実体、空間的な広がりを持たない
→脳の松果体が心と身体を繋いでいる
→因果関係を説明できない、松果体で生じる運動から精神が知覚を受け取っている


2-4. 思考さえ存在していれば思考の主体も存在している
→過去の判断を間違ったのはどこかの時点で思考を間違ったからなのではないか?
→思考は間違っていない、慎重に判断しても同じ間違いを犯すはずだ
→間違いを恐れるのは間違いを犯す潜在的危機を見つけることができないから、未来を予想できず何度も間違いを繰り返し災いを招く
災いが降り掛かってないだけで間違いを犯し続けている可能性もある
→間違いを避けられない主な原因は正しいと信じている間違った知識


2-5. 知識は土台となる基礎的で間違いのない知識の上に一層一層積み上げられたもの
…一つの基礎の上に存在しているわけではないので一つでも欠かすことはできない
→科学革命の前後の理論は共通の物差しで測れない
自分の物差しで勝手に行間に隠された内容や共通の予備知識を読み取っている


2-6. 原則
❶公理
…名称的に真理であると認めるものでなければ真と認めない、誰が見ても真

❷分析
…難問をより理解するために小部分に分割すること

❸証明
…単純なものから複雑なものの認識に至り、先後のない事物の間に秩序を仮定する

❹検証
…最後に完全な列挙と広範な再検討をすること


2-7. やりたいことはあるが行動に移せない
→やりたいことを本気で取り組める小さなゴールに分割すればいい


2-8. 弾みがついて次の小さなゴールに向かおうと推進力が生まれる
…無我夢中でゴールをクリアしていけばいつの間にか途方もないところまで来ている
→書物の中だけでなく実践から学ばなければいけない


【方法序説】

…文化の違いなどを超えた世界の共通認識とは?

2-9. 誰もが受け入れられる原理を見つけて出発し、理性を働かせれば共通理解に達することができる
人間は理性により世界を推論し全体像を理解、理性は誰もが備えている
→原理をどこにおくか?


2-10. 方法的懐疑
…バラバラなので色々な人に聞いてあえて全てを疑う
→感覚は疑わしい
→何一つ確実なものは残らないように見える
→そのように疑う自分の存在だけは確かなもの、否定できない
→考えるのは脳からでは?不自然ではないか?
→普遍的認識の可能性を基礎付けるため
→真理も主体も存在しないに関わらず仮構してしまうのはなぜか?


2-11. 神の存在証明
…疑いの対象は不完全なもののみ、疑うには完全でなければならない
→人間は不完全だが完全な神の観念を持つ
不完全なものは完全なものに由来しなければならない
→神は存在しなければならない、神は人間を欺かない
→神が作った私の認識は全て正しい
→無限は有限のうちに含まれないという前提があるがそんなことはない、円の面積と中の点の数


【省察】

…神の存在証明と心身二元論

2-12. 方法的懐疑により夢と現実について考えると、同じような感覚、区別する根拠を見出せない
→空想上のキャラクターを描くには空想であっても色自体は真である必要がある


2-13. 完全な神が存在、神によって人間は作られた
→性質があると思うように作られたのでは?


2-14. 精神が最も明証的に認識できるものとは?
→コギトが意味するのは「疑う自分の存在だけは確かなもの」
→考えることをやめれば存在もなくなる


2-15. 事物と精神の認識
事物の認識
…コップ、手に取ったり見たりして大きさや形を観察、知覚が元で誤る可能性がある

・精神の認識
…自分、精神自身の認識は最も明証的で誤る可能性が低い
→神は人間が認識を誤るように作ったのか?
→観念の原因を自身に見出せず自身が原因でない、私と原因が独立に存在
→神は人間が誤るように作ったりしない
→人間の認識の正しさの元は理性にあるのでは?
→誤りが起こる理由は理性ではなく理解を超えて意思を働かせるため
→省察を繰り返すことで誤りを少なくしていける(人間の完全性)


2-16. 神が存在を欠く状態は不完全
→神は存在する
→神が真なる認識をしているから正しいのではなく、私が明確に認識できるから真だと言える
→認識の根拠はあくまで意識


【情念論】

…私たちは精神としても身体としても存在している事態をどう考えるか?

