お金と責任と大人になるということ
親と離れて暮らしはじめてから何年か経つ。僕たちは生活の基盤を整え、いくつかのものを買い足したり捨てたりした。仕事で使うのでプリンターも買った。
それなのに、なぜかプリンターを使うのを遠慮してしまう。
小説の資料を印刷したい。でもインク代食うから画面上ですぐに見られるようにしておけばいいか。
原稿を印刷しないと。……これは僕の人生において必要な印刷だ。無駄遣いするわけじゃない。
遠慮に遠慮を重ねるうち、せっかく手に入れた僕たちのプリンターは年賀状を印刷するためだけのもの