2-17. 省察では精神は考えるもの、身体は延長をもつもの
→身体運動の原理は心臓の熱で心臓に流れる血液は精気を作り脳へと流れる
→情念は脳にある精気が心臓の動きを早めたり遅めたりするときに生じる
→身体をリードするのは精神でなく情念、喜怒哀楽は欲望を通じてのみ表現される
→欲望を否定するのではなくコントロールしよう、経験や理性で


バールーフ・デ・スピノザ

2-18. 汎神論
…神は世界全体・自然全体、唯一無二でその他一切は神の属性である
→起こることは決まっていてそれを変えるような意志も能力も人間は持っていないと諦めれば、受け入れることができる


2-19. 神即自然
…神は自然そのもの、必然性の背後に神がいて神が自然のあり方を決定

→全ては神由来、事物は今あるように存在するほかない、必然的なものとして神に決定されている


2-20. 性質二元論
…存在する実体は 1 種類、心的な性質と物質的な性質を持つ
→一元論とも二元論とも言える


2-21. 実体は形成に他の存在を必要としない、世界のものは他のものと因果関係なしに存在できない
→実体とは世界である
→世界とは神である
→心も身体も神の属性の一部


2-22. 嫌いな人がいてその人とうまくいってない
→その人にも経緯・環境があったと考えれば理解してあげられるし、そうすれば平和に暮らせるよ


2-23. 自由意志
…自分の行動をなんとかしようとコントロールできる意志

→人間はこれ持っていないにもかかわらず持っていると考えてしまうから他人を恨んでしまう、誰も自分で自分を変えることはできない


【エチカ】

…世界のあり方を幾何学的秩序に従って論証、キリスト教的世界観の決定的な凋落
ポスト宗教戦争の世代感覚が伝統的な宗教と異なるやり方で善の根拠を考える

2-24. 人間は意識と身体からなる
→神の知性の一部、身体も含まれる
→身体で起こることは意識で知覚されなければならない
→身体の刺激でしか外部の物体を知覚できない
→事物を身体と同じように完全に認識することはできない、感情も同じ


2-25. コナトゥス
…自己保存の努力、意識は自己の有に固執しようと努力

→精神と身体に関係すると衝動的になる、人間の本質
→意識にもたらされると欲望となり、欲望するものが善となる
→神の意志が人間の欲望に先立つわけではない
人間が意志で欲望するもの(生きるのに役立つもの)を善と呼ぶ
→ただの欲望が善に直結するわけではない
感情に流された欲望が目指す善は不完全、理性によって完全となる


2-26. 自由意志はない
→不都合が起きても原因を行為者に求めることはできない
→必然性の一部として起きるため許すことしかできない
→許すことができれば神を愛すこととなり神からも愛される


ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ

2-27. モナド
…宇宙を形作る極小単位、すべてはモナドの表象、他のすべてのモナドの状態を反映する

→すべてのモナドが自身の発光を繰り返し、観測する我々は映像として受け取る、相互に独立


2-28. 予定調和
…世界の調和は神が決定した、なぜ世界が調和しているのか?神がそう決定したから
→唯物論を批判、デモクリトス、ホッブズは神に対する不敬な思想を持つ者


【モナドロジー】

…どうして世界は多様性に溢れているのか?善を立て直し調和を図る

2-29. モナドは相互に独立、孤独ではない、感受性が備わっている
→対応関係にあるものもある
身体(動力因の法則に従う、自然的世界)と精神(目的因の法則に従う、倫理的世界)
→身体と精神は別々で働いているが同時に起きているので関係があると認識している


2-30. 予定調和より私たちはただ自分の義務を果たして神の摂理を信じるのみ
→宇宙の秩序が最善とわかる
→自然科学の知見に対抗させるのはナンセンス
カント、純粋理性批判の第 2 アンチノミー、絶対的な最小単位が存在しているわけではない
→単位は経験に先立って規定されているのではなく関心と目的に応じて規定されている


3. イギリス経験論 27項目

ジョン・ロック

3-1. タブラ・ラサ
…生まれつきの優劣はない、個人の人柄・能力は生まれた後にどのような経験をするかで決まる

→環境変化に適応していくには自分の経験をタブラ・ラサ(白紙)にリセットできれば効率的
→新人というタグをつけ剥奪的な施策で表面的に文化形成はできるがタレントが標準化される


3-2. 認識論
…認識は神から授かったもの、生得観念

→計算など生まれながらにできてしまうのでは?
→タブラ・ラサで経験から認識を獲得


【市民政府論】

…社会のあり方とは

3-3. キリスト教の教義に基づいて考える
…人間は神によって自由で平等な存在として作られた


3-4. 自然状態
…自然法は万人に平等かつ独立で他人の生命・自由・財産を傷つけるべきでない
→ホッブスやルソーとは全く異なる、神の意志に従っている状態
→人間は身体について所有権を持つ
→労働はその人のもの
→共有状態から労働を加えて取り出しその人のものとする
→自然状態では自然法に違反して平和を侵害する者を排除する権力を持つ
家族では父、企業では代表、社会では共同体に委ねる
→社会の成立条件は多数決できる個人が共同体を作ることに同意すること
市民社会の目的は所有の維持、共同体を作らなければ不安定なので同意していく
→必要なのは立法、司法、行政
立法が最上位だが信託された者なので排除・変更の権利あり
行政にも排除・変更の権利あり、革命を起こすことは可能


デイヴィッド・ヒューム

3-5. 因果の否定
…因果関係とは人の心が勝手に作ったもの
無限の関係性の中の一つにすぎない、知覚できない習慣的な思考にすぎない

→指を切る・痛い はどちらも知覚できるが「から」はどう頑張っても知覚できない
→軽率に因果を結びつけると誤った知識を生み出す、因果は本当に存在しているのか?


3-6. なぜ因果を信じるのか?
…接近(近い)、継起(順番に)、必然的結合(必ずおこる)
の 3 つを満たす経験を繰り返すことでそれが習慣となり信念となる


3-7. 観念連合
…印象(その瞬間の刺激)、観念(過去の記憶や想像で呼び起こされる)

→類似(リンゴ→梨)、接近(リンゴ→八百屋)、因果(リンゴ→甘い)


3-8. 知識がどこからくるのかを考えた
…根本的な知識は経験の中から探し出すのは不可能
→デカルトの疑いようのない自我を疑ってみる
→思考していない時も存在しているのか?次に思考する時の主体は前と同一か?
→自我は観念上にのみ存在するか、知識上の仮説のような存在、
想像上の自我により自分と他人を区別している
→現代では自我とは大脳の情報統合能力に由来するという説、
外在的な感覚器官の経験と内在的な思考が時間・空間という背景のもと、
全てが脳内で統合され体に受け入れられるため条件が揃うと私という観念が生まれやすくなる


3-9. 人にどう見られているか?どう評価されているかが気になる
→自我なんて所詮見せかけだから捨てたほうがいい、見せかけを守るために幸せを棒に振るのか?


3-10. 自我とは認知的な産物で仮説的存在である
一種の錯覚で不確か、これが私とは言えない
→自我とは因果の束(知覚できないものの束)・心とは知覚できるものの束にすぎない、テセウスの船
→自分が大切にしている事柄が傷つけられると激しい苦痛が湧き上がる
→自我を捨てて心を無の状態にすれば軽減していく
→なぜ損したの?なぜ私が?なぜこんなに運がないの?という考えには自我が含まれる、
苦痛に入り込むとマイナスの感情が強まり苦痛が増したり耐え難くなったりする


【人性論】

…意識が辿り着けない領域を前提とせずに意識から与えられているものを探究し認識を考える

3-11. 見える世界が錯覚に過ぎない可能性は消せない
…実在を証明しているかに関わらず認識論は普遍的な水準に達している


3-12. 知覚
…印象(大きさや形)、観念(意味や本質)が相互に関係
→三角形、印象は線の長さと角度という知覚に基づく、
これまで見てきた三角形がどんなものか思い出す必要がある


3-13. 原初的な印象
…先行する知覚なしに身体から心に起こる


3-14. 二次的な印象
…原初的な印象のうちいくつかのものから観念の介在により生じる
→原因を知ることはできない、原因がなければならないというわけではない
→知覚の成立原因自体を知覚できない
→印象こそ人間の意識がたどり直せる最終ライン
→因果ですら観念、自然世界に介在し知覚に依存
→真の原因などないと主張するだけで不十分だが原因があると考えるのはなぜ?
→繰り返し知覚して認識とする習慣の存在
→知覚の向こう側に求めると失敗する


3-15. 認識は意識に現れる確信
…私たちは意識の外側に抜け出れない、
知覚対象が存在するか知ることはできないが何らかの印象を持ち対象を認識していることは確か
→自分を知覚するには反省的に捉える
→手に入れるのはあくまで私についての知覚、自分を知覚するわけではない
→自分を認識できないわけではなく記憶によって成立する


ジャン=ジャック・ルソー

3-16. 一般意志
…集合知、民主主義の意思決定の仕組み

→テクノロジーで断片的意思を吸い上げてベイズ確率により重ね合わせ濃い部分で推測する
→絶対王政、ブラックボックスにならないか、空気を読んだり可視化したりも興味深い


【人間不平等起源論】

…なぜ社会では弱者が望んで強者に従属するのか?

3-17. 自然状態ではみんな平等
…自然は人間に対して厳しい、人間には知恵がある
→強い者が生き残る、憐れみの情によって従属はない、自己の生存へ配慮する
→人間が発展すると自然が人々に苦痛をもたらす知恵をつける
→人間は他の動物に対して自尊心を手に入れ相互の競争関係に入る
→利害と競争を区別できるようになる
→道具を発明し家族が成立する
→共同体が生まれる
→分業が始まると平等は消滅し貧困と不平等が現れる
→強い者が自分に都合の良いルールを作る、専制政治において不平等は頂点に達する
→強い者に服従することで正義の原理は消え去って万人は再び平等となる
→強い者も打倒されうる、人々から追放、別の強い者に倒される


【社会契約論】

…正当な社会の原理とは?どんな社会に向かっていくべきか?

3-18. 無政府状態では支配者が登場・殺人が蔓延・奴隷が生まれる
→防ぐためには国民の人権を守る必要がある
→社会的に契約して政府を作り、そこに大きな権力を委ねる
→政府は契約違反をすることが多い、大きな権力を持つと人権を抑圧するために使う、人間の弱さ
→契約違反を犯した政府は潰しても良い、ロックの自然権
→フランス革命の根拠


3-19. 力は権利を生まない
…ピストルを持っている人に脅された時財布を出さなければ殺される
→ピストルを持つ人に財布を出す義務があるわけではない
→義務を持つのは正当な権利に対してのみ


3-20. 社会契約
…個人が自然状態で生きれなければ異なる生き方をする

→回避するには人間は協力する必要がある
→自由・平等は何に基づくか?
→社会契約を結ぶことで自由を奪い、力で獲得できる権利を制限
→王権神授説を完全否定しどのような生活を営むかについてのプロセスを仮定におく
→契約で成立した社会なんてないという批判は無効


3-21. 一般意志
…社会契約を結んだ個人は一般意志の指導のもとに良き国家を作る、市民感覚こそ憲法

→正当な国家統治は法に基づいてのみ行われる
→法律を決める投票によって一般意志が表召される
→そのためには選挙に透明性を確保しよう
→社会契約自体は実効性を持たない
→力がなければ統治できない(実効性)と統治が正当なものか(正当性)は質の異なる問題


アダム・スミス

3-22. 神の見えざる手
…最適解よりも満足解を求めるのがいい時もある
ヒューリスティックなアプローチ

→芝生へ歩道を作る、数学的最適ルートより一回放置して歩いてもらう


【国富論】

…不合理な規則を排除して富を最適に分配しよう

3-23. 分業は普遍的な富を生み出す、規模を大きくするには分業が不可欠


3-24. 品物は交換価値(購買力)と使用価値(効用)を持つ
…労働力は交換価値の尺度、分業の中で個人的に富んでいるかは商品数で決まり労働力に比例する


3-25. 自然価格(社会や資源に依存)
市場価格(出来事や行政で変化、障害を取り除けば自然価格になる)
…価格=賃金+利潤+地代
売上高=売上原価+営業利益+販管費
→需要と供給で決定
→なぜズレが生じるのか?
→政策(人間の思惑)、競争、労働と貯蓄の自由な循環の妨げ
→自由な経済活動の阻害
→個人の能力の侵害


3-26. 重商主義批判
…公共利益を犠牲とし製造業者たちを富ませるのみ

→外国市場の拡大は国内市場の裏返し


3-27. 神の見えざる手
…資本を用いる者が利益追求するとき社会に有利な仕事を
❶自分の資本を国内で多くの労働者維持
❷国内で生産物が大きな価値を持つように
→誰もが社会の収入を大きくしようとする、自動的に
→富むと近隣を侵略対象に
→政府の規制が必要、防衛(外部の脅威)、司法(内部の脅威)、
商業(交通を作る)、教育(分業によって無知となる)


4. ドイツ観念論 47項目

イマヌエル・カント

4-1. 形而上学的実在論
…現象(人間が認識したもの)とモノ自体(絶対的なもの)という 2 つの概念で考える
→相関、現象とモノ自体の関係


4-2. 相関主義
…主観(人間の認識)は現象を認識できてもモノ自体を認識することができない、現象とモノ自体の関係性だけ認識できる
→認識が対象に従うのではなく、対象が認識に従う
→モノ自体は存在するがアクセスできない、人間にのみ共有できる
→人間の認識を理解することが大事
認識の限界は?他者がどんな認識をしているか?他にどんな認識があるか?


4-3. 構築主義
…人間は自分の認識というフィルターを通して世界を構築している

→人生の良し悪しは自分がどんなフィルターで世界を見るかにかかっている、自分の人生は自分で定義して評価するもの


4-4. 自分には何が正しいか分からない、決断できない
→人間には正しい答えを導く方法を持っていないから欠点があっても現時点で最適な答えを出そう
不確かな基礎という前提で合理的な相対的な確かさを構築することはできる


4-5. ・世界は因果関係で成り立っていると考えているが因果の認識を使って世界を見ているに過ぎない


4-6. 神の存在証明
…カント以前は理性により神の存在を述べようとする
→神の存在は無限・永遠
→人間の認識形式である時間・空間を超越していて理解できない
→神・魂は真理自体に含まれる可能性、理性では辿り着けない
→神の存在を否定していない、神については分からないと言っている


4-7. 富・成功・幸福・目標を欲するのはそれがいいものだという認識で見ているから
…何もなくても失敗したことにならないのであれば何が残るのか?
→認識を外すことができれば人間は大きな自由を感じることができるのでは?


4-8. 死を怖がるのは死は怖いものだという認識で見ているから
→根拠がない、生きている人は死を経験していないし死んだ人も語ることはできない


4-9. 理性を経験の束とする
→なぜ他人同士で共有できるのか?
→経験の束であるが受け取り方には先天的共通性がある
→真理は存在する可能性がある


4-10. 理論理性
…認識する理性の力


4-11. 実践理性
…意思決定する理性の力


4-12. ヌーメノン
…知ることはできない、目の前の現実を疑え


4-13. 定言命法
…単に「…せよ」と命じる
無条件・見返りなしの道徳法則を追求


4-14. 仮言命法
…「もし…なりたけらば、…せよ」と命じる
条件・見返りありの道徳法則を追求


4-15. 格率
…個人が主観的に自分で守ろうと決めている行動原理・規則
→自分の行動原理・規則を誰もが明らかに納得できるよなものにしなさい


4-16. アンチノミー(二律背反)
…相反する 2 つの命題が矛盾しながら互いに成立する状態、片方が真とすると片方が破綻する
→お互いが真とも偽ともなる

❶テーゼ(世界は有限)、アンチテーゼ(世界は無限)を破綻させたい
…始まりも終わりもない
→今を先端とすると終わりができてしまう

❷テーゼ(世界は無限)、アンチテーゼ(世界は有限)を破綻させたい
…始まりがあるとすると始まりの前には何があったのか?これがずっと続く
→無から有が生まれるのか?


4-17. 全ての知識は経験から始まるが経験によって全ての認識が完成するわけではない
…りんごが下に落ちる、今下に落ちたから次も下に落ちるだろう
→そうなることが多いだろうという蓋然性にすぎず必ず落ちると説明することは不可能
→それを説明するのが理論、理論・知識をあらかじめ持っていて検証して初めて法則ができる
→理論・知識のない人間が漠然と観察しても理論は生まれない、データを集めることもできない
おかしなデータが見つかった時におかしいと思えるのは理論・知識を持っているから
→フランス革命の時代、人間・認識・自由のあり方の考えに影響を与える


4-18. 不倫がやめられない
→欲望に流されないで自分の道徳に従うことができれば人間としての尊さを感じることができるよ


4-19. 人間は良心により欲望・感情を跳ね除け、因果から独立して新たな行為をなすことができる
→「人に恨まれたくなければ・人に信用されたければ」という損得・自己愛のための道徳は偽り
道徳とは全ての人がそれをやったらめちゃくちゃにならないかという判断基準


4-20. カントの道徳論
…道徳とは幸福を最大化するものではなく人格そのものを尊重すること、功利主義を批判
→利害・必要性・欲望・選好などの経験的理由を道徳の基準にすべきでない、偶然に左右される
→アプリオリな理性によって行動を縛ることが自然法則に対する自由である
→Aを行うとBさらにCという結果が導かれるとき、BやCを期待して行う行為は道徳的でない
→Aを行うことが正しいからAをした、自律的な行為


【純粋理性批判】

…人間は何を知ることができるのか?
認識の問い、ここでの批判とは吟味・熟考すること
→認識の可能性と限界をはっきりさせて普遍的な善のポイントを探る

4-21. 感性
…外部データを得る能力、感覚能力

→対象自体のあり方に関わらず共通認識に達するための可能性を明らかにする
→真理を巡った解決不可能な対立となる、真理を掴むのは無理
→どうすれば普遍的認識が可能となるかをはっきりさせ理性に対する不信感をなくす


4-22. 悟性
…感性により得たデータを結合して概念化する能力、判断能力

→カテゴリーによって総合を統一


4-23. 理性
…完全なものを構想する能力、原理能力

→推論により全体を掴もうとする


4-24. 統覚
…感性⇨構想力(先験的)⇨悟性(カテゴリー)⇨認識
純粋直感が多様なものを与える、構想力で総合する、総合したものを悟性で統一する


4-25. 私の絶対的統一(考える私)
世界の絶対的統一(現象の総体)
神の絶対的統一(全てを可能にする)
…実在するものではないが実在するとみなす


4-26. 先験的誤謬推理
…規定される自己が対象、自己自体はあり得ない
→直感そのものが実在するという推論は成立しない


4-27. アンチノミー
❶時間・空間的限界があるかないか
…あるとすれば無によって限界づけられる、ナンセンス
ないとすれば無限の全体があることになる、考えられない

❷世界に最小単位があるかないか
…あるとすれば世界は合成物でその元がないといけない
ないとすれば最小単位に多様なものが含まれる

❸世界に自由があるかないか
…あるとすれば完全に自発的な原因が想定されなければならない
ないとすれば力学的に作用が始まるにはそれ以前の状態を前提とする

❹神がいるかいないか
…いるとすれば無条件者に至る完全な系列を前提とする
いないとすれば原因を持たない始まりがあることになる


4-28. 純粋理性の理想
…神の存在は理性の推論に過ぎないが道徳的側面で意味を持つ
→遠く離れているがそこへ目掛けて行為するよう促す、道徳的基準
自分たちの行為を整え高められる
→道徳が拘束力を持つために神の存在が要請されなければならない


4-29. 超越論的
…経験を超越している、闇の中は見えない
→感性によって照らされた対象を認識できる、そこだけがその人の世界、経験できる世界
→存在しているから見えるのではなく、見ようとして光を当てるから見える、世界の中に光を当てる懐中電灯は認識できない、経験できない
→スイッチを切ると見えなくなる、光が変われば見え方が変わる、向きを変えれば表現が変わる
→「AはBだ」と決め付けない、「自分にはAはBに見える」と受け止める
→個人の事情や全体の仕組みを解明する必要
光源がありその反対に懐中電灯がある、見えないけれど


【実践理性批判】

…人間は何をすべきなのか?道徳の問い
→道徳の根拠を習慣・文化ではなく理性による定言命法で規定する

4-30. 欲求⇨格率⇨仮言命法
…「〜を望むなら…しなければならない」

→何を求めれるかは人それぞれで道徳の根拠とならない


4-31. 理性⇨道徳法則⇨定言命法
…「〜を望むかどうかに関わらず…しなければならない」

→理性で考えれば誰でも分かるので道徳の根拠となる


4-32. 格率
…自分の幸福を求める行為の原則
→目的を取り除くと道徳法則を自らに与えることができる
→これを自分に課した自律的行為が道徳的
→徳福一致は現実で成立しない、厳密にはできない
→理性は目指している、現実世界では目指すことしかできない、無限の進行


4-33. 要請
…欲求を克服できないが道徳的な条件があればいける
→❶自由❷魂の不死❸神 は現実世界を規定するものでなく理性がどうしても要請するもの


【判断力批判】

…人間は何を望んでもいいのか?宗教の問い
→人間の個人的事情が絡む場所で機能する認識能力から考える

4-34. 趣味、美、崇高


4-35. 悟性の認識能力があって経験が生じる、悟性が経験をアプリオリに規定
→理性は自由概念が存在する超感性世界と関わることができ、認識できないが察することはできる


4-36. 自由(目的がある)、自然(目的はなく因果関係があるだけ)


4-37. 美
…目的なき合目的性

→特定の目的にふさわしい形・機能を持つかは関係ない、目的のために存在してない
→なのにふさわしいと思ってしまうのが美ということ


4-38. 判断力
…自然と理性の自然目的、規定的判断力、反省的判断力

→反省的判断力に対して現れうる限りでの自然の目的論的構造が人間の生に対して意味を保証する、生の意味がないところでは倫理も意味がなくなる
→この生は生きる価値がある、世界は人間にとって意味ある生を可能とする仕組みとなっている
→生は世界によって肯定されている、自然は自らを超える次元を人間の倫理のうちで告知している
→美・目的を世界の成り立ちの中で最終的には自然の構造を超えて探究することで、人間の生の意味は明かされ世界の存在や意味も明かされる


ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ

…理論理性と実践理性を一元的に表現

4-39. 絶対我
❶自我→自我
…母としての行為と自我がセットになって同時に存在

❷自我と非我
…邪魔だな
→境界線を引く
→乗り越えて自我に戻る
→神すらも自我から?


フリードリヒ・ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・シェリング

4-40. 絶対者
…精神と自然に分かれる
→両者に質の差はない、量の差
→精神の割合が多ければ精神として流れ出る、逆も然り


ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル

…カントを批判したフィヒテとシェリングを批判的に統合しドイツ観念論を完成させる

4-41. 弁証法
…対立する考えをぶつけてアイデアを発展させる
→無い物ねだりの末にトレードオフを両立させるイノベーションがある
→螺旋的に発展していく、歴史は繰り返すわけではない


4-42. テーゼとアンチテーゼの対立
→アウフヘーベン(止揚)
→ジンテーゼ(合)と新たなアンチテーゼ
→人間は弁証法を繰り返しながら自由・真理に到達しようとする、自分の人生はその一部である
→道徳法則にあった制度や法律が必要


4-43. 絶対精神
…全ては神の一部の現れである

→神は神自身の同一性を保ったままの無限者、内包される有限者が変化する
→全知であるが全能ではない
→人間に世界を変化させようとする、その先に自由がある
→歴史とは自由・真理に到達するまでの過程


4-44. パートナーと喧嘩が絶えない
→根気よく向き合えば分かり合える、摩擦が強いほど結びつきも強くなるんじゃない?


4-45. 1人1人がお互いを承認し合うことで社会ができる、それが世界全体に広がり反映していく
…自分→他者→われわれ、すり合わせ


【法の哲学】

…権利や正しさについて本質を規定し自由の本質論を展開

4-46. 何を原理としているか?
→意志の自由が法の原理、意志は衝動・欲求に規定されているという感覚
→自由とは恣意・傾向があり善悪を客観的に判断できない
→自由を現実にするためには思考によって内面を反省的に捉え幸福の視点から衝動・手段を検討
→思考が普遍性を獲得していなければならない
→教養が必要


4-47. 自分がしたいことをする時は自由を感じる、我慢する時は強制・束縛・義務となる
→自由は欲求との相関で生まれる
→社会的現実が人間の自由を実現している状態が正しさの本質、法の内実は自由

❶抽象的な法権利
…人格の相互承認が自由の根拠、個人から社会に向かうプロセスで必要、教養は他者へも
→自分の外側にあるものを欲求で占有し、それを所有することで自由を得ようとする
→他者もまた欲求を自由へ結びつけようとしていると認め合うことが必要

❷道徳
…普遍的な正しさを目指す意志、人格の相互承認を破るのは所有の侵害
→道徳は主観的正しさから出ることはできず世界はこうあるべきと要請するしかできない
→実質を持たないので絶対的なものは実現不可能、限定を受けたものとして表現
→道徳は「不平等をなくすためにどんな社会が必要なのか」に考えがたどり着けない
→万人の幸福につながるという倫理で営巣を認めさせようとする、実現不可能

・イロニーの精神
…どうせ普遍的な正しさなんかありえないから自分が正しいと思うのが正しい
→普遍性を信じて真面目に育ってきたが善から裏切られたように感じてイロニーへ入り込む

❸倫理
…人格から始まるプロセスは社会制度となって現実となる、掟と機構、実質化された自由
→社会は家族とは違う、個人は自己中心性を肯定して自由に欲求を満たせる
→新たな欲求、手段の多様化、人々に受け入れられて形式に変えようとする
→一定ラインを引く(司法の要請)
能力差や生まれの違い(公教育の要請、職業団体の要請)


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。

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